ゆりやんレトリィバァが映画監督デビュー発表 (original) (raw)

お笑い芸人のゆりやんレトリィバァがフランス・カンヌで現地時間5月18日に行われた日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund I(ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)」の記者会見に出席。映画監督デビューを果たすことを発表し、「K2 Picturesが生んだ、ユリント・イーストウッドになります!」と意気込みを語った。

「孤狼の血」「犬鳴村」「初恋」「シン・仮面ライダー」「キリエのうた」をプロデュースしてきた紀伊宗之が代表取締役CEOを務めるK2 Picturesが“日本映画の新しい生態系を作る”ことを目標に掲げ、本格始動させたK2P Film Fund I。国内外の投資家の日本映画産業への新規参入、クリエイターへの利益還元を推し進めるために立ち上げられ、岩井俊二、是枝裕和、白石和彌、西川美和三池崇史、アニメーション制作会社のMAPPAといったクリエイターともに映画製作を進めていくことを発表したのは既報の通りだ。

新人監督の代表として会見に登壇したゆりやんは、「数年前に朝のテレビ番組で『映画監督になりたい』と言ったのを、たまたまK2 Picturesの高橋大典プロデューサーが見てくださっていて、声をかけてくれました。ずっと抱いていた夢をこんなふうに叶えていただけるんだ!と思い、それからいろんなところで言うようにしています(笑)。K2 Picturesには感謝してもしきれませんので、絶対に恩返しできるようにがんばります!!」と参加の経緯と喜びを語る。

2023年11月に放送された「情熱大陸」の中で、芸人としてのアメリカ進出を目標に掲げ、ロサンゼルスでのスタンダップコメディにも挑んでいたゆりやん。会見では今年12月に活動の拠点をアメリカに移すことも発表し、「世界のYURIYAN RETRIVERになれるようにがんばります! 芸人としてだけでなく、今回、K2 Picturesと製作する作品とともに映画監督としても渡米して、世界中の皆様にこの作品を観ていただけるようになりたいです」と展望を述べた。

会見にはK2 Picturesと製作を進める監督を代表して三池と西川も出席。ゆりやんが「(映画監督として)一番必要なことを教えてください!」と勢いよく質問すると、三池は「まずは絶対に後悔しないように。成功するか面白いものになるかはやってみないとわからない。興行や映画祭でも評価されるかはわからない。自分の面白いと思うものを後悔しないように作るのは絶対に必要だと思います」とアドバイスし、西川も「難しい質問ですが、たくさんの人と関わる映画作りは厳しくとも豊かな仕事だと思います。ゆりやんさんの才能だけでなく、多くの人たちの力を借りてチームで作っていくのが大事なことだと思います」と助言する。ゆりやんは「お二人からの言葉を受けて、クリント・イーストウッドならぬ、ユリント・イーストウッドになります!」と宣言した。

なお会見では、「少女邂逅」で知られる枝優花、「夜明け」が国内外で評価された広瀬奈々子がK2 Picturesと映画の開発を進めていることも明らかに。広瀬が長編実写映画の2作目として準備している企画は、2023年に釜山国際映画祭のAsian Project Market(APM)でCJ賞とARRI賞を受賞していることも発表された。2人がK2 Picturesとの取り組みや新作への思いをつづったコメントは下記の通り。

枝優花 コメント

「平和な国の映画はつまらない」という言葉をたまに耳にします。現在、私は格差や戦争などはっきりとした困難に直面せず、日本で暮らせています。これを世界では平和と呼ぶのかもしれません。しかし日本の10~30代の死亡原因の1位は自殺です。自ら生きる道を辞めたくなる、とはどういうことなのか。本当の豊かさとは何に起因しているのか。実際私自身、日本で暮らしていて言語化し難い自己を蝕むような心の貧困を感じております。そんなとき、スクリーンで出会うべき映画があるはずです。今回、開発している企画は同世代の小出プロデューサーと共に、今の日本で生きる自分たちだからこそ撮れる作品になると信じております

広瀬奈々子 コメント

長編実写映画作品の2作品目として現在進行中のオリジナル作品は、長いあいだ資金調達に難航し、出口が見つからない状態が続いていました。そんな折にK2 Picturesさんから出資していただけることになり、突然に光が差し込んだ思いです。昨年は一緒に釜山国際映画祭に参加して、企画マーケットのAPMでCJ賞とARRI賞の2つの賞を受賞し、とてもいい弾みになっています。来年の撮影に向けて、今まさに船出の準備を整えているところです。
K2 Picturesさんの新しい仕組みづくりと、日本の映画業界の悪循環を変える試みに心から賛同するとともに、ひとりの作り手として、何よりもいい作品をつくることで、彼らの素晴らしい挑戦に貢献できたらと思っております。

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