リム・カーワイの特集上映が全国で順次開催 (original) (raw)

リム・カーワイの映画監督人生16周年を記念した特集上映「境界を超える無国籍映画“シネマドリフター” リム・カーワイ─新世界の夜明け─」が、3月20日より東京・シモキタ - エキマエ - シネマ「K2」ほか全国で順次開催されることが決定。あわせてメインビジュアル、カーワイと著名人からのコメントが到着した。

大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、シネマドリフター(映画流れ者)を自称するマレーシア出身のカーワイ。香港インディペンデント映画祭の主催、台湾文化センター台湾映画上映会のキュレーション、香港映画「星くずの片隅で」「香港の流れ者たち」の配給など、映画監督以外でも活動の場を広げている。

特集のラインナップには10作品が並んだ。長編デビュー作「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ(デジタル・リマスター版)」や、キタと呼ばれる大阪の繁華街で生きるアジア人たちの人生を描いた群像劇「COME & GO カム・アンド・ゴー」、日本全国のミニシアター22館を巡ったドキュメンタリー「ディス・マジック・モーメント」などがスクリーンにかけられる。

本特集の実施に際し、濱口竜介は「こんな映画(監督)が存在するということに、多くの人に驚いてほしい」、小説家の東山彰良は「帰れる場所を心に持つ幸運と、それを探し求めて彷徨う人々の諦観がゆるやかに溶け合ってつむぎ出される彼の作品は、誰もが旅の途中なのだと気づかせてくれる」とコメント。「Fly Me To Minami ~恋するミナミ~」などに制作部として参加した映画作家・藤元明緒は「学生のとき、映画の現場に初めて参加したのがリム組でした。迷路のような映画づくりの道の中で、誰よりも明るく、悩み、たまに怒りながら、それでも迷わず直進していく監督の姿に憧れていたことを思い出します」と語った。カーワイは「今回の特集上映は、僕にとって今までの人生を賭けたすべてをテーブルに出す、ショーダウンのようなものです。ぜひ、僕の映画に賭けて観てください」とつづっている。そのほか映画批評家の樋口泰人、カーワイ作品の製作に参加した神保慶政、塩川節子のコメント全文は下記に掲載した。

また「boid paper vol. 3」では、カーワイが生い立ちから現在までと映画作りの裏側を語ったロングインタビューを中心に、さまざまな筆者が“それぞれのリム・カーワイ”を書き尽くした大特集が掲載される。特集上映が開催される3月20日より、公開劇場およびboidオンライン・ショップにて販売予定だ。

特集上映「境界を超える無国籍映画“シネマドリフター”リム・カーワイ─新世界の夜明け─」上映作品

※全作品英語字幕付き上映

樋口泰人(boid主宰・映画批評家)コメント

たとえばロバート・ゼメキスの「コンタクト」を観るように
リム・カーワイの映画を観る
あのねじれた時間と空間の隙間を瞬間移動したジョディ・フォスターのように
われわれもまた誰にも説明のつかない果てしない旅を体験することになるだろう
それが生きるということではないか映画を観るということではないか
今こそリム・カーワイというミステリー・トレインに乗り込む時だ

濱口竜介(映画監督)コメント

自分が逆立ちしても撮れないような映画、それがリム・カーワイの映画だ。そこ(現実)に在るものの力に頼りきりながら、結果的にそれを他のどこにもないフィクションへと昇華するその魔術的な手腕にはいつも驚かされる。どうやったらこんなものができるのか。相当な軽やかさと粘り強さを備えている、ということ以外は想像もつかない。こんな映画(監督)が存在するということに、多くの人に驚いてほしい。

東山彰良(小説家)コメント

世界の片隅にうずもれた、どこにも居場所のない小さな物語をリム・カーワイはそっとすくい上げる。帰れる場所を心に持つ幸運と、それを探し求めて彷徨う人々の諦観がゆるやかに溶け合ってつむぎ出される彼の作品は、誰もが旅の途中なのだと気づかせてくれる。

藤元明緒(映画作家 /「新世界の夜明け」「Fly Me To Minami ~恋するミナミ~」ほかにて制作部)コメント

学生のとき、映画の現場に初めて参加したのがリム組でした。
迷路のような映画づくりの道の中で、誰よりも明るく、悩み、たまに怒りながら、それでも迷わず直進していく監督の姿に憧れていたことを思い出します。
あの映画をつくる喜びと熱は、きっと多くの観客にも伝わっていくはずです。

神保慶政(映画監督 /「Fly Me To Minami ~恋するミナミ~」インターン、「COME & GO カム・アンド・ゴー」助監督)コメント

リム監督の作品は、現場(「恋するミナミ」で少し&「Come and Go」でがっつり体験!)もストーリーも、シュールレアリスム絵画鑑賞のようだと思う。「なぜこうするんだろう?」「目の前のこの光景は、、、何?」と、よくわからないけどインコのように肩に乗せてもらう感じで同行してみる。すると未知の感覚がいつの間にか自分の中に宿る。そもそも、言葉にできないから映画で撮るのだろうし、言葉で説明できてしまったら映画じゃない。つまり、映画館で観るしかない!

塩川節子(美術 /「新世界の夜明け」「Fly Me To Minami ~恋するミナミ~」「COME & GO カム・アンド・ゴー」美術)コメント

破茶滅茶な撮影ではあったが、リム監督と過ごし、垣間見た大阪の街はどれも深く記憶に刻まれている。持ち前のキャラクターでもってその街の深部に潜り込み、ホンモノと作りもののロケーションを巧みに使い分け、街の姿を軽妙に映しとる魔術師のような能力。リム監督の映画の魅力のひとつだと思う。

リム・カーワイ コメント

日本でサラリーマン生活をやめたのが、31歳。その後、未知の中国大陸で映画界に飛び込み、映画監督に転身した。長編デビューは37歳。「50歳までに長編10本撮る」という理想を持っていたが、できる根拠も基盤もなかった。ただ、やるしかないと思って続けてきた。50歳で、11作目「ディス・マジック・モーメント」が完成して、目標より1本多い11本の長編を世に送り出した。
未来を考えなかったこと、そして多くの人に迷惑をかけ、多くの諒解と協力があった。相変わらず順風満帆とは言えないが、残りの人生も映画と歩もうと思う。
今回の特集上映は、僕にとって今までの人生を賭けたすべてをテーブルに出す、ショーダウンのようなものです。ぜひ、僕の映画に賭けて観てください。

※記事初出時、一部人名に誤りがありました。お詫びして訂正します。

©cinemadrifters

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