イ・ユンソク、ジェヒョンとの撮影回想「尊敬できる人」 (original) (raw)

K-POPグループ・NCTのメンバー、ジェヒョンの映画デビュー作「6時間後に君は死ぬ」(原題「6시간 후 너는 죽는다」)が大阪アジアン映画祭で日本初上映。本日3月18日に行われたトークイベントに監督のイ・ユンソクと原作者の高野和明が登壇した。

同名の推理小説を原作にした本作は、他人の未来が見えるミステリアスな男性ジュヌと、30歳の誕生日にジュヌから「6時間後に死ぬ」と予言された女性ジョンユンを描いた物語。2人が予見された未来と運命に逆らうため、6時間後までに連続殺人犯を見つけ出そうとするさまが描かれる。ジェヒョンがジュヌを演じたほか、ジョンユンに「炎上ドライブ」のパク・ジュヒョン、刑事のギフンに「目撃者」のクァク・シヤンが扮した。

本作のプロジェクトは、プロデューサーであるイ・ウンギョンが6年ほど前に高野から映画化の許可を取りスタートしたそう。しかしなかなか実現せず、数年経った頃、監督としてイ・ユンソクに白羽の矢が立った。当時のことをイ・ユンソクは「日本で18年ほど映像の仕事をしていたんですが、韓国に引き上げようと思っていたんです。そんなときに、イ・ウンギョンさんから『6時間後に君は死ぬ』の話を聞きました。原作と脚本を読んで、この本なら監督してみたいと思いました」と振り返る。高野は「イ・ウンギョンさんはとても信用できる方ですし、韓国映画のレベルの高さはよくわかっていたので信頼してお任せしていたんですが、期待以上に報われた感じがしています」と太鼓判を押す。また「犯人にたどり着く過程は原作通りなのか?」と問われると「過程は微妙に原作と違うんです。将棋に例えるなら詰み筋が違う。なので原作者が観ていても非常にハラハラしました。映画としてはこちらのほうが正解だと思います」と語った。

原作とは異なり韓国が舞台となっている本作。イ・ユンソクは「原作のコアな部分は変えず、運命に立ち向かう2人をそのまま描いています。ただ小説が発表されてから10年以上経っているということもあり、ローカライズするにあたって、現在の韓国や若い人を取り巻く環境についていろいろと調べました」と述べ、「自分が韓国に戻って感じたのは、競争が激しい社会の中で若い人が息苦しさを感じていたり、未来が見えない状況にあることだったんです。人は明日があればなんとかつらいことも耐えられると思うんですが、明日も見えない若者がいる。そういった人たちをこの作品に投影しようと思って作ったキャラクターがジュヌとジョンユンです」と説明した。

原作には登場しない「歯を食いしばって生きろ」というジョンユンの言葉がたびたび登場することに話が及ぶと、高野は「小説には登場しないんですが、自分の下積み時代が映画のヒロインに投影されていたんです。特にイ・ユンソクさんたちにはお伝えしていなかったことなので驚きました」と述べ、会場で涙している人に「私もこの映画を観て5回泣きました。ジョンユンが自分の苦しさを刑事に訴えかけるシーンに一番グッときました」と伝えた。

イベント中盤にはジェヒョンの印象をイ・ユンソクが語る場面も。「先入観がないまま顔合わせをしたんですが、そのときは歳相応の普通の青年という印象だったんです。ただ撮影に入ると、アイドルという厳しい世界でトップに君臨しているのでタフなところがあり、さらにタフなだけじゃなく優しい心を持っているということがわかりました。スタッフに対する接し方が素晴らしい。また撮影中にファンの方が集まることもあったんですが対応がとても紳士的でした。自分とジェヒョンは20歳ぐらい年齢が離れていますが、彼は尊敬できる人。いい人に出会えたなと思っています」と口にする。再タッグを願う声が飛ぶと「また出てもらいたいですが、冷静に考えると監督も俳優も選ばれる立場なので、自分もがんばらないと、ジェヒョンにたどり着けない(笑)。彼は今、軍隊に行っていますが、戻ってきたらめちゃくちゃいい作品に恵まれると思うんです。だから私もまた成長しないといけない。いずれ一緒に作品を撮ってみたいです」と願いを込めた。

「ジュヌが登場するシーンで一番苦労した場面は?」と尋ねられると、イ・ユンソクは「アクションシーンは体力的に厳しかったのではないかと思います。よくダンスができる人はアクションもうまいと言われますが、アクションと踊りでは体の使い方が違う。だからジェヒョンはアクション監督とクァク・シヤンさんとかなり練習していました。自分としてはアクションの美しさよりもジュヌの怒りを表現することが重要だと思っていたんですが、それには成功したと思っています。ファンの方はわかると思うんですが、ジェヒョンはそんなに感情を表に出す人ではないんです。でもアクションシーンではどんどんどんどん感情が表に出ていました」と回想した。

「6時間後に君は死ぬ」は5月16日より東京・シネマート新宿ほか全国で公開。第20回大阪アジアン映画祭は3月23日まで大阪・ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館にて開催される。

韓国映画「6時間後に君は死ぬ」ティザー予告

第20回大阪アジアン映画祭(OAFF2025)

2025年3月14日(金)~23日(日)大阪府 ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館

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