KAN、3時間超の芸能生活29周年ライブ (original) (raw)

KANが4月14日に東京・中野サンプラザホールで単独公演「芸能生活29周年記念 特別感謝活動年 Final Kegimental Live『ロックンロールに拿捕(だほ)されて』」を開催した。

この公演は素数好きで知られるKANの芸能生活29周年を記念したもの。ゲストとして昨年2月発売のアルバム「6×9=53」に参加したTRICERATOPS、根本要(STARDUST REVUE)、佐藤竹善(SING LIKE TALKING)、塩谷哲馬場俊英、さらにストリングスカルテット、バンドの総勢16名が参加し、さまざまなコラボレーションを展開した。

オープニングでは照明が暗く落とされたまま、ストリングスカルテットとピアノによる演奏で「愛は勝つ」のインストバージョンとクラシック演奏が届けられた。1曲目「オー・ルヴォワール・パリ」の演奏が始まると、KANは羽根を背負った衣装でフロア後方から登場。オープニングでピアノを弾いていたのが実はKANに扮装していた塩谷だったこともこのタイミングで判明したため、本物のKANの登場シーンでは会場全体が大きな歓声に包まれた。

馬場と根本が加わって馬場の「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を披露したあと、間髪入れずに始まったスタレビの人気曲「今夜だけきっと」では間奏から竹善がコーラスで参加。アウトロでは星に見立てたライトがステージ上で流れ星のように流れるという美しい演出で楽曲を彩った。続く「ポカポカの日曜日がいちばん寂しい」はKANと竹善によるデュエット曲。2人の歌唱とバンドの演奏によってCD音源に近いアレンジで届けられた。

さらにKANはステージにTRICERATOPSの和田唱(Vo, G)、林幸治(B)、吉田佳史(Dr)の3人を招き入れ、「Happy Saddy Mountain」を共にプレイ。そしてKANとTRICERATOPSは「練馬美人」を演奏した際、KANは1995年に買った1本だという黒のリッケンバッカー、和田はThe Beatlesの来日公演が行われた1966年製の赤いリッケンバッカー、林は竹善から借りたというビオラベースを抱え、初期のThe Beatlesを彷彿とさせるコーラスとバンドサウンドを響かせた。

KANが「(根本)要さんが好きなときに好きなだけギターを弾ける曲を用意しました!」と宣言して始まった「牛乳のんでギュー」では、根本がブルージーなギターソロを弾き倒し、勢いを保ったままKANの歌うはずだったパートを横取りするような形で熱唱して会場を沸かせた。また次に届けられたストリングスカルテットをフィーチャーしたインスト曲「Menuett fur Frau Triendl」について、KANは「トリンドル玲奈が好きすぎて作った曲」であることなど、楽曲の制作背景を述べていた。

ライブ中盤、「桜ナイトフィーバー」の間奏では、和田がギターを持ってさっそうとステージに現れ、お立ち台に登ってギターソロを披露。林と吉田はお立ち台の下でスモークとライトをそれぞれ和田に向けて、ソロの盛り上げ役を担当した。和田のギターソロはシングルバージョンとアルバムバージョンの2種類があり、シングルバージョンのソロのあとにはKANが一旦バンド演奏を止め、「次はアルバムバージョン!」と煽って2回目のギターソロへ。KANはさらに「あとライブバージョンも!」と煽り、和田に計3回のギターソロを演奏させた。

ライブは佳境を迎え、TRICERATOPSの初期ナンバー「Raspberry」、さらにKANの名曲「愛は勝つ」など人気曲が次々に演奏された。またKANと馬場による共作曲「ロックンロールに絆されて」の披露前には、KANが同曲をアルバム「6×9=53」の“精神的タイトル曲”であると説明。一方馬場はこの曲の冒頭の歌詞「地元の祭りで無邪気なバンドに心殴られて」に込められたエピソードとして、高校1年生の頃に地元埼玉の「熊谷うちわ祭」に足を運んだ際、特設ステージで観た“無邪気なバンド”がSTARDUST REVUEであったことを明かした。そして同曲をKANと共に披露し、曲終わりにKANのギターに向かって馬場がチョップ。するとKANが持っていた小道具のギターが真っ二つになるという小ネタで観客を驚かせた。本編ラストには出演者全員がステージに上がり、「表参道」を披露。The Beatlesのオマージュが散りばめられた同曲のあと、「一旦、ありがとうございました!」と挨拶して本編を締めくくった。

すぐに始まったアンコールでは、まずKANと根本がトークを展開。KANは自身のデビュー日である4月25日に一番近い土日の4月22、23日に中野サンプラザホールで本公演を行いたかったが、すでに予約済みであったため4月14日開催になったという。そしてKANよりも早く4月22、23日に中野サンプラザホールを予約したのは、スタレビであることを明かした。すると根本は「KANちゃん遅いんだよ! 俺たちはツアーやると長いからさ、だって誕生日2回迎えちゃうんだよ?」と笑顔を見せた。スタレビの「夢伝説」を披露する際には、冒頭でシンセサイザーの音程がおかしくなり、「電圧かな?」と困った表情を浮かべる根本を横目にKANが改めて曲紹介。2回目もイントロで音程がおかしくなり、3回目では「ドリフのズンドコ節」の演奏に変わってしまうといった“夢伝説コント”が繰り返し展開され、会場は爆笑の渦に包まれた。

その後「日本のクリスマスのスタンダードになると思ったのに20数年経ってもまだならない」とKANが嘆いた「KANのChristmas Song」では、KANとゲストメンバーが並び、アカペラで歌唱して美しいハーモニーで観客を魅了。最後にKANは1人きりでピアノの前に座って「寝てる間のLove Song」を歌い、喝采を浴びながらステージをあとにした。

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2017年4月14日 中野サンプラザホール セットリスト

01. オー・ルヴォワール・パリ
02. 何の変哲もないLove Song
03. ボーイズ・オン・ザ・ラン(馬場俊英
04. 今夜だけきっと(STARDUST REVUE)
05. ポカポカの日曜日がいちばん寂しい
06. Happy Saddy Mountain(TRICERATOPS
07. プロポーズ
08. 練馬美人
09. スーパーオーディナリー
10. どんくさいほどコンサバ
11. 牛乳のんでギュー
12. 昔話を繙くように(STARDUST REVUE)
13. Menuett fur Frau Triendl(※furのuはウムラウト記号付きが正式表記)
14. Human(SING LIKE TALKING
15. Spirit Of Love(SING LIKE TALKING)
16. 桜ナイトフィーバー
17. 胸の谷間
18. Raspberry(TRICERATOPS)
19. 愛は勝つ
20. 小学3年生
21. ロックンロールに絆されて
22. 表参道
<アンコール>
23. 夢伝説(STARDUST REVUE)
24. KANのChristmas Song
25. 寝てる間のLove Song

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