One-half「月夜にダンス」 | 構築美とポップネスを兼ね備えたビートで“死神と踊る” - 音楽ナタリー (original) (raw)

2021年頃からボカロPとして活動しているシロクマ消しゴム(Nona)の新プロジェクト、One-half。ボーカリスト・ぐあをフィーチャーしたこのプロジェクトのEP「Rooms」に収められた「月夜にダンス」は、質の高いエレクトロサウンドを基調としたダンスポップチューンだ。

最初に聞こえてくるのは浮遊感にあふれたシンセ、厚みのあるベース、そして「ダンス ダンス all night」というフレーズ。しなやかなキックとともにグルーヴし始め、柔らかさと高揚感を併せ持ったメロディが心地よく広がっていく。2000年代あたりのエレクトロの雰囲気を感じさせつつ、現代的なダンスミュージックへと昇華しているトラックメイクも秀逸。構築美とポップネスを兼ね備えたビートと、ぐあのチル的な歌声の融合こそがこの曲の──そしてOne-halfというプロジェクトの魅力だろう。

「月夜にダンス」のテーマは、“私の最期に死神と踊る”。ダークファンタジー的な世界観と「今日だけは泣いてないで / 踊りたい夜をまだ過ごして居たい!」という超ストレートなフレーズの対比も興味深い。寓話のようでありながら生々しく、現実を投影していそうでどこか夢心地。このバランス感覚も絶妙だ。

都会、公園、小川、牧場など世界のあちらこちらで線画(イラスト)のダンサーたちがステップを踏むミュージックビデオも、ボーダーレスなイメージを持つ楽曲の在り方を際立たせている。コアなダンスミュージックリスナーを魅了しながら、J-POPユーザーにもアピールできる可能性を持った「月夜にダンス」。まずはこの楽曲が持つ中毒性にどっぷり浸ってほしい。

[Pick Up!]One-half「月夜にダンス」

One-half「月夜にダンス」ジャケ写

One-half「月夜にダンス」

2024年7月10日(水)配信開始 / DIG8 Records

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