locofrank「Stories」発売記念 木下正行(locofrank) × HATANO(HAWAIIAN6)|20年間走り続けて見えたもの - 音楽ナタリー 特集・インタビュー (original) (raw)
locofrankがニューアルバム「Stories」を9月12日にリリースする。
「Stories」は結成20周年を迎える彼らが、IKKI NOT DEADからリリースするアルバム。彼らの目線でこれまでの20年とこれからをつづった全13曲が収められる。
音楽ナタリーでは本作のリリースを記念して、locofrankの木下正行(Vo, B)と、IKKI NOT DEADの創立者でありlocofrankと親交の深いHAWAIIAN6のHATANO(Dr)との対談を企画した。本作がIKKI NOT DEADからリリースされることになった経緯や、互いの20年間をざっくばらんに語り合ってもらった。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 宮下祐介
IKKI NOT DEADからのリリース
──最初に「Stories」をIKKI NOT DEADからリリースすることになった経緯をお伺いしてもいいですか?
木下正行(locofrank) 正直、俺たち的にも急だったんですよ。去年、HAWAIIAN6のリクエストツアー(「HAWAIIAN6 Pretendedly TOUR ~20th Anniversary Request TOUR~」)に呼んでいただいて、そのツアー中にHAWAIIAN6のメンバーに「来年は20周年だしいろいろがんばんねえとな」というようなことを言われたんですけど、だからと言ってIKKI NOT DEADでどうこうみたいな感じは全然なくて。そしたらある日、IKKI NOT DEADの社長から「ちょっと集まれねえか?」って連絡が来て……「俺たちなんかやらかしたかな」って(笑)。
HATANO(HAWAIIAN6) あはは(笑)。
木下 俺たち、怒られ続けてここまで来たので(笑)。ビクビクしながら行ったら「CDを売るっていう点だけ手伝わせてもらえたらと思う」という話だった。
──そのときにすぐ「お願いします」という返事を?
木下 いや。俺たちはずっと自分たちだけでやってきて、その大変さも知ってるし、その自負もあったので、ちょっと戸惑ったんです。とは言え、前作(2015年12月発売「Returning」)のリリース時にできることは全部やりきったと思っていたので、今回何かプラスアルファのことができるか?と言うと、何も見えなかったんですよね。だから客観的に見てくれる第三者が欲しいなとどこかで思ってもいて。IKKI NOT DEADの社長はずっと見てきてくれた家族みたいな存在だったので、お願いすることにしました。
HATANO 実は3年前くらいに、俺がうちのレーベルでやらないかって社内で提案したことがあったんだけど、そのときは会社の人手の問題とかで「今は無理だよ」という結論が出て。でも俺はlocofrankが好きだからライブをよく観に行くわけじゃん。そしたら、ライブ終わって汗だくのやつが、楽屋に戻ってきてすぐパソコンをいじってる。仕事が追いつかないのはわかるし、自分たちでやることの大変さは重々理解してるけど、ライブが終わって、観に来てくれた仲間と会話するよりも前にメールを打ってる姿を観て「これでいいのかな?」って思ったわけですよ。で、「なんでお前、今メール打ってるんだよ」とか「どういうことそれ?」みたいな話をして。そのときは冗談で言ってたけど、まあ周りから見ても、演奏者と発売元を両立することが物理的に不可能になっていくタイミングが近付いてきてる気がしたんだよね。そしたらうちの社長から「うちで出そうと思う」って話をされて、逆に俺が仕込んだみたいになっちゃったっていう(笑)。
木下 あはは(笑)。
HATANO 俺は自分でレーベルを作ったし、その前にはほかのレーベルからリリースした経験もあるから、うちからリリースしたらそこで終わりじゃなくて、例えばそれをやったうえでまたうちからでもいいし「もう1回773Four RECORDSから出します」ってなるならそれはそれでいいし、はたまた「違うレーベルでやってみたい」でもいいし、ただそういうことを考える1つのきっかけになればいいと思っていて。「みんなで協力して20周年を作ったらいいんじゃない?」って説明をした気がする。
木下 773Four RECORDSというレーベルについてきてくれた人たちもいると思うので、その人たちを裏切る形になってしまうんじゃないかということは引っかかってたんです。でも俺たちはもちろん773Four RECORDSを畳むつもりはなくて。IKKI NOT DEADサイドからも「そんなつもりはさらさらないし、そこを汲み取ってくれる誰かに委ねてみてもいいんじゃない?」って言ってくれたので(笑)、プラスにしかならないなと思ってお願いしました。逃げた感覚もないし、よりよく、より楽しくなるためにタッグを組んだ感じです。
タイマンはったら友達
──音楽ナタリーでlocofrankの新作がIKKI NOT DEADからリリースされるというニュースを出したときは反響がとても大きかったです(参照:結成20周年のlocofrank、IKKI NOT DEADから新作リリース)。“locofrank=773Four RECORDS”という印象がずいぶん強いですからね。
木下 そうですね。俺たち最初はLIMITED RECORDSに所属してたんですけど、自分たちのやりたいことが変わって来たのですぐに773Four RECORDSを立ち上げて。でも、長くなってくるとよくも悪くも自分たちが見えなくなってきて、ここ3、4年くらいは特にそういう状況で。がむしゃらにやってもどうにもならないこともあるんだなって気付き始めたところだったので、IKKI NOT DEADは本当にいいきっかけをくれたなと思ってます。
──ちなみに4月にはIKKI NOT DEAD所属のバンドをゲストに招いたツーマンツアーをやられましたけど、そのツーマンツアーはいかがでした?
木下 もちろんIKKI NOT DEADには初めてましてのバンドは1組もいなかったですけど、改めて家族として受け入れてもらうんやったら面通しさせてもらいたかったし、IKKI NOT DEADのお客さんともきちんと顔を合わせておきたかった……というのは表向きの理由で。あとから入るからって、THE NO EARとかSABANNAMANとか、歳が同じくらいだったり、俺らのほうが年上だったりするバンドの“弟”になるのが嫌だったからツーマンやらしてくださいって言って(笑)。
HATANO そういう考え方、昔のヤンキーみたいだよね、“タイマンはったら友達”みたいなさ(笑)。そういうどうでもいいようなことを平気でやりたがるんだよ(笑)。まあらしいと言えばらしいよね。でも、俺らがPIZZA OF DEATH RECORDSから抜けて独立したときも、よしと言う人もいれば悪しと言う人も当然いて。作られたイメージの中にずっといるのって居心地いいけど、何か生み出したいんだったらその安泰をぶっ壊さないといけないって思って俺はずっとバンドやってるから、locofrankも773Four RECORDSとIKKI NOT DEADの2つを背負って「それでもやってみせますよ」って言えればそれでいいんだと思うんだよね。なんならじゃんじゃん叩かれればいいじゃんって。それくらいでちょうどいいよな?(笑)
木下 そうですね(笑)。