「ナミビアの砂漠」河合優実と山中瑶子は“相思相愛” (original) (raw)
河合優実と山中瑶子は相思相愛、“いつか一緒に”から生まれた「ナミビアの砂漠」披露
2024年8月22日 20:57 3
映画「ナミビアの砂漠」のジャパンプレミアが本日8月22日に東京・TOHOシネマズ 日比谷で行われ、キャストの河合優実、金子大地、寛一郎、監督を務めた山中瑶子が登壇した。
本作は何に対しても情熱を持てず、恋愛すら暇つぶしだと感じている21歳のカナの物語。カナを演じた河合は、登壇してまず「皆さんにこの映画を観てもらうことがすごく楽しみで、待ち切れなかったです。この日を無事に迎えられて、1人ひとりに届けられることがすごくうれしい」と安堵の表情を見せる。
第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、国際映画批評家連盟賞を受賞した本作。これまで日本から青山真治の「EUREKA(ユリイカ)」、黒沢清の「回路」、濱口竜介の「ドライブ・マイ・カー」といった映画が受賞してきた賞であり、山中は「(受賞作は)外国の映画も含めて、自分が影響を受けたり、圧倒されたりした作品ばかり。なので、ちょっと全然ピンとはきてないです(笑)」と受賞の感慨を述べた。
PFFアワード2017で観客賞を受賞し、第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品された「あみこ」で注目を浴びた山中。河合はまだ俳優活動を始める前の18歳の頃、同作を映画館で観て、山中に直接手紙を渡した縁があるそうで「そのとき(俳優を)志してはいたので『いつか一緒にやりたいです』と伝えたことがあったんです。そこから5、6年は連絡先も知らなかったんですが、今回一緒に映画をできることになって」と振り返る。
その後、映画で活躍を始める河合の姿を見ていた山中は「あの約束はまだ効いてるのかなって……約束でもないのかな。でも、そう思っていて。一緒にできたらうれしいなと思っていたんですけど、私が本当に脚本を書くのに時間がかかるタイプで……。かなりお待たせしてしまった」と述懐。「脚本を書く前の段階から、河合さんの存在には背中を押されていました。『感無量』という言葉を初めて言いたい気持ちです」と明かし、河合は「相思相愛でよかったです」と笑みをこぼした。
カナのキャラクターには河合本人の資質が反映されている部分もあるそうで、河合曰く、それは「あまり人の話を聞いてないところ」。山中が「脚本を書く前にヒントを得たくて何度かお話をさせてもらったときに『自分の嫌なところはありますか?』と聞いたら『人の話をたまに聞いてない』と言っていて。でも周りの人は(河合が)聞いてないことに気付かないと思います。そうじゃないですか?」と尋ねると、河合が「そうですね。さも聞いているかのような顔をして……聞いてないことがたまにあります」とかしこまる一幕も。
男性陣は、カナと付き合い始める自信家のクリエイター・ハヤシを金子が演じ、カナに尽くすが捨てられる“優しくても退屈な男”ホンダに寛一郎が扮している。自分がどの役を演じるかわからない段階で脚本を読んだという金子は「そのときは勝手にホンダを演じるんだと思って。きっと俺はホンダなのかなって。すごく共感できた」と吐露。「共感できる」という言葉に周囲のキャストが思わず笑いを漏らすと、寛一郎は「たぶん観終わったあと、彼が言った『共感できる』はめちゃくちゃ面白いことに感じると思います」と期待をあおった。
「退屈」と評されるホンダについて、寛一郎は「脚本には『退屈な男』とは書いてないんです。でも退屈さみたいなものが出たゆえんは僕にあるんじゃないかと思います。自分を卑下して言ってるわけじゃなくて」とコメント。これを受け、山中は「“退屈な男”と思いながら脚本を書いていたわけでもなかったので、寛一郎さんがホンダという役にかなり奥行きと立体感を与えてくれたと思います。恥をかくことをまったく恐れない感じが素晴らしかった」と称賛する。ふいに寛一郎が「僕は退屈じゃないんですか」と口にすると、山中は「全然、退屈じゃないと思う。別に退屈でもいいですしね」と言葉を返した。
また金子は「カナとのやり取りでは、自分はハヤシなんですけど、(自分自身が)本当にイラッとする瞬間もあった」と、カナに相対するハヤシへの共感を告白。寛一郎が「本当に“いい具合に”男性も描いていて、監督すごい。どうやって考えたのか気になる」と聞くと、山中は「2時間を超えるような長編映画を作るのは初めてだったので、私だけの脳では書ききれなかった。若いスタッフとか、友人とか、全然知らないカップルとか、いろんな人に話を聞いて具体的にエピソードに反映している箇所もあります」と話した。
イベントの最後には、カナの「いじわるで、嘘つきで、暴力的。だけどみんなが夢中になる女性」という人物像にちなみ、俳優陣が自身を表すキャッチコピーを発表。金子が「陽気な小心者」、寛一郎が「天邪鬼で、わがままな、飽き性。」と回答する中、河合は「プロクラスティネーター」と答え、聞き慣れない言葉に一同は疑問符を浮かべる。河合は「最近、家族から教えてもらった言葉なんですけど。先延ばし癖のある人をこう呼ぶらしいです。横文字でキャッチコピーっぽいのでこれにしました(笑)」と解説。これに山中が「それなら私が一番、そうです。だって、ずっと脚本を待たせてしまったから」と反応して、笑いを誘った。
映画「ナミビアの砂漠」は9月6日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
(c)2024『ナミビアの砂漠』製作委員会