小松菜奈と松田龍平、人物像が180°変わったW主演作語る (original) (raw)

映画「わたくしどもは。」の完成披露試写会が本日4月25日に東京・ニッショーホールで行われ、キャストの小松菜奈松田龍平、監督の富名哲也が出席した。

本作は新潟県の佐渡島を舞台に、現世と来世のはざまで再び出会う男女の行方を描いた物語。小松がミドリと名付けられる記憶をなくした女、松田がアオと名付けられる警備員の男を演じた。

松田の印象を尋ねられた小松は「龍平さんのお話にはツッコミどころがたくさんあります。ボケてくるので、面白い方だなと思いまして(笑)。今回初めましてだったんですが、フランクで優しく、常にどんと構えていらっしゃるので安心感がありました」と回答。対する松田は「ボケようと思っているわけではないんですが、そうなっちゃってるみたいですね(笑)。すかさずツッコんでくれるのでありがたいです」と述べつつ、「小松さんは佐渡島まで1人で船でふらっと来て、フットワークの軽い清々しい方だと思いました」と語った。

前作「ブルー・ウインド・ブローズ」も佐渡島で撮影した富名は、島に眠る“無宿人”の墓から本作のインスピレーションを得たという。製作経緯を問われると「なんらかの理由で戸籍を奪われた人が、金山のある佐渡へ連れて来られて過酷な労働をしていたそうです。そういった方々のお墓があることを知ったことで、この映画がスタートしました」「妻でプロデューサーの畠中(美奈)に『佐渡に行ってみないか』とふいに言われ、最初はクエスチョンマークという感じだったんですが、行ってみたら佐渡が気に入ってしまったんです」と振り返る。

「演じるうえで意識したことは?」という質問に、小松は「所作や目の動きで“わたくしは”感を出すようにしています。特殊な役なので難しかったのですが、佐渡島の少し寂しいような空気も物語と合っていて、安心して演じられました」と答えた。松田は「何もかもを現世に置いてきてしまった空っぽの魂、という感覚で演じていると、息をするのも苦しいような感じがありました」と言い「好きという感情を現世に置いてきてしまっている人物です。よくわからないまま、それでもミドリに惹かれてしまう」「最後のほうはミドリだけを見て、それだけがここにいる理由だと思いながら演じていました」と述懐する。続いて「物語について2人に伝えたことは?」と聞かれた富名が「最初に2人にお会いしたときに、今回は物語やキャラクターを超えて、2人がただそこにいる姿を撮りたいとお伝えしました」と返すと、松田は「僕が深読みしすぎましたかね?」と笑いつつ「この作品は説明もセリフも少ない。佇まいで見せるシーンが多かったので、それが魅力的に感じました」と伝えた。

また小松は「最初の台本には1人ひとりのバックボーンが描かれていたんですが、撮影何日か前にブラッシュアップされて変わりまして。顔の表情やダンスで何かを伝える形になって、観る人に考える余白を与えるものになったのがすごく印象的でした。『わたくしは』というセリフがよく出てきますが、この言葉を普段使わないので、これで大丈夫かな?と戸惑いもしました。(前の台本から)キャラクターが180°変わったんです。ただ現世と来世の間が舞台で、記憶もない人物という設定なので、全部リセットされてそうなったんだと腑に落ちる部分もありました」とコメント。小松から「龍平さんに『(今ので)大丈夫でしたか?』とよく聞いたんですが、『大丈夫だよ』と言ってくださって」と言われた松田は「僕も同じ気持ちだったよ。でも小松さんが大丈夫なのはわかりました。自分のほうが心配だった」と優しくフォローして会場の笑いを誘う。

音楽を手がけた野田洋次郎(RADWIMPS)について話題が及ぶと、小松は「独特の雰囲気が曲にただよっていて、ヒーリング効果があると思いました」、松田は「野田さんから連絡が来て『アオが何を考えているのかわからなくて、曲を作るのが難しいわ』と言われました(笑)。作品に寄り添ってくれる音楽で最高です」と語る。最後に松田は「死を受け入れる心を持ってもいいんだと思わせてくれる、ポジティブな映画だと感じています」とアピールし、小松は以前に死に向き合うような不思議な体験をしたと話しつつ「本当に観る人によってこの映画の捉え方はさまざまだと思います。今日は試写を楽しんでいってもらえたら」と挨拶してイベントは幕を閉じた。

「わたくしどもは。」は5月31日より東京・新宿シネマカリテほか全国で順次公開される。

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映画「わたくしどもは。」本予告