PIGGSインタビュー|一蓮托生の5人組アイドルがメジャーデビュー、社長プー・ルイはなぜこの4人を選んだのか? - 音楽ナタリー 特集・インタビュー (original) (raw)
PIGGSのメジャー1stシングル「負けんなBABY」がリリースされた。
元BiSのプー・ルイが社長兼プロデューサー兼メンバーとしてオーディションでメンバーを選出した5人組アイドル・PIGGS。2020年4月に活動をスタートさせると、メンバー5人での共同生活や、100kmマラソンといった企画へのチャレンジなどで話題を呼んだ。メジャーデビューを記念して音楽ナタリーは5人にインタビュー。「なぜこのメンバーなのか?」「どんなグループなのか?」「何を目指しているのか?」という3つの質問を軸に、PIGGSというグループの実態を紐解いていく。
取材・文 / 小野田衛撮影 / 塚原孝顕
何故この5人が集まった?
──グループ結成の経緯から教えてください。世の中にはごまんとアイドルがいますが、その中でなぜプー・ルイさんのグループに応募してみようと思ったのか? そのあたりから説明していただけますか。
CHIYO-P 簡単に言うと、人生に行き詰まっていたんですよね。アイドルの衣装を作りたくて服飾系の大学に入ったはいいけど、1カ月くらいで行けなくなっちゃったんです。人とうまく関わることができなかったんですよ。グループワークとかあっても、みんなとコミュニケーションが取れなくて……。もうそこからは完全に引きこもり。1人でずっと部屋から出ず、フローリングの木目をあみだくじみたいにして時間を潰していました。そんなとき、オーディションの告知を見つけまして。
──プー・ルイさんのプロジェクトということも大きかった?
CHIYO-P それはありますね。アイドルはもともと大好きで、一番ハマっていたのはエビ中(私立恵比寿中学)なんですけど、プーちゃんのところだったら少なくとも怪しい大人にだまされるようなことはないかなと(笑)。とにかく当時は絶望していたから、このオーディションを受けたら何かが変わるかもしれないと淡い期待を抱いていたんです。
CHIYO-P
──なるほど。BAN-BANさんは、なんと東京大学に在学中なんですよね。
BAN-BAN はい! 私の場合、アイドルが昔から好きだったわけではなかったんです。最初に好きになったのは第1期のBiSですけど、リアルタイムじゃなくて動画であとから知った感じでした。それで大学受験が終わったタイミングで、お母さんと一緒にライブへ行ったんですよ。それが第2期BiSで、ちょうどプーちゃんが卒業するときだったんですけど。
──そのとき、東大に合格したんですか?
BAN-BAN いや、そのときは落ちて浪人することになりました。でも、とにかく2期BiSのライブが衝撃的すぎたから、早く自分も東京に出てアイドルになりたいと考えるようになったんです。それで受験勉強をがんばって……だって東京大学に入ったら東京に出ることができますから。
BAN-BAN
プー・ルイ 東大だけが東京の大学じゃないけどね(笑)。でも、すごい話だと思う。それでBAN-BANは「プー・ルイが新たにアイドルグループを作る」というニュースを見て実際に応募してきたんです。
SHELLME 私は愛知県出身なんですけど、芸能活動をするために上京してきました。上京といっても、正確には所沢でしたが(笑)。とにかくそれで前の事務所で6年くらい活動していたんですけど、正直、全然ダメで。親からも「あと1年以内に結果が出せなかったら、地元に戻って就職しなさい」と言われていたんです。完全に追い詰められていたから、もうなんでもいいから受けてやるという気持ちでいました。そんなとき、「これ受けたら?」とバイト先の知り合いから薦められたのが、プーちゃんが始めるアイドルのオーディションだったんですよね。
──ぶっちゃけた話、そこまでアイドルに興味はなかった?
SHELLME 全然なかったです。前の事務所にもアイドルはいたんですけど、本当にキラキラしてかわいい感じだったから、とても自分が馴染めるような雰囲気でもなくて。その頃、私はダンス&ボーカルグループに入っていたんですけど、アイドルだけは無理だと思っていました。
──5人の中でKINCHANさんだけは追加での加入ですよね。
KINCHAN はい、2021年9月に入りました。でもWACKやプーちゃんのことは好きだったので、前からファンとして普通に応援していたんです。2020年にやったPIGGSオーディションも受けたいという気持ちはあったんですけど、そのときは学業の関係であきらめちゃったんですよね。住んでいるのが福岡だから、それも厳しいなと思いましたし。
──実際に稼働したPIGGSのことはどう見ていました?
KINCHAN いきなり共同生活とか徒歩ツアーとか始めたから、「すげえことしているな」って(笑)。でも、本当に衝撃を受けたのは「PIGGS-モナ・リザ-」という曲。インパクトがすごかったんですよね。心をわしづかみにされちゃって。特にプーちゃんが「それでも!」って歌っている姿にはグッときました。改めて聴くとPIGGSはほかの曲も全部いいし、「やっぱり受けておけばよかった」と大後悔しまして。だから追加メンバーを募集するTwitterの文章が輝いて見えたし、今度は迷わず応募しました。
「このメンバーだからこそ」という感覚
──さて、プー・ルイさんです。これまでソロ、2回のBiS、LUI FRONTiC 赤羽JAPAN、BILLIE IDLEなどで活動してきましたが、今回のPIGGSでは社長としてグループを牽引する立場となりました。
プー・ルイ BILLIE IDLEが終わるとき、渡辺淳之介(WACK代表)さんとごはんに行ったら「お前、どうするの?」という話になりまして。その時点で自分的には「歌がやりたい」「グループがいい」というところまでは決まっていたので、そう伝えたら、「だったらお金はあげるから、自分で会社を立ち上げて好きなことをやれば?」と言っていただいたのがきっかけでPIGGSを結成することにしたんです。
──WACKのグループとして始まる可能性もあったんですか?
プー・ルイ 「もう歳だから、お前はWACKにいらない」って言われました。でもそれは全然キツい調子ではなくて、いつもの渡辺さんと私の笑いながら話すテンション。結局、取引するときとかに会社がないと不便だから法人化したほうがいいということになったんです。そうなるととにかくがんばるしかないから、自分が何だったらがんばれるのかを考えたとき、頭に浮かんだのが最初のBiSだったんですよね。初期BiSは何も考えずにめちゃくちゃがんばれていたし、それ以降の私って本当に心の底から楽しいと思えていない時期も多かったんですよ。「楽しいけど、初期BiSほどじゃない」みたいな感覚が残っていて。
プー・ルイ
──ご自身の中でも初期BiSは特別だったということですか。
プー・ルイ やっぱり初めてのアイドルということもあって、初期衝動みたいなものが強かったですから。初期BiSと同じくらいワクワクするために、PIGGSを中国で立ち上げようという話もあったんです。その案でけっこう現実的に動いていたんですけど、コロナが流行り始めてダメになっちゃいましたね。
──そんなこともあったんですね。メンバー選考の基準は?
プー・ルイ オーディションでは「一緒にやれそうだな」と思った子を中心に選びました。チェックポイントは性格とかしゃべり方ですよね。例えば「挫折した経験はありますか?」と質問されたとき、人のせいにしないというのは重要なポイント。そこで他人のせいとか環境のせいにする子は、結局、活動すると何かに不満を漏らして辞めていくんですよ。
SHELLME そのことはあとからプーちゃんに聞いたんですけど、なるほどなって納得しましたね。思い当たる節がけっこうあるので。
CHIYO-P 正直、メンバー5人の性格はバラバラだと思うんです。でも、そのバランスがよかったのかもしれない。
BAN-BAN 時間が経つにつれ、「このメンバーだからこそ」という感覚が強くなっています。休みの日も一緒に遊びに行ったりしていますしね。