窪田正孝×宮沢りえ、“一発録りセッション”のような初共演「決戦は日曜日」インタビュー / ゾフィーも太鼓判！ - 映画ナタリー 特集・インタビュー (original) (raw)
窪田正孝と宮沢りえの初共演作「決戦は日曜日」が1月7日に全国公開される。
本作は、窪田扮することなかれ主義の議員秘書・谷村勉と、病に倒れた父に代わり出馬する新人候補者・川島有美の選挙活動をシニカルに描くポリティカルコメディ。「東京ウィンドオーケストラ」「ピンカートンに会いにいく」の坂下雄一郎が、約5年の月日を掛けて書き上げたオリジナル脚本を自ら映画化した。
本特集では窪田と宮沢の対談を行い、セッションのような感覚を楽しんだという撮影や、食べ物の話で盛り上がっていたという裏話を聞いた。また、ブラックな笑いどころが盛りだくさんの本作を芸人のゾフィーに鑑賞してもらった感想インタビューもお届け。選挙スタッフ役で出演した草川直弥と小泉光咲が撮影を振り返るコメントもお見逃しなく！
取材・文 / 金須晶子撮影 / 玉井美世子（ゾフィー）、清水純一（窪田正孝・宮沢りえ）
ゾフィー インタビュー
どんどん先が読めなくなって最高でした（上田）
──本日は、選挙を題材にしたコメディ「決戦は日曜日」をご鑑賞いただきました。もし言いづらいことがあれば、ふくちゃんに代弁していただければと思います。
サイトウナオキ 物申しそうな存在感だもんなあ。
左から上田航平、ふくちゃん、サイトウナオキ。
ふくちゃん
上田航平 ふくちゃんは何を言っても許されるんで。ちなみにサイトウが映画についてコメントするのは今日が初めてなんですよ。
──そうでしたか！ 上田さんは映画番組のMCなどもされていましたが。
サイトウ 僕が今まで観たのは「ベイブ」とか。あと「タイタニック」。
上田 え、3本目が今日だったの!?
サイトウ いや、宮沢りえさんの「ぼくらの七日間戦争」も観たことあるから！
「決戦は日曜日」より、左奥から赤楚衛二演じる岩渕勇気、窪田正孝演じる谷村勉。
──さっきご覧になったばかりの「決戦は日曜日」はお楽しみいただけましたか？
サイトウ はい。本当に面白かった！ ぶっちゃけ選挙や政治の話と聞いて、難しいのかな？なんて思っていて。めちゃくちゃ集中して観たんですけど、“政治家あるある”みたいな皮肉とユーモアも効いていて、すげえわかりやすかったです。俺でなんとかなったから、たいていのお客さんは間違いなく楽しめるでしょうね。
上田 サイトウは世の中で一番敷居の低い観客なので、広く楽しんでいただけると思いますよ。僕もめちゃくちゃ面白かった！ 政治を題材にコメディをやるってなかなかのセンスがないとできない。それぐらい難しいと思うんですけど、笑いあり、かつストーリーも面白いという。序盤の雰囲気で淡々と進んでいくのかなと思ったら、ストーリーも予期せぬ方向に進んで、どんどん先が読めなくなって。最高でした。
──太鼓判をいただけてよかったです。
ふくちゃん （サイトウに向かって）じゃあ、もうお帰りいただいて！
サイトウ なんでだよ！ もっと映画の話したいよ！
初っ端からパロディしちゃうんだ（サイトウ）
──上田さんがおっしゃったように、予期せぬストーリー展開も見どころの1つです。鑑賞前とどのように印象が変わりましたか？
上田 僕、観る前は「ダメダメ議員がまさかの当選!?」みたいな、てんやわんやのドタバタコメディを想像していたんです。そうしたら、ものすごく淡々としていて驚きました。「ボケました！」という笑いじゃなくて、淡々とした中でサラッと笑わせるのが好きでしたね。窪田正孝さん演じる谷村秘書も、きっと芯が強くてかっこいい人なんだろうなと思っていたら、何かあるたびに「すみません、そういうものなんです」と波風立たせないような対応ばかりで（笑）。
「決戦は日曜日」より、窪田正孝演じる谷村勉。
サイトウ 感情があるのかないのかわからない感じだったよね。
上田 そうそう。でもあるきっかけで、彼が「このままでは何も変わらない」ということに気付いて、“落選を目指す”方向にシフトしていく。ここからがまた面白くて。選挙に落ちる方法なんて簡単だろと思うけど、わざと炎上するようなことをしてみたら、逆に熱狂的な支持者が増えてしまったり。でも最後は爽快さもあったし、いい意味でイメージと違って楽しかったです。
──淡々としたテンションでありながら、笑いも詰め込まれていたかと思います。
サイトウ もう、一発目のつかみから笑ってしまいました。（議員が）秘書におんぶされながら、雨でぬかるんだ道を通るシーン。あれって実際にありましたよね？ 被災地へ視察に行った議員が長靴を履いてなくて、おんぶされながら現地の作業員に「大変ですね」と声を掛けていたというニュースを思い出して。初っ端からパロディしちゃうんだ！と。
上田 リアルの出来事を映画の中でいじるのってすごいよね。
「決戦は日曜日」より、宮沢りえ演じる川島有美。
──ほかにも実在の人物をモデルにしたパロディが満載でしたが、気付きましたか？
上田 （宮沢りえ演じる）有美さんが戸別訪問するシーンで、求職中の若者に「今まで何してたんですか？」と尋ねるのは麻生（太郎）さんですよね？
──はい。麻生さんがハローワークを訪問した際に、その発言だけ一部切り取って報道されたために、意図と違う形で広まってしまったというものです。
サイトウ 有美さんは世間知らずなところがあるキャラだから、そのまま言っちゃったんだ（笑）。
上田 あと有美さんの「老人が落ちた用水路は、危ない用水路だと思います」という発言も、いわゆる“（小泉）進次郎構文”みたいな。あれをフィクションの中でパロディしているのは初めて観ました。
サイトウ なるほど！ 普通にボケなのかと思って観てたわ。実在の人物を意識したセリフだったとは（笑）。
謝罪風のポーズを取るふくちゃん。
「聞こえません」ポーズをまねするふくちゃん。
──秘書への暴言などもありましたね。
上田 あれはまんま意識したやつですね、「このハゲー！」のときのね（笑）。いやあ、皆さん“いじりしろ”があると言いますか。（いじりの対象として）見られるって本人もわかるはずなのに、こんなにワイドショーを騒がせるなんてすごいですよ。パロディネタは尽きないだろうから、今後も「決戦は日曜日2」「3」というふうに作れるんじゃないですか？
時代を変える意識を持たないと駄目！（ふくちゃん）
──ふくちゃんは、どんなところが印象に残りましたか？
ふくちゃん 日本のジジイってのは一番ムカつく存在ですよね！
上田 ふくちゃん!?
サイトウ おいおい！ 相当人口多いぞ！
ヒートアップするふくちゃん（中央）と、慌てるゾフィー。
ふくちゃん（中央）を制止するゾフィー。
──後援会や県議会、市議会の人たちですね。
上田 まあ確かに、あのおじいさんたちの腹立つ演技はめちゃくちゃうまかった。僕、学生時代に剣道部に入っていたんですけど、朝練でみんなのテンションを上げるために、あやや（松浦亜弥）の曲を流してストレッチしていたんです。でもある日、「道場でアイドルの曲を流すなんて、何やってるんだ！」ってOBのジジイが10人ぐらい怒鳴り込んできて。自分たちが築き上げてきたルールを逸脱しようとすると、めっちゃ怒るんだよね。だから映画に出てくる年配の方たちもリアルなんだろうなって思いました。
「決戦は日曜日」より、後援会のメンバー。
ふくちゃん やっぱりね、若い人たちの声に耳を傾けるべきだと思いますよ。おじいさんたちも自分の利益ばかり考えてないで、時代を変えるっていう意識を持たないと駄目ですよ！
サイトウ 間違いない。
上田 おっしゃる通り、ふくさん！