「幕張と私」3代目支配人・星座庸子さん (original) (raw)
よしもと幕張イオンモール劇場10周年 ［バックナンバー］
誕生から6年間見届けた思い出の劇場
2023年10月10日 12:00 7
千葉・よしもと幕張イオンモール劇場が2023年12月20日にオープン10周年を迎える。これを記念し、お笑いナタリーでは全4回の連載を展開。その1回目は、劇場の立ち上げに携わり、3代目支配人として奮闘した星座庸子さん（現ルミネtheよしもと支配人）のコラムをお届けする。
文 / 3代目よしもと幕張イオンモール劇場支配人・星座庸子さん（現ルミネtheよしもと支配人）
「よしもと幕張イオンモール劇場」は、「ファミリーで楽しめる劇場」をモットーにオープンしました。
思い返せば2013年8月に【幕張イオン準備室】と言う名前で異動辞令が出ました。「幕張!?」何が始まるのかも全くわからないまま、専任は支配人と私の2人。2013年12月のオープンに向けて5カ月の準備期間中、まだ平地だった場所に「イオンモール幕張新都心」が誕生し、莫大な広さで驚きと興奮を今でも思い出します。人生において、劇場の立ち上げを経験することなんてめったにないので、とても良い経験となりました。まさかのその後、もう一度よしもと有楽町シアターの立ち上げに関わるなんて思いもしませんでしたが（笑）。
オープン当初は年中無休の毎日朝昼夜公演をしていたので休む暇もなく、毎日が慌ただしくてすごく大変でした（笑）。無我夢中でみんなでチケット販売やチケットもぎり、呼び込み、演者の送り出し……あらゆることを、誰がどの持ち場とか関係なくやっていて、当時の支配人が自らチケット販売し、呼び込みしていたのも印象に残っています。その姿が今の私の支配人という立場での手本にもなっているのは間違いありません。
イオンモールの中の飲食店はたくさんあるけど混んでいるのと、実は少し距離もあるので「ランチ問題」がオープン当初からありました。みんなでたまにピザを頼んだり、スーパーに行って買い出しして楽屋でパーティーみたいなことを頻繁にやっていました。あるとき、「炊きだししてみようかな」と思い、始めたところ、思いのほかみんなに好評で、それから毎週末は特製カレーか牛丼をふるまうようになり、幕張の名物になりました（笑）。ルミネtheよしもとに来てもいまだに「カレーはまだですか？」と言われます。いつかルミネでも作ろうかなと企んでます。
よく平日は「昼ネタライブ」の前に近所のスーパー銭湯の営業を入れていて、チョコレートプラネットやしずる、フルーツポンチ、とにかく明るい安村など、幕張セブンスターズ（※）を中心に、岩盤浴サウナのスタッフとして特大うちわでお客さんを仰いだり、ブロワーで強風を送ったりと、かなりの体力仕事をしてもらったあと、ゆっくり温泉につかり、お昼ご飯を頂いていました。その後の「昼ネタライブ」ではものすごい眠気と戦っている芸人たちが、必死にネタとコーナーをしていました（笑）。
楽屋の廊下が長いので、よくキャッチボールや「椅子を滑らせてどこまでいけるか」などのゲームをしていました。たぶん今でもやっていますが（笑）。そのあたりの遊びを思いつくのは大体アイロンヘッドの辻井くん。そういえば制作の子がボクシングを始めたときは一緒によくスパーリングをしていました。
ファミリーがターゲットということで、最初はタケトととにかく明るい安村のベビーダンスや、バンビーノのお昼寝アートなど、ママさん向けのイベントを開催したり、天津・木村による詩吟教室やシルクさんの美容イベントなど、カルチャーイベントを行ったりもしていました。なかなか大変なこともたくさんありましたが、どれも初めての経験で、劇場を飛び出し、幕張メッセなどで出張イベントを実施したこともありました。
私が幕張を離れる前の2019年夏には1カ月半もの期間、イオンモール幕張新都心をジャックし、「イオンモール幕張新都心をTT兄弟がジャック！」イベントを開催しました。イオンモールのグランドモール全体を使って、等身大パネル、スタンプラリー、謎解きなどをTT兄弟で埋め尽くすことができました。TT兄弟によるイベントは今までにないほどの人だかりで、3階までギッシリ埋まった光景は忘れられません。
異動辞令が出てから2年で副支配人に、翌年には支配人に。「私が支配人なんて無理だ……」という思いでスタートした支配人でしたが、そこから3年間も続けてこられたのは本当に周りの芸人とスタッフのおかげです。私は良いスタッフに囲まれていて、たくさん助けてもらいました。最高のスタッフがいてくれるから安心して任せることができます。今でも幕張時代をともにしたスタッフと連絡を取るほど仲良しです！ 大切な宝物です。オープン当時から勤務して6年間いた「幕張」という場所は私にとって絶対忘れられない街となりました。
当初は海浜幕張駅が最寄り駅で、劇場まで距離があり、みんなで「どのルートが一番いいか？」と話し合ったり、新しい交通手段を見つけては共有したりしたのも良い思い出です（笑）。今年はなんと言っても新駅「幕張豊砂駅」が開業し、イオンモールまでは徒歩1分ほどに。かなり便利になりました！（みんな、良かったね！）
幕張の寄席公演は当日券の販売が半数以上を占めています。それができるのはキャラバン隊のおかげ。若手芸人が毎日来てくれて、お客さんに声かけしてたくさん当日券を販売してくれています。現在はコロナ禍も明け、新たなキャラバン隊ができ上がり、今も毎日頑張ってお客さんに呼びかけてくれています。ぜひ、話しかけに行ってみてください。そして青田買いしてください！
「よしもと幕張イオンモール劇場」はこれから何年も何十年も吉本の常設劇場として続いていきますので、今後とも引き続きよろしくお願い致します！！
よしもと幕張イオンモール劇場
住所：千葉県千葉市美浜区豊砂1-1 イオンモール幕張新都心グランドモール3F
最寄駅：武蔵野線・京葉線「幕張豊砂駅」下車 イオンモール幕張新都心まで徒歩1分
ロビー営業時間：10:00～