ゴダールの肉声収めた「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」予告編が到着(蓮實重彦らの鑑賞コメントあり) (original) (raw)

ゴダールの肉声収めた「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」予告編が到着

2024年2月16日 13:00 3

2022年9月に死去したジャン=リュック・ゴダール最後の作品「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」より、予告編がYouTube。また本作を鑑賞した著名人たちのコメントも到着した。

ゴダールが監督・脚本・出演を兼ねた本作は、手書きの文字、絵、写真、映像をコラージュし、音楽やナレーションを加えた20分の短編。予告編にはゴダールの肉声が収められ、製作を担ったサンローランプロダクションに映画の話を持ち掛けた時期から、本作が生まれた経緯を振り返る内容となっている。そして映像は「ちょうど(シャルル・)プリニエが政治と革命という昔の情熱に回帰したように、また映画が作れるだろうか」という彼のつぶやきで締められる。

本作を鑑賞した映画評論家の蓮實重彦、映画研究者の堀潤之、音楽家・文筆家の菊地成孔、映画監督の万田邦敏によるコメントは以下に掲載した。

「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」は2月23日より東京・新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。

映画「ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争」予告編

蓮實重彦(映画評論家)コメント

死後のゴダールは、存在しない作品の予告編とやらでまたしても見るものを驚かせる。ゴンクール賞受賞作家シャルル・プリニエの「偽旅券」の映画化が叶わず、その詳細なシナリオ構成をキャメラ担当のアラーニョに託し、これは自分の最高傑作だと呟いたというのだから。実際、作中に再現される「アワーミュージック」の一景を目にしただけで、誰もが涙せずにはいられまい。

堀潤之(映画研究者)コメント

自作「アワーミュージック」(2004)をアップデートしつつ、スペイン内戦からアラブの春に至るあらゆる闘争をごった煮にした本作は、シモーヌ・ヴェイユやハンナ・アーレントに連なる新たな抵抗する女性の人物像「カルロッタ」が生まれようとする現場に我々を立ち会わせてくれる。

菊地成孔(音楽家・文筆家・「ラディカルな意志のスタイルズ」主宰)コメント

21世紀 / 1人ジガ・ベルトフ集団 / 最後のヌーベル・ヴァーグ / 最新作 /
輝き / 20年後の素顔に驚かされる /サンローラン / 遺書 / 市場なきクール /
最短の最高傑作 / これこそがコラージュ / これこそが反資本主義 /

万田邦敏(映画監督)コメント

私は思春期に、まるで宇宙人が作ったかのようなゴダール映画に遭遇し、確実に何かを殺され(その代わりに何かを生かされ)、どこかを乗っ取られてしまった。この映画がゴダールの遺言なら、そのすべてを自分の戒めとしようなどと勝手に思い込んでしまうのも、そのために違いない。

(c)SAINT LAURENT - VIXENS - L'ATELIER – 2022

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