「ありふれた教室」予告解禁、白石和彌・森達也らコメント (original) (raw)
ドイツ映画「ありふれた教室」の予告編がYouTubeで公開。あわせて本ビジュアル・場面写真が解禁されたほか、本作を鑑賞した著名人からのコメントも到着した。
第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされた本作は、若手教師カーラが新たに赴任した中学校で繰り広げるスリラー。彼女は中学1年生のクラスを受け持ったが、校内で相次ぐ盗難事件の犯人として教え子が疑われたことをきっかけに独自の犯人捜しを開始する。すると職員室に仕掛けた隠し撮りの動画に、ある人物が盗みを働く瞬間が記録された。そして事件をめぐるカーラや学校側の対応が、保護者からの猛烈な批判や生徒の反乱、同僚教師との対立を招いていく。イルケル・チャタクが監督を務め、仕事熱心で正義感が強いカーラをレオニー・ベネシュが演じた。
「すべてのはじまりは、生徒を守るためだった──」とテロップが浮かび上がる予告編には「こんな展開、望んでなかった」といったセリフや、次第に窮地に追い込まれていくカーラが。その様子は本ビジュアルでも確認できるほか、場面写真には教室で叫ぶ彼女や中指を立てる生徒の姿も切り取られている。
映画監督の白石和彌は「恐ろしい。目まぐるしく起こる出来事の連鎖に翻弄され、見ているこちらもすり減っていく」と、森達也は「音楽の使いかた、言葉の一つひとつ、教室と職員室を行き来するカメラワーク、子供たちのちょっとした仕草、映画を構成するすべての要素が、ありえないほどの完成度に達している」とコメント。瀬々敬久は「冷徹に見守りながら至るラストの衝撃。決して問題は解決してない。だが、少しだけ前へ進んだのだろうか。自分たち世界の向き合い方が示された気がした」とつづった。ゲームクリエイターの小島秀夫やドイツ文学翻訳家・池田香代子も本作の感想を寄せている。
「ありふれた教室」は5月17日より東京・新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国でロードショー。
映画「ありふれた教室」予告編
白石和彌(映画監督)コメント
恐ろしい。目まぐるしく起こる出来事の連鎖に翻弄され、見ているこちらもすり減っていく。
教育現場での地獄めぐりを体感させられ、絶対に教師にはなりたくないと誓いたくなる。
しかし、本当に恐ろしいのはラスト数分、いや数秒で全てがひっくり返る瞬間だ。
感じたことのない凄まじい余韻。今年の間違いなく必見の一作だ。
小島秀夫(ゲームクリエイター)コメント
こんなにも息苦しくなる映画はない。最後の最後まで、これでもかと胸や胃を締めつけられ、ラストでは絶望の淵に落とされる。些細な事から、ありふれた学校が憎しみの場所へ、制御の効かない無法地帯へと変貌する。この何処にでもある“教室の崩壊”の経緯を目撃してしまうと、「現実世界からもはや紛争や争いは未来永劫になくならないのでは?」と結論づけざるをえない。鑑賞後の後味の悪さは、“ありふれた映画”のものではない。ご注意を。
森達也(映画監督 / 作家)コメント
あまりにも凝縮された99分。最後まで目を離せない。音楽の使いかた、言葉の一つひとつ、教室と職員室を行き来するカメラワーク、子供たちのちょっとした仕草、映画を構成するすべての要素が、ありえないほどの完成度に達している。
池田香代子(ドイツ文学翻訳家)コメント
些細なミスの重なりが、収拾不能の事態を招く。いったいどうすればよかったのか。とほうに暮れて見回すと、あの教室と相似の社会が私たちを取り巻いている。こんなミステリーがあったのか!
瀬々敬久(映画監督)コメント
学校だけで民族差別や貧困格差と監視社会の危機を描き切っている。
冷徹に見守りながら至るラストの衝撃。決して問題は解決してない。だが、少しだけ前へ進んだのだろうか。
自分たちと世界の向き合い方が示された気がした。
(c) if… Productions/ZDF/arte MMXXII
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