自閉症の少年を描くいた映画から監督が学んだこと (original) (raw)
自閉症の少年を描く「ぼくとパパ、約束の週末」、監督が撮影で学んだことは
2024年11月17日 15:15 5
映画「ぼくとパパ、約束の週末」の監督であるマルク・ローテムントのインタビューと新場面写真が到着。日本のファンへ向けたメッセージ動画もYouTubeで公開された。
実話をもとにした本作では、自閉症の少年ジェイソンがサッカーの推しチームを決めるため、父親ミルコとドイツ中のスタジアムを巡る週末旅が描かれる。「100日間のシンプルライフ」のフロリアン・ダーヴィト・フィッツがミルコを演じ、ジェイソン役にはセシリオ・アンドレセンが扮した。
ローテムントはこの作品に参加することになった決め手として、自身がプロではないものの10年間サッカー選手としてプレイしていたこと、バイエルン・ミュンヘンのファンであることなどを挙げる。またオファーがあったのは彼に初めての息子が生まれたばかりだったという。映画は母親のファティメがジェイソンと末っ子の赤ちゃんの面倒を1人で見ているうちに限界に達し、ミルコが「私はできる」という姿勢でこの役目に立ち向かったものの、最初は失敗するというストーリー。これに対しローテムントは「ものすごく共感しました。さらにミルコが息子の特別なものの見方を通してどれほど多くのことを学んだか、ということにも感銘を受けました」と明かした。
「自閉症をありのままに描写しようとすることは難しいのでは?」という質問に対し、ローテムントは「『自閉症は病気ではない』。これをまず私は最初に明確にしなければなりませんでした。自閉症は障碍です。この障碍でもっとも偏見にさらされるのは、家族と自閉症の人たち自身です。それは見た目では自閉症とわからないからです。自閉症は治りません」とコメント。「しかし、もめ事を事前に避けられるような、この障碍との関わり方を学ぶことで、自閉症の人たちがずっと生活しやすくなるようなチャンスはあると思います。ミルコ、ファティメ、そして祖父母たちがジェイソンとともに最良の道を見つけるために全力を尽くす姿にわたしは魅了されました。わたしはこの題材と仕事から私生活に関する多くのことを学びましたし、自閉症を持つこどもたちとの接し方について多くを学びました」と続けた。
ローテムントはモデルとなった親子とのコミュニケーションについてもコメント。「自閉症であるジェイソンは、そんなに人と知り合いになりたがらず、人付き合いは難しい。そこで私はすごく事務的に『私と会うことは、彼らの物語を可能な限り最高の形で映画館のスクリーンに映し出すためであって、彼と個人的に親しくなるためではない』と伝えました。そうしたら彼はすぐ納得した。大義のためだったんです。一方、父ミルコ・フォン・ユターツェンカとはとてもフレンドリーな関係で、おしゃべりも弾みました。ある意味、私たちは同じ志を持った人間なのだと思います」と振り返った。
メッセージ動画は、バイエルン・ミュンヘンのホームであるアリアンツ・アレーナ前で撮影されたもの。ローテムントは「映画を気に入ってくださったらいいなあ。日本のみなさんのところにものすごく行きたいです。ゾフィー・ショルの映画(『白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々』)で日本に行ったときのことは、素晴らしい思い出です。みなさまが良い時間を過ごされることを願っています。日本のみなさまにお会いできること、良い上映になることを願っています。映画が気に入ったらぜひほかのみんなにも勧めてください!」とコメントしている。
「ぼくとパパ、約束の週末」は全国で公開中。
「ぼくとパパ、約束の週末」マルク・ローテムント監督メッセージ動画
(c)2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH
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