「めくらやなぎと眠る女」磯村勇斗が監督の胃袋つかむ (original) (raw)

「めくらやなぎと眠る女」磯村勇斗が監督の胃袋つかむ、玄理は作品に“一目惚れ”

2024年7月1日 20:26 5

長編アニメーション「めくらやなぎと眠る女」の日本語版完成披露上映会が本日7月1日に東京・グランドシネマサンシャインで行われ、声のキャストである磯村勇斗玄理塚本晋也が登壇した。

村上春樹の短編小説「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと、眠る女」を音楽家・アニメーション作家のピエール・フォルデスが映像化した本作。大地震によって、人生に行き詰まっていることにすら気付いていなかった人々が自己の中の真実を見つめ、目覚めていくさまが描かれる。日本語版では、磯村が平凡で欲のない銀行員・小村、玄理が小村の妻・キョウコ、塚本が“かえるくん”とともに大地震から東京を救おうとする片桐に声を当てた。

本作への参加は「期待しかなかった」と話す磯村は「“THEアニメ”というよりは、実写映画を撮るような現場だと聞いていました。また新しいことに出会えるとワクワクしましたね」と述懐。玄理は「オリジナル版を観たときは、一目惚れのような気持ちでした」と表現し「村上春樹さん原作の作品は漏れなく観てきました。この作品が名前を並べると思うと、感無量です」と言葉を紡ぐ。塚本は「直感的に面白そうだと思いましたが『声を合わせればいい』と甘く考えていました(笑)。メールで演出のプランが送られてくるのですが、日本の俳優も台本通り演技をして撮っていくと書いてあって、身構えて準備をしていきました」と振り返った。

収録について磯村は「そのシーンのキャラクターと僕たちが同じ動きをしながら声を当てていくんです」と説明し「寝転がる場面では体勢的に手が空かず、台本をどこに置いたらいいのか悩み、体がジョジョ(の奇妙な冒険)みたいな角度になっちゃいました(笑)。リアリティを求めすぎて難しかったです」とほほえむ。玄理は「(本作は)ライブアニメーションという特殊な手法で作られていて、カナダ人の俳優さんの芝居を動画に撮り、それをアニメーションにしています。そのため、どうしてもオリジナルの芝居を意識せざるを得ませんでした。“この体格・年齢の女性”と考えるともう少し声を落としたく、体を弛緩させた状態で声を出すといいなと研究しました」とコメントした。

収録現場にはフォルデスと、日本語版の演出を担った深田晃司が同席していたという。磯村は「ピエールさんは英語で説明してくださり、深田さんもご自身の解釈で演出してくださる。僕らは間に挟まれて『2人の言ってることが違うな……』ということも(笑)」と明かし、「ピエールさんのフランス的感覚と深田さんの日本的感覚が混ざったものが生まれた気がします。化学反応が起こったと、ポジティブに考えています」と口にする。一方、塚本は「僕は収録の最終日に参加したので、そのせめぎ合いはなかったですね。それまでの皆さんの収録を経て、やり方が整理されたんだと思います」と述べ、「監督はこだわりがある方で、説明がすごくわかりやすかった。明らかに、最初に自分が演じたものよりよくなるんです。俳優に自由に演技をさせる方法もあるけど、監督がこだわるほうが僕は好きです」と伝えた。

イベントでは、フォルデスからのコメントが代読される一幕も。「磯村勇斗さんは、素晴らしい若手俳優でした。磯村さんも私自身も、お互いにとても相性よく感じていたと思いますし、村上春樹の作り出すキャラクターが持つある種のカジュアルさのようなものをとてもよく理解なさっていたと思います」とメッセージが読み上げられると、磯村は「うれしいです。いろいろとチョコとか和菓子を差し入れしてよかったです。胃袋をつかむって大事ですね」とジョークを飛ばし、笑いを誘った。

「めくらやなぎと眠る女」は7月26日に東京・ユーロスペースほか全国で公開。

※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記

映画「めくらやなぎと眠る女」日本語版特別映像

(c)2022 Cinéma Defacto – Miyu Prodcutions – Doghouse Films – 9402-9238 Québec inc. (micro_scope – Prodcutions l’unité centrale) – An Origianl Pictures – Studio Ma – Arte France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

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