楫野裕が自伝的要素を織り込んだ家族の物語、6月公開 (original) (raw)

「阿吽」の楫野裕による長編映画2作目「胴鳴り」が、6月22日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。あわせてポスタービジュアルと予告編が到着した。

本作は、楫野が自伝的要素を織り込んだロードムービー。ある年の夏、高校を卒業したばかりの光は母・真由美に黙って、会ったことのない父・直秀のために1人で東京に訪れる。突然訪ねてきた娘に戸惑う直秀だが、彼は婚外子である娘の存在を知りながら関わろうとしなかったことに罪悪感を抱いていた。直秀は恋人・沙月とのドライブに光を連れていく。数日後、新潟へ戻ったはずの光が再び直秀の前に現れ、母に会ってほしいと伝えるのだった。

直秀を古屋隆太、光を三谷菜々美が演じ、笹峯愛稲荷卓央小原徳子吉田庸らがキャストに名を連ねる。YouTubeで公開中の予告編には、「お父さんって呼んでいい?」「俺はなんて呼べばいい?」という光と直秀の会話を収録。光に導かれ、直秀と真由美が再会するさまも映し出された。

ドキュメンタリー監督の大島新は「なんだかヘンテコだな、と思いながら観ていたら、いつの間にか惹き込まれていた不思議な映画。ふいに息を飲んだり、ぐっと心をつかまれたり。なぜだろう。もう一度、観てみたい」とつづっている。そのほかの著名人コメントは下記の通り。

映画「胴鳴り」予告編

大島新(ドキュメンタリー監督)コメント

なんだかヘンテコだな、と思いながら観ていたら、いつの間にか惹き込まれていた不思議な映画。ふいに息を飲んだり、ぐっと心をつかまれたり。なぜだろう。もう一度、観てみたい。

安藤尋(映画監督)コメント

これは楫野裕監督が描く「家族の肖像」だ。その肖像は、はかなく、悲しく、滑稽で、残酷だ。娘を演じる三谷菜々美が素晴らしい。彼女の真っ直ぐに開かれた目は、愛されないことを、愛することを、そして、愛せることを、その残酷な肖像のなかに見つめている。

伊藤洋司(中央大学教授)コメント

新潟の覆道も胴鳴りも素晴らしいが、夜道の自動車には本当に驚嘆した。全ての場面に仕掛けがあり、21世紀に入って急速に失われた何かがこの映画には詰まっている。楫野裕は近年の最も挑発的な日本映画を撮ることに成功した。

田村千穂(映画批評家)コメント

魅惑的な、黄色い車で海までドライブ。安全運転のように端正な前半を過ぎると、映画は恐るべきギャグと不穏さを導入し私たちをおびやかし始める。幽霊も宇宙人もすれ違う電車と電車もこれまでに見たことのない鮮烈さで姿を現すだろう。そしてキュートで緻密で大胆きわまりないラスト! 楫野裕の力作「胴鳴り」に瞠目されたい。

(c)The 7th Poetry Society