上坂すみれ×清竜人「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」対談|♡キュートでポップな初コラボ♡ - 音楽ナタリー 特集・インタビュー (original) (raw)

上坂すみれの通算10枚目のシングル「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」が4月17日にリリースされた。表題曲は上坂がヒロイン児嶋加奈の声を演じているテレビアニメ「なんでここに先生が!?」のオープニング主題歌で、作詞および作編曲は初のタッグとなる清竜人が担当。色気満載の“ちょっと過激なハイスクールラブコメ”「なんここ」の世界観にぴったりな、セクシーかつドリーミーな1曲だ。音楽ナタリーでは上坂と竜人の初対談をセッティング。2つの強烈な個性が融合した「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」の制作過程に迫った。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 塚原孝顕
スタイリング / 佐野夏水 衣装協力 / Melody BasKet

「ブッ込め」って言われてんのかなと

──お二人は現在同じキングレコードに所属していることと、上坂さんの衣装を担当している佐野夏水さんが清 竜人25時代の衣装も手がけていたという共通項はあるものの、作品で顔を合わせるというのは新鮮ですね。それまでの接点というと……。

清竜人 25のときにライブで共演した(参照:清 竜人25、上坂すみれと競演フェスタで「お尻が見えそうな」熱演繰り広げる)ぐらいですかね。

上坂すみれ

上坂すみれ 私は25のライブを何度か拝見していたのですが、まさかレーベルメイトになれるとは思わなかったです。一方的にお見かけする機会はありましたけど、こうやってお会いしたことはほとんどなくて。

竜人 片手で数えられるぐらいですよね。いつか楽曲でもなんらかの形でご一緒したいなと思っていて、スタッフともそんな話をしていたんですけど、今回ついに楽曲提供の話をいただいて。

──それはアニメのタイアップありきで?

竜人 はい。「なんでここに先生が!?」というアニメがあって、そのオープニングテーマを書いてほしいということで。アニメを意識しての制作だったんですけど、そもそもすみれちゃんに曲を書くのは初めてだから、彼女のアーティストイメージも考えつつ、本人やスタッフのコンセンサスも取っておきたかったので、NG事項だったりとか、アニメタイアップ以外の情報についても確認したんです。でも、基本的にNG事項はないと。もちろん限度はありますけど。それでこのアニメ、そして清竜人……これは「ブッ込め」って言われてんのかなと。

上坂 あははは(笑)。

清竜人

竜人 「……わかるでしょ?」みたいなことなのかなと。そういうところから着想を得たのがこの曲です。

上坂 そっかあ。

竜人 とは言えもちろん下品にはしたくなかったし、僕が関わるからには、すみれちゃんがもともと持っているカラーやイメージにさらに新しいものを加えなくちゃいけないという使命もありました。ある種こういう、エッチスケッチワンタッチ的なね、そんなアニメだからこそ上品に仕上げたいとは思ってました。ある程度攻めても、すみれちゃんが歌ってパフォーマンスするなら品性を保てるだろうと思ってましたけど。

騙し絵と大部屋

──今回の楽曲でご一緒する前は、お互いどんなイメージを持っていましたか?

竜人 やっぱり知的なイメージが大きかったですね。知的で聡明で美人で、さっきの話と重複しますけど、下品さはない。

上坂 ほおー。なんか褒められた気がします。

──けっこうむちゃくちゃなことをやっているはずなのに、なくしちゃいけない品はこぼさず保っている印象ですよね、確かに。

竜人 うんうん、そう。

左から上坂すみれ、清竜人。

上坂 私が竜人さんを観たのは25が初めてだったんですが、MCの時間になったらハケていく姿が面白いなあと思ったり、曲中では誰よりも動いてらっしゃるのにあえて我を出さず嫁たちに任せる、みたいな姿が素敵だなあと思いました。ステージも客席も、ほかのアイドルにはない独特な空間ができあがっていて。中野サンプラザとか、最後の幕張(参照:清 竜人25、夢でも現実でもない3年間のラブストーリーの結末)も拝見しましたけど、女性アイドルたちと並んであんなに美しい構図を作れるなんてすごいなって。25の前のソロ楽曲とか、堀江由衣さんの「インモラリスト」(2011年2月発売のシングル。清竜人が初めて外部アーティストに提供した楽曲)とか、どれも作風が違っていて、どれが本当の姿なのかわからない、実態が謎……今も「どれが清さんの本体なんだろう?」って思いますね。なんだろう、エッシャーの騙し絵みたいな。螺旋階段だと思ったら砂時計だったみたいな、エッシャー感のある方です。

竜人 僕はそんなトリックアートみたいな人間じゃないんで(笑)。もっと単純だと思うんだけど。

上坂 メビウスの輪も自分で「俺、騙し絵みたいだな」なんて思ってないですから。

──お二人とも「同世代の人とはうまく足並みそろえられず生きてきたんだろうな」という印象があるんですよ。種類は違えどそこは共通しているのかなと。

上坂 確かに、浮世になじまない感じはありますね(笑)。

竜人 それはあるかもしれないですね。

左から上坂すみれ、清竜人。

上坂 そう言えば歳も近いんですよね。どんな音楽が一番好きなんですか?

竜人 難しいなあ。僕は昔から本当に雑食で、王道のJ-POPも聴くし、音楽を始めたきっかけは幼少期のクラシックだったので、いまだにチャイコフスキーを聴いたりもしますし。どういうのを聴いてたんですか?

上坂 初めて聴いたのがナゴムレコードみたいな感じだったので、そこからテクノポップとかユーロビートとか。いわゆるJ-POPが聴けるようになったのは去年からなので……。

竜人 あっはっは(笑)。自分で歌うのは平気なんですか? J-POPのルールに則ったような曲は過去にもあるよね。

上坂 基本的には作品ありきで、それを表現しようと歌っているので大丈夫です。幼少期にあまりテレビを見せてもらえない家庭だったので、友達の話にも付いていけずでして。小さい頃から好きだったんですか? J-POP。

竜人 月並みに、小学生のときにモーニング娘。を聴いたりしてましたよ。

上坂 モーニング娘。とチャイコフスキー、ケンカしませんでした?

竜人 脳内で?(笑) まあ全然別モノとして。ストラヴィンスキーが流れてる横で加護ちゃんが歌ってたり。

上坂 すごい。脳の部屋がいっぱいありそう。私はたぶん大部屋の人なので……。

──脳が大部屋(笑)。

上坂 すぐケンカが始まるんですよ。清さんは個室がいっぱいあるんでしょうね。