今こそ観てほしいミュージカル映画3選 (original) (raw)

緊急事態宣言の解除から10日ほどが経ち、本格的な再始動に向けて多くの劇場が少しずつ準備を始めている。本連載「うちがステージ!」では、演劇界ににぎわいが戻るのを待ちながらも、劇場にいる気分を味わえるような提案を、毎回異なるテーマでお届けする。

第4回は、多数のミュージカルで活躍している海宝直人昆夏美、そしてミュージカルをはじめ数々の舞台作品に携わる作曲家・宮川彬良が登場。ミュージカルをこよなく愛する3人に、今こそ観てほしいミュージカル映画3選を、オススメのポイントと共に紹介してもらった。

「プロデューサーズ」は当時すっかりはまって、映画館に何度も通いました。ネイサン・レインさんとマシュー・ブロデリックさん扮するプロデューサーズの曲を歌いたくて、必死に英語で歌うのを練習していた記憶があります。笑って元気になりたいときにおすすめの作品です。
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は、子供の頃から大好きな作品です。バラエティに富んだ楽曲と、“不気味かわいい”キャラクター、ちょっと怖いけど心躍る物語は何度観ても飽きません。名曲ぞろいの一作です。
「スウィーニー・トッド」は、ティム・バートンさんのダークでファンタジックな演出、スティーブン・ソンドハイムさんの音楽が合わさってぞくっとする魅力にあふれる作品です。ジョニー・デップさん、ヘレナ・ボナム=カーターさん、そして2016年に亡くなった名優アラン・リックマンさんなど魅力的な俳優陣の演技や歌も見どころです。

1988年千葉県出身。7歳のときに劇団四季のミュージカル「美女と野獣」チップ役で舞台デビュー。その後、劇団四季「ライオンキング」の初代ヤングシンバ役を務めた。主な出演ミュージカルに「ALTAR BOYZ」「レ・ミゼラブル」「ジャージー・ボーイズ」「アナスタシア」、劇団四季「アラジン」「ノートルダムの鐘」など。また自身がボーカルを務めるロックバンド・シアノタイプが2018年にメジャーデビューを果たし、2019年にはソロとしてウォルト・ディズニー・レコードよりデビューした。

3作品に絞るのはとても悩みましたが、今回は私の大好きな、そして自分の中で観たあとにより“勇気”と“活力”を感じられるものを選びました。
この3作品にはどれも、差別や偏見など、さまざまな葛藤がテーマとして根底にありますが、“今”を精一杯生きて、価値あるものにしていく登場人物たちの姿を見ていると、とても輝かしく感じます。
メッセージ性だけでなく、観終わったあとにも頭をよぎるようなキャッチーな曲があるのも共通点だと思っています。
音楽とエネルギー。ミュージカルにとって大切な要素を存分に感じられる大好きな作品たちです。

1991年東京都出身。洗足学園音楽大学ミュージカルコース在学中にミュージカル「ロミオ&ジュリエット」ジュリエット役でプロデビューし、その後も多数のミュージカル作品やストレートプレイに出演。ミュージカル「ハムレット」でオフィーリア役を務めたほか、「レ・ミゼラブル」エポニーヌ役、「ミス・サイゴン」キム役、音楽劇「星の王子さま」王子さま役、「マリー・アントワネット」マルグリット・アルノー役などでも知られる。今年2月には初出演・初主演作となった映画「ぐるり1200キロ、はじまりの旅」が、さぬき映画祭で上映された。

・「ウエスト・サイド物語」(1961年 アメリカ)
・「ロシュフォールの恋人たち」(1967年 フランス)
・「ワンサくん(最終回)」(1973年 日本 / 編集注:手塚治虫原作のテレビアニメ)

「ウエスト・サイド物語」これを映画館で観て感染し、劇団四季の門をたたき、日生劇場のオーケストラピットでピアノを弾いた。我がバイブル。「ロシュフォールの恋人たち」は観なくていい、ただ聴いてほしい。「ワンサくん(最終回)」は、いくらミュージカルファンでも観たことはあるまい。1973年製の日本のアニメ。最終回が完璧なミュージカルだったのだ!(作曲は我が父、宮川泰である)

1961年東京都出身。作曲家・舞台音楽家。1997年に「身毒丸」「幻の光」で読売演劇大賞の優秀スタッフ賞、2000年に「ミラクル」で東京芸術劇場ミュージカル月間優秀賞、2005年に「ハムレット」で読売演劇大賞の優秀スタッフ賞を受賞。「マクベス」「星の王子さま」「欲望という名の電車」「絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』」など多数の舞台、ミュージカルで音楽を手がける。NHK 教育テレビ(Eテレ)「クインテット」でも知られるほか、作曲・編曲・指揮・ピアノ演奏・解説を自身が務めるコンサートを全国で行っている。