玉置玲央は目の前の作品に向き合い続ける (original) (raw)
映画やテレビドラマ、舞台で強烈なインパクトを残す俳優たち。ここでは舞台に軸足を置きつつ、あらゆるステージで異彩を放ち続ける“恐るべき舞台俳優たち”を紹介する。
第2回はシャープかつダイナミックな演技で、舞台でも映像でも観客の目を惹きつけてやまない俳優、玉置玲央が登場。現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」では、藤原道長の次兄・藤原道兼を演じ、鮮烈なインパクトを与えている。そんな玉置に舞台との出会い、忘れがたき作品、さらに役に取り組むうえでのマストアイテムを教えてもらった。
玉置玲央(タマオキレオ)
Q. あなたが一番最初に影響を受けた舞台、または初舞台を教えてください。
2002年に上演された阿佐ヶ谷スパイダースの「ポルノ」です。高校生当時、演劇を観る手段といえば友達から借りたVHSくらいしかなかったのですが、初めて自分でお金を払って劇場に足を運んで観た商業規模のお芝居でした。それまで観てきたどのお芝居とも毛色が違くて、そこはかとないいかがわしさと危うさ、視てはいけないものを視ているかのような背徳感にどっぷりハマって、演劇に対する価値観が刷新されたのとその後の自分の演劇の方向性が決まった作品でした。
今では自分もゴーチ・ブラザーズの所属になり、中山祐一朗さん、伊達暁さんの後輩になった訳ですから不思議なご縁だなと思います。
Q. 舞台、映像問わず、これまでで一番忘れ難い作品、あるいはターニングポイントになった役を教えてください。
映画「教誨師」での全てが忘れ難くターニングポイントになっています。何はなくとも主演を務められた大杉漣さんの在り方やお芝居に対する姿勢を目の当たりに出来たことが自分の役者人生にとっては非常に大きく、映画初出演で右も左もわからずただただがむしゃらに取り組むしかなかった自分には余りにも眩しかったです。役を掴むのにけっこう手こずって、「これでいいのだろうか」という思いを抱えたまま本番を迎えたのですが、漣さんが現場で掛けてくださったある何気ない一言のお陰で自分の悩みとか葛藤みたいなもののちっぽけさを知ることが出来て、それは今でも自分が俳優業をやるうえでの道標になっています。演じた高宮真司という役も結果、それまでの仕事の集大成のような役になり、その後の仕事の幅が拡がった実感があります。
Q. 舞台、映像問わず、あなたが作品に臨むときのマストアイテムを教えてください。
缶コーヒー。現場に入る前、現場中、終わった後とついつい飲んじゃう。糖分と水分補給のために摂取している節があります。あと「やるぞー!」っていうスイッチのオンオフが切り替わるんでしょうね。
そしてイヤホン。音楽聴いて気合い入れるってことが多いので必須アイテム。現場に向かう道すがら、アップ中、待機時間でも、なんかノらないなってときは音楽ぶち込んでます。
Q. 今後の目標をお願いします。
心身共に健やかに俳優業を全うすることですかね。こだわりや気負いのようなものが積み重なってくるとそれがどんどんお芝居を邪魔したり身体や心に良くない影を落とすような気がするので、ある意味無責任に、ただただ実直に目の前のお芝居を続けるということ、そして何より応援してくださっている方々を満足させ続けることを目標に生きていきたいです。
プロフィール
1985年、東京都生まれ。劇団柿喰う客所属。主な出演作に舞台「夢の裂け目」「Take Me Out 2018」「秘密の花園」「イヌの日」、テレビドラマ「サギデカ」「TWO WEEKS」、映画「教誨師」。現在、NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演中。3月から4月にかけてPARCO PRODUCE 2024「リア王」に出演。