millennium parade、視覚と聴覚を刺激したフォーラム公演 (original) (raw)

millennium paradeが約1年ぶりとなる単独公演「millennium parade 3D LIVE 2020」を、昨日12月23日に東京・東京国際フォーラム ホールAにて開催した。

2019年に本格始動して以降、音楽と映像を融合させた作品をさまざまなクリエイターとともに発表してきたmillennium parade。今年最初で最後となった昨日のライブでは、昨年ライブハウスを舞台に開催された公演同様に、全編にわたって3D映像とのコラボレーションを披露した。

客電が落ちると、ステージに設置された巨大なスクリーンにはくたびれ果てた1人のピエロが家のドアを開ける姿が。帰宅したピエロがどっかりとソファーに座り込むと、電話の呼び鈴がけたたましく鳴り始める。かかってきたのは彼を罵倒する電話と、怪しげな勧誘の電話の2本。「ショーの間はすべてを忘れさせる」「ぶっ飛ぼうぜ」という言葉を呼び水に、ピエロが「Fly with me」のミュージックビデオに登場するSDカードを飲み込んだ瞬間、スクリーンにはmillennium paradeの歴代作品のビジュアルが次々と飛び出した。映画さながらのオープニング映像に観客が魅了されていると、常田大希(Key, Vo / King Gnu)を筆頭に、ermhoi(Vo / Black Boboi)、石若駿(Dr / Answer to Remember、CRCK/LCKS)、江崎文武(Key / WONK)、MELRAW(Sax, G, Vocorder)、新井和輝(B / King Gnu)、勢喜遊(Dr / King Gnu)、佐々木集(Agitator / PERIMETRON)、森洸大(Agitator / PERIMETRON)が登場。過去のライブと同じく、安楽椅子に座る常田をほかのメンバーが弧を描くように囲むフォーメーションが組まれた。

大きな拍手が起きる中で奏でられたのは、ermhoiの浮遊感のある歌声、江崎が奏でるきらびやかな鍵盤の音が溶け合う「Bon Dance」。鬼のお面をかぶった赤子がサイバースペースで踊る映像が、観客を幻惑的な世界に誘い込んだ。続く「SNIP」では、山田遼志によるシニカルでダークなアニメに乗せて、拡声器を持った常田、ハンドマイクの佐々木と森がステージを練り歩きリリックを繰り出す。巨大なスクリーンを活用した3Dの映像演出は、9人が奏でる楽曲同様に目まぐるしく変わっていき、オーディエンスを圧倒。細部まで作り込まれた映像と同様にステージ上のメンバーも熱量の高いプレイを披露し、「WWW」では脳のレントゲン写真やDNA二重螺旋などのモチーフを用いた刺激的な映像とリンクするように、佐々木と森が骨太な声でリリックを繰り出し、「STAY!!」ではMVに合わせてermhoiがしゃがれ気味の甘いボーカルを響かせる。3Dの映像が加わることで新たな息吹が吹き込まれた楽曲をオーディエンスは視覚と聴覚の両方で味わい、歓声の代わりに万雷の拍手をステージに送った。

ステージ上のメンバーは休憩も挟まず、高いテンションを保ったままパフォーマンスを続行。「NEHAN」では石若と勢喜が刻むタイトなビートや、新井の強烈なベースラインが作り出す混沌とした音像に呼応するように、スクリーン内では黒い点や線がうねりながら人型を成していく。一転して、ermhoiの包み込むようなボーカル、江崎が奏でる豊かな旋律が印象的な「Dark」では、女性を模したCGのアニメーションによって神秘的な空気が紡がれる。楽曲ごとに“主役”を担うメンバーは入れ替わっていき、安楽椅子に座る常田は、ステージの真ん中で各メンバーが躍動する姿を見つめた。常田とermhoiが掛け合いを繰り広げた「Fire works and Flying sparks」が終わりKing Gnuのライブでも起爆剤となっている「Slumberland -millennium parade ver-」が始まると、観客は総立ちに。ステージ前に徐々に熱狂の渦が生まれ始め、同時に拡声器から放たれる常田のアジテーションや安藤が吹く高らかなサックス、佐々木と森のラップなどすべての音が渾然一体となりホールを飲み込んでいった。

その後、「ABUKU -millennium parade ver-」「Plankton」といった観客をチルアウトさせるナンバーを経て、「lost and found」で会場の空気は再び熱気を帯びる展開に。膝を抱えた胎児が宙に浮かぶような演出の中、スリリングなアンサンブルとermhoiの凛とした歌声がホールに広がった。なだれ込むように「Call me」に突入すると、スクリーンにはmillennium paradeに携わるクリエイターやスタッフの名前が矢継ぎ早に投影される。エンドロールさながらのパフォーマンスに会場が沸き立つも、続いてスクリーンに浮かび上がったのは、PERIMETRONのサイトのトップページに登場するうごめく無数の頭部の塊。そこから、2992年をテーマにした「2992」が披露され、カオティックな音像がホール内を支配していく。同時に観客の目にはノイズ混じりの映像が映し出され、バーチャルな世界へと誘った。息もつかせぬ1時間半のライブの最後に用意されたのは「Fly with me」。楽器隊のメンバーが描き出すダイナミックなサウンドスケープに乗せて、常田とボーカル陣はオーディエンスを煽りまくる。会場の熱気がピークに達したところで、爆ぜるような音とともに「MP」のロゴがスクリーンに大写しになった。

拍手を浴びながらメンバーが去る中、スクリーンにはライブ冒頭にも登場した電話機が現れる。電話口からは「俺たちはいつでもそばにいるから」とコロナ禍という困難の中にあってもmillennium paradeがリスナーとともにあることを伝えるセリフが流れ、「Be Safe. Be Punk」というメッセージが観客に告げられる。そして、観客は「See you soon」と再会を約束する言葉に見送られる形で順次会場をあとにした。

なおmillennium paradeは2月10日に1stアルバム「THE MILLENNIUM PARADE」をリリースする。アルバムにはこの日披露された楽曲を含む全14曲が収録される。

millennium parade「millennium parade 3D LIVE 2020」2020年12月23日 東京国際フォーラム ホールA公演セットリスト

01. Bon Dance
02. SNIP
03. Veil
04. WWW
05. STAY!!
06. NEHAN
07. Dark
08. Fire works and Flying sparks
09. Slumberland -millennium parade ver-
10. ABUKU -millennium parade ver-
11. Plankton
12. lost and found
13. Call me
14. 2992
15. Fly with me
16. ENDING

millennium parade「THE MILLENNIUM PARADE」収録曲

01. Hyakki Yagyo
02. Fly with me
03. Bon Dance
04. Trepanation
05. Deadbody
06. Plankton
07. lost and found
08. matsuri no ato
09. 2992
10. TOKYO CHAOTIC!!!
11. Philip
12. Fireworks and Flying Sparks
13. The Coffin
14. FAMILIA

※江崎文武の崎は立つさきが正式表記。
※「Hyakki Yagyo」の「o」はマクロン付きが正式表記。

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MILLENNIUM PARADEのTV・ラジオ出演情報

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