「歴代のM-1出場者でもっとも長い名前なのは誰か?」2年ぶり3回目の調査 (original) (raw)

今年で19回目を迎えた漫才頂上決戦「M-1グランプリ」。今年の決勝ではダンビラムーチョ、カベポスター、くらげ、マユリカ、モグライダー、令和ロマン、さや香、真空ジェシカ、ヤーレンズが新チャンピオンを目指して激突する。

お笑いナタリーでは「M-1グランプリ」を独自の目線で振り返る連載「(たぶん)まだ誰も調査していないM-1データ」で、「歴代でもっとも長い名前の出場者は誰か?」を2020年と2021年に調査しており、同企画を2年ぶりに実施。2001年から2023年までにエントリーしたのべ7万7474組から「長い名前の出場者ランキング TOP20」を作成した。前回は2003年から1位に君臨していた「コケーッコッコッコッコッコッコッココケーッコッコッコッココケーコケーコケーコッコケー」が2位に陥落する波乱が起きたが、今回は果たして。

文 / 塚越嵩大

長い名前の出場者ランキング TOP20

括弧、感嘆符、疑問符、読点などの記号も1文字とカウントした。また2022年以降に新たにランクインした組はオレンジ色で表記する。

19位(29文字 / 同率2組)

ザ・ビューティーアンクルイズスチューデントオブロックスター

2016年にエントリーしたものの、1回戦欠席となったコンビ。翌年以降は出場しておらず、ザ・ビューティーアンクルイズスチューデントオブロックスターがM-1の舞台に立つことは一度もなかった。

オヤゴッランタ・ハムヴィーマ・ゲナ・ボホマ・サントーシャイ

2018年より3年連続で出場している日本人とスリランカ人のコンビ。2018年と2019年には2回戦に進出している。2007年から2009年の大会では日本人とバングラデッシュ人のコンビ「アミ・ボロロク・ホエ・デシェ・ジェテ・チャイ」が22文字という長い名前で注目を集めたが、それを超える文字数で今回TOP10入り。なお2003年には、日本人とパキスタン人のコンビ「日パ50周年」が2回戦に進出するも、ビザの期限切れでリタイアとなった事件もあった。

18位(30文字)

帰ってきたワールド・オブ・ジャパニーズプレジデント波平と海平

2008年に出場した「ワールド・オブ・ジャパニーズ・ブレジデント波平と海平」が翌2009年、さらに名前を長くして「M-1」に舞い戻ってきた。「帰ってきた」が付いたこと以外にも「ブ」が「プ」になっていたりと細かい修正が施されている。

16位(31文字 / 同率2組)

You are always gonna be my love

2021年大会に初登場した、会社員2人よるアマチュアコンビ。9月20日の名古屋予選に出場したが1回戦で敗退してしまった。宇多田ヒカル「First Love」の歌詞にも登場するこの英文の意味は「あなたはずっと私の愛おしい人」。完全な英文になっている出場者は意外に少なく、英語系では歴代最長のコンビ名だ。

パンティーかぶって下品なオープンカーに乗って電信柱にぶつかった

2004年に出場したアマチュア。当時ネット上には、この長い名前を「なんだこいつらは」と不信がる声も見受けられた。彼らのほか、“文章系”の出場者には「まだそこ二人しゃべってるんで朝礼始めません」(2006年出場)、「平成の漫才トリオと呼ばれたいです。」(2007年出場)、「あんまりふざけたコンビ名にすると怒られますよ」(2010年出場)などもいる。

14位(32文字)

ジョマネフヨガテレポーティングバーチャルティーポットさとしひさし

「ジョマネフさとし」「バーチャルティーポットひさし」の2人によるコンビで、2021年大会に初参加。2人の名前を繋げるだけのコンビ名であればランクインできていなかったが、なぜかどちらにもついていない「ヨガテレポーティング」というワードが加わったことにより、13位にランクインした。なおYouTubeには2人が「ジョマネフ最高」「ジョマネフチャンネル」と言い続けるだけの動画がアップされている。

動画「ジョマチャンネル始めました」

サンタクロースは本当にいるのかわからないけれどプレゼントは枕元に

2005年大会に参加したアマチュア。サンタクロースの存在を疑っている名前としては、2010年参加の「サンタなんていない」もいる。また2001年から2023年までの19大会すべてにおいて、最低1組は「サンタ」という言葉が付く出場者が参加している(「サンタランド◎」「ルパンダサンタ」「サンタマルタ」「サンタスティック」「サンタルチア」「滑空サンタ」「サンタマリアン」「モヒカンサンタモニカ」など)。

13位(34位)

意気投合したのは韻踏合組合のヒダディーとNSC 24期のよしたけだった

韻踏合組合に所属するラッパー・HIDADDYが井塚秀貴氏と結成したユニット。韻踏合組合は「ytv漫才新人賞」のイメージソング「Manzaiiii」を制作したグループだ。なおヒップホップ界からは、サイプレス上野とロベルト吉野も2018年に参戦している。

12位(33文字)

恋に恋いこがれて恋になくもえつきたそのハートはもう誰にも止められない

2006年に参加したアマチュア。この年は「まだそこ二人しゃべってるんで朝礼始めません」「ひらがながまったくかけません」「総員2名、現在員2名、異常ありません」「ロマンティックが止まらない」「番号ちがいます!」など否定形の文章を名前にした出場者がなぜか多かった。

11位(34文字)

カトリーナを素手で倒した男達第6章「帰還そして旅立ちガダルカナルへ」

ハナコ岡部、ひょっこりはん、Gパンパンダ、にゃんこスター・アンゴラ村長、XXCLUB大島らが所属していたお笑いサークル「早稲田大学お笑い工房LUDO」から2005年に参戦。名前にカギカッコが使われるのは珍しいが、過去には「君に『うん』と言わせ隊」(2004年出場)、「『熊本県 大阪事務所』で考え中。」(2015年出場)、「大型巡洋艦『星漁』」(2022年出場)などもいる。

10位(37文字)

クレイジーボーイズ(ぼったくりバー経営者森中と自己破産する程ぼられた深井)

2016年に出場したアマチュアコンビ。名前にカッコが付いているコンビの代表的な存在として、かつてはトゥインクル・コーポレーション所属の「南の風(風力3)」がいたが、M-1には「おも注(おもしろ注意報)」(2004年出場)、「ジュルリ(コンビーフの油身で)」(2005年出場)、「ワッサイズム(やったね!)」(2007年出場)、「わかば・のぼる(お笑い行政講座)」(2019年出場)などがいる。

9位(38文字)

スライディングマダムとコーナーキック娘婿with普通のはとこin黄昏第二埠頭

大阪で活動しているアマチュアコンビ。「スライディングマダム」「コーナーキック娘婿」といったワードを組み合わせていくうちに「ここまできたらもっと長くしたれ」という気持ちが沸き起こり、最終的に38文字になったという。命名の詳しい経緯は彼らのネットラジオ番組「スラマダRADIOSHOW」で語られているので、興味のある人はチェックしてみよう。

7位(41文字 / 同率2組)

イッヒ・リヒテンシュナイド・シュテインリッヒ・シュバイツガビリシャス・ズレータ鳥越

2004年出場のアマチュア。ブラザースが「M-1」予選初司会を務めた東京・有明スタジオに出場し、1回戦で敗退した。

スリジャナワルジャナプラコッタの高らかな朝に君はタンバリンを鳴らすのだ。言えた!!

2010年に「スリジャナワルジャナプラコッテの高らかな朝に君はタンバリンを鳴らすのだ」として出場したアマチュアコンビが2015年に改名して再登場。元ネタはサンボマスターの楽曲「全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ」か。

6位(42文字)

コケーッコッコッコッコッコッコッココケーッコッコッコッココケーコケーコケーコッコケー

2003年に一度だけ出場。ひたすらニワトリの鳴き声を再現するだけの狂気的なネーミングセンスは抜群のインパクトを放っている。42文字という驚くべき記録は17年間、破られていなかったが2021年に2位へと陥落した。

5位(43文字)

ビチョビチョとネタネタでビチョビチョをネタネタにしたらビチョビチョがネタネタになったヨ

2021年に初参戦し、18年ぶりに1位の記録を破ったコンビ。今回は5位にランクダウンしたが、個人名である「ビチョビチョ」と「ネタネタ」が3回ずつ登場するコンビ名は未だにインパクト抜群だ。なお2人は2021年は大阪、2022年は愛知、2023年は静岡となぜか都道府県を変えながら1回戦に出場している。

4位(45文字)

もし恋という感情に匂いがついていたとしたら、この世に片思いは存在していなかったかもしれない

「広島大学漫才サークル(笑)~カッコワラ~」に所属するアマチュアコンビ。2023年に初参戦し、見事1回戦突破を決めている。彼らの合格が発表された際、Xでは「ラノベのタイトルみたいな人がいる」「te’みたいなコンビがいる」などと一部のお笑いファンがザワついた。

3位(49文字)

ぉと~ちやん(笑)&セナ☆chan。はじめての☆まんざい!!!!!!ぽよぽよ~♡♡♡~(^ー^)/

現役NSC生のまんてん堂・セナと現役YCA生の鶴田泰茂によるユニット。2023年9月19日の1回戦にトップバッターを務め、「小学校大好きショートコント」を繰り出していくネタでナイスアマチュア賞を獲得した。このネタで2人は「翼をください」を歌っている最中にタイムオーバーとなり、逃げるように退場している。

ぉと~ちやん(笑)&セナ☆chan。はじめての☆まんざい!!!!!!ぽよぽよ~♡♡♡~(^_^)/「M-1グランプリ2023」1回戦ネタ動画

2位(74文字)

パブロヴィエゴホセフランシスコデパウラホアンネポムセーノマリーアデロスレメディオスクリスピンクリスピアーノデラサンディシマトリニダードルイスイピカソ

ネオとネオ3によるアマチュアコンビで、ピカソの長い本名をそのままコンビ名にしている。2022年9月21日の1回戦に登場し、それまでの最長文字数だった「ビチョビチョとネタネタでビチョビチョをネタネタにしたらビチョビチョがネタネタになったヨ」の43文字を大きく上回る74文字で断トツの歴代トップ文字数コンビとなったが、2日後の9月23日に94文字のコンビが出現した。彼らが最長文字数コンビの座についたのはわずか3日間。三日天下とはまさにこのことか。

1位(94文字)

やるときは、やりますよ!えっ?やれないと思ってるんですか?いやいや、舐めてもらっちゃ困ります。いざいざ御用だ御用だピンキーホイップ。ひつまぶしでひまつぶし~にゃんにゃんにゃんこちゃんにゃー

「きり」と「馬登のん」のコンビ・陽琹(ひより)にピン芸人の「みまい」が加わる形で結成された3人組ユニット。2日前に最長文字数コンビとなった「パブロヴィエゴホセフランシスコデパウラホアンネポムセーノマリーアデロスレメディオスクリスピンクリスピアーノデラサンディシマトリニダードルイスイピカソ」を20文字上回る94文字という記録は驚異的。2023年のファイナリスト9組が束になっても46文字で半分にも満たない。

2021年の時点で1位だったコンビがたった2年で5位になり、最長文字数は43文字から94文字へと増えた。2003年から2020年まで1位に変動がなかったことを考えると、この数年で最長文字数のインフレが起きているといっても過言ではない。皆さんも個性豊かなコンビ名に注目しながら大会を楽しんでみては。