特集「生誕100年 増村保造新発見!」を岨手由貴子、枝優花、児玉美月らが推薦 (original) (raw)

第46回ぴあフィルムフェスティバル2024の招待作品部門として開催される特集上映「生誕100年 増村保造新発見!~決断する女たち~」。このたび、チラシビジュアルと増村保造の作品を愛する4名の著名人によるコメントが到着した。

8月25日に生誕100年を迎えた増村の未配信の8作品を含めた13本を特集するPFF2024。江戸川乱歩の同名小説を原作にした密室劇「盲獣」の4Kデジタル修復版が日本初上映となる。チラシビジュアルには「巨人と玩具」より野添ひとみ演じるキャンペーンガールが宇宙服のコスチュームでほほえむカットを中心に、「暖流」の左幸子、「痴人の愛」の安田道代大楠道代)、「大地の子守歌」の原田美枝子、「女体」の浅丘ルリ子、「動脈列島」の梶芽衣子、そして「盲獣」の緑魔子という女性たちの姿が切り取られた。緑、原田、梶の3人は、期間中にトークゲストとして登壇する予定だ。YouTubeでは「盲獣」「痴人の愛」の封切り時の予告編が公開されている。

「あのこは貴族」で知られる映画監督・岨手由貴子は「増村作品に登場する個性的な女性たちは、根っからの異端者ではなく、ちゃんと社会の中で生きている。ある意味、真っ直ぐに。だから観客は共鳴し、魅了され、映画が終わるころには別の場所へと誘われている」と述べ、「少女邂逅」の枝優花は「ヌーヴェルヴァーグの空気を纏う増村作品を、今観ると『新しい』と感じると思う。日本映画なのにヨーロッパのよう。でも映っているものは日本なので親しみもある。昔の映画だと思ってハードルをあげずに観ていただきたい」と推薦した。映画批評家の児玉美月、日本大学芸術学部映画学科の卒業論文で増村を取り上げたモデル・田迎生成によるコメントも下記の通り。

第46回ぴあフィルムフェスティバル2024は、9月7日から21日にかけて東京・国立映画アーカイブで開催。

枝優花(映画監督・脚本・写真家)コメント

「青空娘」は、今の時代で考えると内容はツッコミどころ満載で「おい!」という感じだが、とにかく映像が素晴らしい。物語においてキーとなる「青」。カラーフィルムでしか出せない色味が印象的で、澄みきるような爽やかさの青でもなく、青であるのに温かい。これが絶妙に物語のおかしさを説得力としてもっていっており、不思議な映画。
ヌーヴェルヴァーグの空気を纏う増村作品を、今観ると「新しい」と感じると思う。日本映画なのにヨーロッパのよう。でも映っているものは日本なので親しみもある。昔の映画だと思ってハードルをあげずに観ていただきたい。

児玉美月(映画批評家)コメント

「女体」のファム・ファタールたる浅丘ルリ子はその迸る身体を躍動させて、
“男なら許されるのに女には許されない"熱情と奔放に満ちた人生を体現してみせる。
増村保造がスクリーンに命を吹き込んだそんな女たちと、
わたしたちは今こそ出逢い直すべきなのだ。

岨手由貴子(映画監督)コメント

増村作品に登場する個性的な女性たちは、根っからの異端者ではなく、ちゃんと社会の中で生きている。
ある意味、真っ直ぐに。
だから観客は共鳴し、魅了され、映画が終わるころには別の場所へと誘われている。
いまの世の中を生きる我々が、いかに意志薄弱であるか。
それを思い知らされ、打ちのめされるような映画体験は、大変に有意義で、気持ちが良い。

田迎生成(モデル)コメント

“早すぎたモダニスト”増村保造。当時そう呼ばれたのは、作中でダイナミックなemotionが体現された女性たちが描かれているのが理由の1つ。「くちづけ」(1957)の野添ひとみや「妻は告白する」(1961)の若尾文子などが演じる女性は、自分の欲求に真っ直ぐで、彼女たちは大きく叫び、泣き、怒り、喜び、自分の感情を言葉や身体で主張し、決断していく。そんな彼女たちのエネルギーは、増村作品で印象的な食事のシーンで表現されているので是非そこにも注目してほしい。令和は“昭和のモダニスト増村保造”に追いついたのか!

第46回ぴあフィルムフェスティバル2024

2024年9月7日(土)~21日(土)東京都 国立映画アーカイブ
※月曜休館

ぴあフィルムフェスティバル in 京都2024

2024年11月9日(土)~17日(日)京都府 京都文化博物館
※月曜休館

生誕100年・増村保造新発見!~決断する女たち~

<上映作品>

映画「盲獣」予告編

映画「痴人の愛」予告編

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