西尾孔志が監督作「輝け星くず」製作を語る (original) (raw)

映画「輝け星くず」より、監督を務めた西尾孔志のオフィシャルインタビューや本作を鑑賞した著名人からのコメントが到着した。

兵庫・明石市を舞台とする本作では、失敗に容赦のない社会で、過去の事故や家族にとらわれた者たちが再び自分自身の道を生きようとする姿が描かれる。山崎果倫森優作岩谷健司片岡礼子中山求一郎、春田純一らがキャストに名を連ねた。

西尾は山崎の印象について、「群を抜いて気合と迫力がありました。実際の演技でも、ふとした瞬間に『とって喰う』ような動物的な気迫があり、この作品にただのコメディ映画ではない人間的な厚みを与えてくれています」とコメント。森については「関西出身なのもあり、ボソッとしゃべるツッコミのセンスがいいんです」と、岩谷についても「『At the terrace テラスにて』を観たり『岬の兄妹』を観返したりして、この怪しい人物を任せてもいいのはこの人だ! と思い至りました。岩谷さんが持つ優しさと気弱さとユーモアは、この映画の根幹を形作っています」と絶賛している。

さらに物語から感じられる“癒し”については意識的に入れているわけではないそうで、「大阪の下町で生まれ育ったので『人情」と呼ばれるものがDNAに根付いているんだと思います。人と人同士のつながりや、個人の生活のささやかな営みや幸せが、決して古いものではなく今も価値があるものだと信じています」とも言及。また「人生の再出発」がテーマの本作には自身にとっても“再出発”の意味が込められていると明かし、「作品のテーマとのリンクによって、かなり気持ちを乗せて映画を制作できました」「自分自身にとって自然体・等身大な作品になったと感じています」と語った。

映画監督・金子雅和は「彼らの怯えるような日常と同様、様々なことに囚われすっかり自由さを失ってしまった私たちの心に、西尾孔志監督が『映画のマジック(魔法)』をかけてくれる」と、俳優の辻凪子は「私もだれかの特効薬でありたい。西尾さんの映画は人間味に溢れた人達が居て、世界が綺麗に輝いて映る」とつづっている。

「輝け星くず」は6月15日に東京・K's cinemaほか全国で順次公開。なお同館では公開日から23日まで連日舞台挨拶が実施され、監督・キャストのほか映画監督の安川有果、シンガーのAzumiWyolica)らが日替わりでゲスト登壇を予定している。

※山崎果倫の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記

「輝け星くず」舞台挨拶

東京都 K's cinema

<登壇者>
2024年6月15日(土)18:45回 山崎果倫、森優作、金延宏明(製作総指揮)、西尾孔志
2024年6月16日(日)18:45回 山崎果倫、森優作、金延宏明(製作総指揮)、西尾孔志
2024年6月17日(月)18:45回 今西祐子(映画監督 / 脚本家)、いとう菜のは(脚本)、西尾孔志
2024年6月18日(火)18:45回 佐々木敦(思考家 / 批評家 / 文筆家)、西尾孔志
2024年6月19日(水)18:45回 七里圭(映画監督)、中山求一郎、西尾孔志
2024年6月20日(木)18:45回 小野峻志(映画監督)、西尾孔志
2024年6月21日(金)18:45回 Azumi(Wyolica / シンガー)、西尾孔志
2024年6月22日(土)18:30回 安川有果(映画監督)、西尾孔志
2024年6月23日(日)18:30回 片岡礼子、西尾孔志
※すべて本編上映後に実施

金子雅和(映画監督)コメント

劇中で「おれ、自由じゃないと駄目なんだ」と言い続ける元マジシャンの中年男と、その娘&彼氏。
彼らの怯えるような日常と同様、様々なことに囚われすっかり自由さを失ってしまった私たちの心に、西尾孔志監督が「映画のマジック(魔法)」をかけてくれる。

辻凪子(俳優)コメント

相手のことを否定しない優しい星くずたち。
私もだれかの特効薬でありたい。
西尾さんの映画は人間味に溢れた人達が居て、世界が綺麗に輝いて映る。

長谷川千紗(俳優 / 映画監督)コメント

自分の弱さを自覚しつつ、他人に対してはどこまでも優しい登場人物たち。
過激な題材を扱ってはいるけれど、瀬戸内に流れる心地の良い穏やかな時間のような映画でした。
他人に対する優しさを、自分に向けてあげてもいいんじゃないかな。
あなたが傍にいてくれるなら、そうできるような気がする。

小野峻志(映画監督)コメント

西尾孔志監督は普段「『野球どアホウ未亡人』を観て泣いちゃった」とかワケワカランこと言っているくせに、こんな王道の人情喜劇を撮ってしまうからホントにズルいです! 私の出来る仕返しといえば、「輝け星くず」でキラキラした魅力を放つ山崎果倫さんにバカな役を演らせてこの感動をぶち壊すことぐらいです。

溝井辰明(映画監督 / 写真作家)コメント

「若いうちに失敗はしておけ」
とはよく言いますが、失敗してしまった人の受け皿は実際どれくらいあるのだろう。
他人の失敗に厳しい世の中で、そっと光る小さな星、それがこの映画「輝け星くず」ではないでしょうか。

“普通”という道から外れてしまった彼女・かや乃を支える光太郎、そんな彼が優しく握ったのは…彼女の父親の手!?
平坦ではない、近道もない、それでも人と人は繋がっている、愛情という架け橋で。

太田真博(映画監督)コメント

絵本のような映画だ。
監督は勇気ある引き算によってリアリティや切実さを遠ざけた。ぽっかりと空いたその隙間には、甘っちょろさにも似た優しさがこれでもかと詰め込まれている。
優しすぎて誰かの背中を押す力は弱めかもしれないが、背中を押されずとも生きなくちゃ! と逆説的に力強いメッセージをくれているような気もする。
逮捕歴のある自分は、こんなことを感じた。

七里圭(映画監督)コメント

しみる映画でした。つながりに繋がれて、ゆるやかな監視と管理を受け入れつつある世の中で、「自由でないとダメなんだよお」というオヤジのボヤキは、心に響くなあ。

松崎まこと(映画活動家 / 放送作家)コメント

クズはクズのままでも、
輝く術は、きっとある…。

心がぶっ壊れてしまった父と娘に、
振り回されながらも優しく寄り添う青年という構図が、
西尾孔志監督が敬愛する
亡き森崎東の“重喜劇”を彷彿とさせた。

山口淳太(ヨーロッパ企画 / 映画監督)コメント

ダイナミックな風景と、ミニマムな人間模様。
パニック障害の表現の、実にリアルでありつつ可愛くて優しいところ。
対比であり白黒つけない西尾監督の演出が素敵でした。
悲しさを忘れるくらい絶望的で、未来が無くて、ほかの選択肢も無いそんな状況でも、一緒にいてくれる人がいる尊さを改めて感じます。

(c)ノブ・ピクチャーズ

映画「輝け星くず」東京公開版予告編