黒沢清が山中瑶子の「ナミビアの砂漠」を絶賛 (original) (raw)

「ナミビアの砂漠」山中瑶子が大島渚賞に輝く、審査員長・黒沢清が絶賛「感銘を受けた」

2025年3月17日 20:43 11

映画「ナミビアの砂漠」を監督した山中瑶子が本日3月17日、東京・丸ビルホールにて行われた第6回大島渚賞の授賞式に出席した。目にうっすらと涙を浮かべながら受賞の喜びを語ったほか、現在準備しているという新たな企画にも言及。また審査員長の黒沢清は講評の中で「ナミビアの砂漠」を絶賛した。

ぴあフィルムフェスティバル(PFF)が2019年に創設した同賞は、映画の未来を拓き世界へ羽ばたこうとする若手監督に贈られるもの。かつて大島渚が高い志を持って世界に挑戦したように、それに続く次世代の監督を期待と称賛を込めて顕彰している。第1回から審査員長を務めていた坂本龍一の死去に伴い、昨年度から黒沢が審査員長を務め、PFFディレクター・荒木啓子と2名で審査を行っている。

第6回の審査講評として、黒沢は「作品をいろいろと観ていますが、正直なかなか簡単には出会えない。今年も大変でした」と述懐。「今の日本の若い監督は、自分のよく知っている身の回りのこと、自分の心の中に湧き上がることを映画にすることにつけては、ものすごい力を発揮する方が多いが、それだけでは大島渚の名に値しない」と大島渚の名にふさわしい賞にするためのハードルを設けていることを明かす。そして「少しでも自分の世界の外側に飛び出し、それを壊してみよう、そういう思考を感じる映画はないものかと。やっと巡り会えたと思えたのが『ナミビアの砂漠』です」と語る。

続けて「この映画は、途中までは主人公が狭い世界だけに生きていて袋小路に陥ってしまうのですが、後半のあるところから、ふっと客観的な視点と、それまでの小さな世界を壊そうという意図を感じて、僕はいたく感銘を受けました」と絶賛。「この先、まったく新しい、世界へ風穴を開けてくれる、そんな映画を作ってくれるのではないかと期待を持ちました」「結論がどうなろうと、知っている世界を壊して少しでも外に出ていこうとする、それを表現するのに映画は本当に強い力を持っている、と証明した監督こそが大島渚です。山中監督の『ナミビアの砂漠』はまさに今年の受賞にふさわしいと思いました。おめでとうございます」と山中をたたえた。

大島渚を父に持つドキュメンタリー監督の大島新もプレゼンターとして登壇。「山中監督はまさにオリジナリティの塊のような監督で、よくこんなことを思いつくな、よくこんなセリフを考えつくなと本当に感服しておりました。それだけならともかく、それをきっちり映像に落とし込んで、しっかりと面白い作品に仕上げていることが素晴らしいなと思います」と称賛し、「これから海外にどんどん出ていく飛び抜けた才能だと思いますので、大島渚賞に山中監督が選ばれて、(大島渚の)家族として、大島プロダクションの代表としてとてもうれしく思います」と祝福した。

ステージに登壇した山中は「普段はこういうことで泣かないのですが、泣いてしまいました。身に余るうれしい賞をいただけて恐縮しております。本当に関わってくださった皆様には感謝しています」と謝辞を述べる。「1作目の『あみこ』でPFFに見つけてもらった自負があるので、またこうして祝っていただけたことがうれしいのと、坂本龍一さんにもお世話になったので、映画を観てほしかったなという気持ちもあります」と、時折、声を震わせながら受賞の喜びを語った。

そして「大島渚監督は、すごく時代と社会を撹拌して転覆させるような映画を作られてきた方で尊敬しているので、身が引き締まる思いで、私もそういった映画を作りたい。今1つ企画があり、社会を転覆させる映画を作りたいと思っています!」と強い意志を込めた言葉で挨拶を締めくくった。

河合優実が主演を務めた「ナミビアの砂漠」は、何に対しても情熱を持てず、恋愛すら暇つぶしだと感じている21歳のカナがもがき、ぶつかり、自分自身に追い詰められていく物語。現在Prime Video(プライムビデオ)で見放題独占配信中だ。5月9日にはBlu-rayが発売される。

※大島渚の渚は旧字体が正式表記

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