「ANORA」監督、憧れの梶芽衣子と初対面 (original) (raw)

第97回アカデミー賞で作品賞など5部門に輝いた「ANORA アノーラ」の来日記念舞台挨拶が、本日3月8日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、監督のショーン・ベイカーとプロデューサーのサマンサ・クァンが出席。花束ゲストとして女優の梶芽衣子がサプライズ登壇した。

「ANORA アノーラ」は米ニューヨークでストリップダンサーとして働くアノーラが、ロシアの御曹司イヴァンの“契約彼女”となり、結婚へと突き進む物語。彼の両親から猛反対されたことで、事態は大騒動に発展していく。日本時間3月3日に授賞式が行われた第97回アカデミー賞では、作品賞をはじめ監督賞、脚本賞、編集賞、主演女優賞を受賞した。

受賞直後の来日となり、ベイカーは「まるで日本でセレブレーションしているかのような感覚です」と笑みを浮かべる。オスカー像を両手で大事そうに抱え、「外で拾ってきたんだ(笑)」とジョークを飛ばしつつ「今手にしているのは監督賞の像です。本当は全部持ってきたかったんですけど、けっこうな重量なんです」と明かした。また「日本の皆さんに応援していただけるのは、僕にとって意義深いこと。日本映画の大ファンだし、作品を撮るうえでも大いに影響を受けているので、このようにオスカー受賞を日本で祝福できてうれしい」と声を弾ませた。

本作が多くの観客の心に響く要因について、ベイカーは「私もいまだにサマンサと分析しているところですが、おそらく……」と前置きし、「叶えたい夢がある人はアノーラのキャラクターに共感するんだと思います。夢をつかもうと必死になったり、その夢を奪われかねない状況になったり。そういう主人公に共感してくださっているのでは」と語る。さらに「もう1つは、素晴らしいキャストがそろったこと。それぞれユニークな役柄で、一緒にひとときを過ごしてみたいと思える人物像を作り出している。それゆえ楽しい作品になったのかと思います」と続けた。クァンも「夢を追いかけるアノーラに夢中になり、彼女の夢が叶いますようにという気持ちで観ているんだと思います。夢が実現する可能性を信じたいから、この映画に共感できるんじゃないでしょうか」と、感情移入が大きなポイントであることを伝えた。

舞台挨拶の終盤、ベイカーとクァンを祝福するために梶が花束を持って壇上へ。日本映画に造詣が深いベイカーは、本作の役作りの参考として、アノーラ役のマイキー・マディソンに梶の主演作「女囚701号・さそり」を渡していたという。思ってもいないサプライズに、ベイカーは口をあんぐりと開けて梶から花束を受け取ると、満面の笑みで喜びをあらわにする。梶から「本当に素敵な映画でした。詳しくは言いませんけど、観て驚いたほうがいい。令和の恋愛ドラマは、こういうものかと。私みたいなアナログ人間にとってはちょっと驚きでしたけど、最後は感動。素晴らしかったです」と絶賛を受け、ベイカーは「スターにお会いできて少しぽけっとしています。この映画はアナログで撮っていますし、私は梶さんが出演された映画、そしてあの時代の日本映画のファン。そういう意味ではこちらもアナログです」とほほえんだ。

梶も「こんな素敵な監督が私のファンでいてくださるのは非常に光栄」と述べ、「私事ですけど、1つよろしいかしら。私は昭和40年に日活映画でデビューさせていただいて。その初めての撮影の日、つまりデビューの日がちょうど60年前の3月8日だったんです。すごくない、この偶然? 鳥肌が立ちました。センキューソーマッチですよ!」と述べ、ともに祝福し合えることを喜ぶ。さらに「3月は活動60周年を記念してレコード(ニューアルバム『7(セッテ)』)も出すんです。これは宣伝になっちゃう(笑)。3月24日は私の誕生日ですし、最高のプレゼントです」と早口で続けると、ベイカーは圧倒されながら「ハッピーバースデー!」と祝う。クァンは「こんな大事になるとは、まだオスカー授賞式が続いているみたいです」と驚きを口にした。

またベイカーは「マイキーに役作りしてもらうにあたり、早い段階で『女囚701号・さそり』を観てもらいました。この映画の梶さんの、力強く堂々として、家父長制に対して戦う姿、体を張った演技を観てほしかった。『女囚701号・さそり』と『ANORA アノーラ』はだいぶ違う作品だけど、確実にDNAは受け継がれています」と述懐。梶が「アノーラ役の彼女は最高でしたね! 観ていて気持ちよかったし、すがすがしさが残りました」とたたえると、ベイカーは「梶さんからいただいた言葉を、そのままマイキーにも伝えます」と約束した。

イベントの締めには、くす玉を割って日本式のお祝いをすることに。ベイカーとクァンは慎重に「せーの」のタイミングに合わせて紐を引っ張り、日本の観客とともに受賞の喜びを噛み締めた。

「ANORA アノーラ」は全国で上映中。

※「ANORA アノーラ」はR18+指定作品

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映画「ANORA アノーラ」予告編

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