3776ワンマンを偽3776がジャック (original) (raw)

昨年10月に初のフルアルバム「3776を聴かない理由があるとすれば」を発表した3776が、1月16日に東京・TSUTAYA O-nestでワンマンライブ「3776ライブにいかない理由があるとすれば」を開催。各方面で話題作となったアルバムのリリースイベントということで、休日の午前中にもかかわらず多くの人々が詰めかけ会場は超満員となった。

この日はRIOW ARAIがDJとして客入れと客出しのBGMを担当。海外のプログレや1980年代アイドルポップスなどを選曲し、集まった3776ファンの気持ちを高ぶらせていく。開演時間を過ぎてしばらくすると照明が落ち、暗闇の中で「乗っていたタイムマシンが故障し、2016年1月16日に来てしまったので、教科書で見た“伝説の3776ワンマンライブ”を観に行く」という内容の“未来人”のセリフが3776の井出ちよのの声で流れる。その後「あれ? あの子がちよのちゃん? 思った以上に私にそっくり!」という未来人の言葉とともに1曲目「洞窟探検」が流れ始め、ステージに井出が登場。スラリと伸びた長い手足を動かしながら彼女は元気いっぱいにパフォーマンスを繰り広げた。

井出は曲が終わるごとに袖に引っ込んでお茶を飲み、「最近は『お茶飲みに行きます』って言うだけで拍手が起こるんだけど(笑)、ありがとうね」と照れ笑い。その後も「登らない理由があるとすれば」「八合目にゃまだ早い」と最新アルバムの収録曲を次々に披露していく。しかし「八合目にゃまだ早い」を歌い終えた井出がお茶を飲むため退場すると、そのお茶に眠り薬が混入していたとのことで彼女は昏倒。ステージには代わりに3776の派生グループ・Mi-IIのすずな、あきな、みゆうが現れ、「ごめんなさい! さっきまでのは見なかったことにしてください! 私たちが“アイドルグループ”の3776です!」と言って3776のライブをジャックしてしまった。

その様子を見た井出演じる未来人が「どういうこと? 3776はちーちゃんのソロユニットのはず。こんなの教科書に載ってなかったよー!」と困惑するのを尻目に、Mi-IIの3人が扮する“偽3776”はグループ時代の3776の楽曲「私の世界遺産」を熱唱。未来人は「このままでは未来が変わっちゃう!」と焦りつつ、「もしかして私がここにいるのは、偽3776の暴走を食い止めるため?」と自分の役目に気付き、会場後方のドアから姿を現した。未来人はそのまま観客の間を縫うように前に進み、ステージに登壇。乱入者に気付いた偽3776たちは「ここはアイドルのステージよ? ステージに上ったからにはアイドルライブができるんでしょうね?」「対等な立場じゃないとお話できないわよね?」「私たちのパフォーマンスでのスーパー盛り上がりを超えられるかしら?」と口々に言い、未来人に歌うことを要求した。

ここからライブは未来人と偽3776によるパフォーマンス合戦という内容に。新作のレコ発という雰囲気は序盤3曲を終えてからは完全に払拭され、予想の付かない展開に観客も驚きの声や笑い声を上げる。未来人はサポートギタリストとして“タイムマシンの運転手”ことプロデューサー・石田彰をステージに迎えて新曲「僕だけのハッピーエンド」を披露。劣勢になった偽3776は「なかなかやるわね。でも、こっちもこの3人だけだと思ったら大間違いよ」と言い放ち、2015年2月に3776を卒業したまりりんこと愛田真梨を“ラスボス”として召喚した。

偽3776はまりりんを加えた4人編成で、3776の前身グループ・TEAM MIIの楽曲「わかってよねえ先生」を歌唱した。4人の強力なパフォーマンスを目の当たりにした未来人は、3人での「私の世界遺産」と比較して「さっきの曲よりはマシかも」と強がりつつ、次に「誰もが必ず踊ってしまう禁断の曲」を歌うことを宣言。これに対して偽3776は「私たち全員はもちろんのこと、ここにいるお客さんも全員踊らなかったら、あなた失格よ?」と未来人に伝えつつ、余裕の表情を浮かべた。しかし未来人が“禁断の曲”である新曲「ハイカー(Everything your friends is Hiker)」を歌い始めると、椅子に座って観ていた偽3776の面々はたまらず踊りだしてしまい、観念して自分たちの正体を白状。4人は改めてMi-II、および愛田真梨としての自己紹介をした。

その後、石田プロデューサーのギターから発せられるフィードバックノイズに合わせてコンテンポラリーダンス風の踊りを繰り広げた井出は、ギターの音が鳴り止むと「未来の子ではなく、現代のご当地アイドル・井出ちよのでーす! みんなわかんなかったでしょ? 今のは全部お芝居だったんです!」と告白。ここから彼女は、石田のユニット「3776 Extended」としての即興演奏をスタートさせた。即興演奏のテーマは井出と石田がしりとりをしながら曲を組み立てていくというもの。井出は自身の言葉をサンプラーでループさせ、石田とともにトラックを完成させていく。約10分にわたって行われたこのセッションは、石田が「6月」と伝えようとした言葉を井出が「ローソン」だと把握したため、最後に「ん」が付いたということで井出によって強制終了された。ラストには井出がこの日の出演者を全員呼び込み、石田のギター演奏に合わせて5人で「序曲」を歌った。

すべての曲が終わるとメンバーは客席を背にして記念写真を撮影しステージを退場。客電が付き、終演のアナウンスが流れてもアンコールを求める声はしばらく止むことはなかった。

3776「3776ライブにいかない理由があるとすれば」2016年1月16日

TSUTAYA O-nest セットリスト

01. 洞窟探検
02. 登らない理由があるとすれば
03. 八合目にゃまだ早い
04. 私の世界遺産
05. 僕だけのハッピーエンド
06. まりりんのテーマ
07. わかってよねえ先生
08. ハイカー(Everything your friends is Hiker)
09. ドローン~富士信仰~
10. 即興曲(しりとりType)
11. 序曲

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