香川照之と中村アンが語る「災 劇場版」 (original) (raw)
「災 劇場版」の合同取材会が東京都内で行われ、香川照之と中村アンが出席。ドラマ未見でも映画から楽しめる本作ならではの魅力や、香川演じる“男”の怖さについて語った。
本作は、2025年4月にWOWOWで放送・配信された「連続ドラマW 災(さい)」を大胆に再構築し、ドラマ版とは異なる恐怖の形を描いた群像劇。葛藤を抱えながら生きる罪なき6人の日常に、香川演じる“男”がいつの間にか紛れ込んでいく。“男”はあらゆる姿、場所、立場で彼らの前に現れるが、その異質さに気付く者はいない。やがて6人の人生に“災い”が降りかかる。
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香川照之「この世界に触れていない人はまず映画から観てもらいたい」
本作の監督・脚本・編集を担ったのは監督集団「5月」の関友太郎と平瀬謙太朗。2人と映画「宮松と山下」以来のタッグとなった香川は、オファー時を振り返り「お二人らしい脚本だと思いました。何かが解決する話ではないので、解決しないまま物語が進んでいく中で、どれだけ観客を納得させられるか。そのために監督たちと、話し合いながら作っていこうと思いました」と述べる。映画化の話は撮影中から耳にしていたそうで「早い段階から映画版ではシーンをめちゃくちゃにシャッフルすると聞いていたんです。『メインキャラクターの6人が描かれる時間帯』『男が登場する時間帯』『殺人が描かれる時間帯』『それを解決しようとする時間帯』といったように、ドラマでは横になっていたものを、映画では縦にして描いていくと言っていて、すごいことを考えるなと。完成した映画を観ると、シーンの順番がめちゃくちゃにシャッフルされたことで、より“男”が殺人を行っていることが明確になっていて、恐怖を感じました。前のシーンで死んだ人がその次のシーンでは生きていたり、本当にすごい編集をするなとびっくりしたんです。でも、シーンの順番をめちゃくちゃにすることによって、逆に丁寧な作品になっている。時系列通りに描いていくことが、物語をわかりやすくするわけではないんだと改めて感じました」と5月の編集力をたたえた。
ドラマ版、劇場版、どちらから観ても楽しめるように作られている「災」。中村は「観たことがないようなシャッフル具合で、どうピースがハマっていくのか、先に映画に触れてから、ドラマ版で答え合わせするのも楽しいと思います」と提案する。香川も「映画版から観ることができるのも幸せなこと。ドラマを観ていない方もたくさんいらっしゃると思うので、まだこの世界に触れていない人は、まず映画から観てもらいたい。それでどう感じたのか、感想を聞きたいです」と伝えた。
中村アン「堂本と同じ目線で不可解な事件を追いかけていただける」
中村が本作で演じたのは仕事中毒の刑事・堂本。ある不可解な事件をきっかけに、その死の周囲に潜む“男”の存在を感じ、各地で起こる災いに唯一疑問を抱くようになるキャラクターだ。そんな堂本のことを香川は「一般的な感覚の代表。お客さんが一番拠り所にするキャラクター」と分析する。中村は「観客の方には、堂本と同じ目線で事件を追いかけていただけるかもしれないです。彼女は“人は理由なく死なない”という考えを持っていて、ある手がかりから、事件が同一犯による連続殺人だと見なすようになる。堂本の信念を持って1つの事件を追い続ける姿、仕事に対する思いにはとても共感できました」と述べ、「撮影前、ご祈祷に行ったときに香川さんが『堂本がポイントだから』とおっしゃってくださったんです。いろいろと考えながら、5月のお二人と、一緒に堂本を作っていくのは楽しかったです」と笑みをこぼす。
香川は「堂本は風呂にも入らず、ボサボサの頭で、『刑事コロンボ』のコロンボのようなイメージ。中村さんが、この役に入り込めるのか、なかなか大変な役だなと思っていたんです。監督から中村さんが素晴らしい!と聞いていて。クランクインが取調室のシーンだったんですが、5月のお二人と中村さんが演技のさじ加減について話していて、なるほどな!と思いました」と回想。中村は「場合によっては脚本家さんの意図と監督の考えが違うこともあると思うんです。でも、5月のお二人は脚本も書いているので、直接現場で考えを聞ける。『今はこうだったから、次はこういうのを試してみましょう』という感じで、演じていけました」と明かした。
災は常に近くにいる
取材会では、独特の怖さを持つ“男”について2人が語り合う場面も。1人6役で“男”を演じた香川は「人間ではない、比喩としての存在。実態があるのか、ないのかわからないというふうに、観客の方に思われたらちょうどいいなと思っていました」と話し、「早くしゃべるのか、ゆっくりしゃべるのか、都会に住んでいるのか、田舎に住んでいるのか、それぞれ決めながら“男”を演じわけていきました。大元の1人がいるわけでもなく、1人ひとりがつながっているわけでもなく、それぞれの“男”が独立しているのが、観ていて一番怖いことなんじゃないかと。ただ髪型も衣装も全部、変えているんですが、1つだけ“男”の共通した記号を見せましょうということになったんです。最初は顔を引きつらせるとか、わかりやすいものにしようとしたんですが、最終的に大きな間(ま)を取ることにした。それが“男”を演じるうえで、大きなポイントになりました」と振り返る。さらに「“男”は人との距離の取り方が遠すぎたり、近すぎたりする。だから怖いんだと思います。やたら踏み込んでくるのも怖いですし、遠すぎて全然会話にならないのも怖い。例えば塾講師の“男”は丁寧すぎて、度が過ぎていて怖いんです」と分析。中村が「“男”は本当にどこかに存在しているよう。プールに登場する“男”は、ちょっと生々しくて、こんな人いるよねという絶妙なキャラクターだと思いました」と言うと、香川は「災は常に近くにいるんですよ」と静かに口にした。
「災 劇場版」は、2月20日より東京・新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国でロードショー。竹原ピストル、宮近海斗(Travis Japan)、中島セナ、松田龍平、内田慈、藤原季節、じろう(シソンヌ)、坂井真紀、安達祐実、井之脇海も出演している。
「災 劇場版」本予告
©︎WOWOW
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