「曇天に笑う」福士蒼汰 / 古川雄輝×大東駿介×小関裕太×市川知宏×加治将樹インタビュー - 映画ナタリー 特集・インタビュー (original) (raw)
本広克行が監督、福士蒼汰が主演を務める「曇天に笑う」が、3月21日に公開される。唐々煙のマンガをもとにした本作は、明治維新後の日本を舞台に、人間に災いをもたらす大蛇の復活を巡る戦いとさまざまな絆を描いたアクションエンタテインメントだ。
本作の公開を記念して、ナタリーではジャンルを横断して全4回の特集を展開。その第3弾となる映画ナタリーでは、主人公・曇天火役を務めた福士のソロインタビューと、明治政府右大臣である岩倉具視の直属部隊・犲(やまいぬ)のメンバーを演じた古川雄輝、大東駿介、小関裕太、市川知宏、加治将樹による座談会の模様をお届け。役に懸ける思いや、それぞれの個性が光るアクションシーンの撮影エピソードなどを紹介する。
取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 佐藤類
優馬と耀人が自分を兄にしてくれた
──天火は強くて明るいだけではなく、いろんな面を持った人物として描かれていますよね。福士さんは以前、自分とは共通点がないとおっしゃっていましたが、この役をどうつかんでいきましたか?
自分には男兄弟がいないし、リーダーシップを取るタイプでもないので全然違うなと最初は感じていたのですが、天火というキャラクターをつかむため一番必要なのは愛情かなと気付いて。現場では、共演する方1人ひとりに愛情を持って接しようと意識しました。天火は人と気兼ねなく話すタイプだと思うので、自分もそういうところから始めてみようと思ったんです。
──なるほど。中山優馬さん、若山耀人さん演じる弟たちと一緒のシーンでは、福士さん演じる天火の兄らしさが印象的でした。完成披露のイベントでは、「自分に弟がいるというのが考えられなかった」と話していましたが、その兄らしさは自然と出てきたんでしょうか(参照:「曇天に笑う」福士蒼汰と桐山漣が“カップル成立?”古川雄輝は「天火の笑顔が素敵」)。
左から福士蒼汰演じる曇天火、若山耀人演じる宙太郎、中山優馬演じる空丸。
そうですね、自分でもびっくりするくらい自然に出てきました。優馬と耀人が自分を兄にしてくれたんだなと思います。耀人は撮影当時は中学1年生で、自然に本当の弟のように感じられました。優馬に関しては、同い歳だし彼自身もやりづらさがあるんじゃないかなと思ってたんですが、まったくそんなことはなかったんです。「本当の兄貴だと思いました」と言ってくれたので、とても演じやすかったです。
──映画のプロモーションなどでひさしぶりにお二人に会ってみて、印象は変わりました?
まず耀人の身長がすごく伸びていることに驚きました(笑)。優馬の身長を超えていて、三男が次男よりも大きくなるというまさかの展開が起きまして。共演者のみんなとも「もうあの頃の耀人はいない」と言っているんです。昔はかわいかったけど、今はカッコよくなっています。優馬とは撮影をきっかけにすごく仲良くなりました。互いに予定が合わずご飯には行けてないんですが……。
着流しは戦いやすい
──では劇中のアクションシーンについても。天火の武器である鉄扇は短いので、戦闘場面では敵とぐっと近付くことが多くて危険だったのではと思います。
鉄扇は長さが15cmほどしかないのでうまく目標に当たらなかったり、自分や相手の手に当ててしまったこともありました。いかに相手の動きを見ながら、戦うかを意識していました。
──相手の方と動きを読み合いながら演じていたのでしょうか。
そうです。最低限の動きだけ決まっていたので、呼吸を合わせながらやっていきました。でも最後のシーンは手(決められた動き)があまりなく、自分も必死でした。
──着流しでのアクションは動きに制限が出るかと思いますが、大変でした?
これまでの作品でも着流しの人物を演じることは何度かあったので、自分としてはやりやすかったです! 袴よりも着流しのほうが戦いやすい気がしました。
──終盤で天火が大人数を相手にするシーンは圧巻でした。福士さんご自身がもともとやっていた武術の技術を応用したと聞きましたが、その経験はどんな動きのときに生きたんでしょうか。
「曇天に笑う」
空丸と稽古をしている場面で彼の手を封じるカットが一瞬あるんですけど、そこにはカリとジークンドーの要素を入れています。あとは武器を持って向かってくる相手を流しつつ攻撃したり。攻撃と防御が一緒になっていくというのが、自分のやっていた武術を応用した技術です。アクション監督の方と話し合っているときに、自分からもアイデアを出させていただきました。
──ちなみに犬飼善蔵役の加治将樹さんが、終盤の洞窟のシーンにプロレス技を入れ込んだと話していました。
ええー! 知らなかったです!(笑) 自分は武術の動きを使っていたので、撮り方によってはそれほど派手さが出ないアクションだったかもしれません。武術は極めていくほど地味な動きになっていくので。でも逆にそれがリアリティを生む。今回はアクションで感情を見せていくことができたかなと思います。