舞台「千と千尋の神隠し」2024年公演が開幕 (original) (raw)
「舞台『千と千尋の神隠しSpirited Away』」が、3月11日に東京・帝国劇場で開幕した。ステージナタリーでは、昨日12日に行われた上白石萌音が出演するゲネプロの様子をレポートする。なお舞台写真や演出についての言及も含まれているので、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。
これは、宮崎駿が監督を務めたスタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」を、ジョン・ケアードの翻案・演出、今井麻緒子の共同翻案で舞台化する作品。同作は2022年に初演、昨年再演された。今回は3月の東京・帝国劇場公演を皮切りに全国で上演されるほか、4月から8月にかけてイギリスのロンドン・コロシアムでも公演が行われる。千尋役には初演から続投となる橋本環奈、上白石のほか、新たに川栄李奈、福地桃子がキャスティングされた。
開演前、舞台に降りた幕には青空の映像が映し出されている。ステージの手前はびっしりとコケに覆われ、舞台上手には朽ちかけた鳥居、舞台下手には古びた石塔や祠が並んだ。冒頭では、千尋と両親が引っ越し先に車で移動している様子が描かれる。幕の中央にぽっかりと口を開ける“トンネル”を千尋たちが抜けると、神々が疲れを癒やす湯屋・油屋が姿を現し、観客を一気に物語の世界に引き込んだ。
劇中では久石譲がオリジナルスコアを手がけた音楽と共にストーリーが展開。舞台美術や小道具には、原作のキャラクターデザインや世界観が丁寧に再現されている。ステージ上を走るミニチュアの電車や、湯屋を飛び回る河の神、舞台機構を使って具現化される湯婆婆と銭婆の魔法などにぜひ期待しよう。
また舞台には、キャストが操るハク竜やススワタリといったキャラクターたちのパペットが多数登場。出演者たちはハシゴや階段が多数設けられた高低差のある舞台を縦横無尽に駆け回り、ダイナミックな身体表現で躍動感のあるステージを立ち上げる。上白石はのんびりとしたセリフ回しやとぼけた表情で、千尋の弱々しさや無気力さを表現しつつ、油屋での生活を通して千尋が活力や力強さを取り戻していく様を、瞳を輝かせて生き生きと演じた。
開幕に際し、千尋役の4人からのメッセージが到着した。福地は「同じ内容でも毎回違うのが舞台の醍醐味。本作は特に、日によって感じ方が変わる作品だと感じています。お客様が観劇して何をキャッチしたか、どういう気持ちで受け取ってくださったのか想像するのも楽しいです。心が豊かになる時間を過ごしてもらえたら」とコメント。3月27日に初日を迎える川栄は「私は初演を観客として観ていたので、あの舞台に自分が立てることが感慨深い」と胸の内を明かし、「長丁場なので、ケガや病気のないように笑顔で終わりたい。『一生記憶に残るようなすごい舞台だった』と思ってもらえるように精一杯がんばります」と意気込みを語る。
「新しいキャストが加わって、千尋の見え方が変わった」と言う上白石は「原作映画は心身を削って作られたもの。私たちもたくさん汗をかき、筋肉を使い、心を動かしてがんばります」と抱負を述べる。また橋本は「今回はロンドン公演もありますが、きっと『言葉が通じないけど伝わるかな』という心配は杞憂に終わるはず。初演には小中学生くらいのお客様がたくさんいたので、この作品で初めて舞台を観た子も多いのではないかと思いました。どの年代の方にも楽しんでもらえるよう、千尋として精一杯走り抜けられたら」と結んだ。
東京公演は3月30日まで。本作はその後4月7日から20日まで愛知・御園座、27日から5月19日まで福岡・博多座、4月30日から8月24日までロンドン・コロシアム、5月27日から6月6日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、15日から20日まで北海道・札幌文化芸術劇場 hitaruでも上演される。
舞台「千と千尋の神隠しSpirited Away」
2024年3月11日(月)~2024年3月30日(土) ※公演終了
東京都 帝国劇場
2024年4月7日(日)~2024年4月20日(土) ※公演終了
愛知県 御園座
2024年4月27日(土)~2024年5月19日(日) ※公演終了
福岡県 博多座
2024年4月30日(火)~2024年8月24日(土) ※公演終了
イギリス ロンドン・コロシアム
2024年5月27日(月)~2024年6月6日(木) ※公演終了
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2024年6月15日(土)~2024年6月20日(木) ※公演終了
北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
スタッフ
原作:宮崎駿
翻案・演出:ジョン・ケアード
共同翻案:今井麻緒子
出演
千尋:橋本環奈 / 上白石萌音 / 川栄李奈 / 福地桃子
ハク:醍醐虎汰朗 / 三浦宏規 / 増子敦貴
カオナシ:森山開次 / 小尻健太 / 山野光 / 中川賢
リン / 千尋の母:妃海風 / 華優希 / 実咲凜音
釜爺:田口トモロヲ / 橋本さとし / 宮崎吐夢
湯婆婆 / 銭婆:夏木マリ / 朴ろ美 / 羽野晶紀 / 春風ひとみ
兄役 / 千尋の父:大澄賢也 / 堀部圭亮
父役:吉村直 / 伊藤俊彦
青蛙:おばたのお兄さん / 元木聖也
頭:五十嵐結也 / 奥山ばらば
坊:武者真由 / 坂口杏奈
湯屋組:新井海人 / 桜雪陽子 / 大重わたる / 折井理子 / 今野晶乃 / 澤村亮 / 末冨真由 / 高橋莉瑚 / 竹廣隼人 / 知念紗耶 / 手代木花野 / 中上綾女 / 西宮ゆうき / 花島令 / 藤岡義樹 / 萬谷法英 / 水野栄治 / Miffy / 森田茉希 / 保野優奈 / YAMATO
油屋組:安部萌 / 彩橋みゆ / 犬飼直紀 / 井上実保奈 / 遠藤令 / 大山五十和 / 小川莉伯 / 小熊綸 / 梶田留以 / 川島大典 / 角田萌夏 / 西田健二 / 西村雄光 / 原広実 / 広瀬斗史輝 / 福島玖宇也 / 藤咲みどり / 堀田聖奈 / 村岡哲至 / 桃菜 / 森淑乃 / 吉野菜々子
※宮崎駿の「崎」は立つ崎(たつさき)、小尻健太の「尻」はしかばねに丸、朴ろ美の「ろ」は王へんに路が正式表記。
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