刀剣男士が紡ぐ、真冬の百物語「真剣乱舞祭」 (original) (raw)

12月8日に東京・日本武道館で開幕し、その後大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭 2017~」。ステージナタリーでは、12月8日に日本武道館で行われた初日公演の模様をレポートする。

「真剣乱舞祭 2017」は、2015年のトライアル公演、翌16年の「阿津賀志山異聞」「幕末天狼傳」、今年17年の「三百年の子守唄」「つはものどもがゆめのあと」のキャストが一堂に会するライブ公演。昨年の「真剣乱舞祭 2016」に続き、2回目の開催である今回は、竹千代(阿由葉朱凌、小島幸士)による前説で幕開け。2人は、“真剣乱舞法度”と題した開演前の諸注意を読み上げ、約8000人の主たちが集う会場の空気を温めた。

照明が落ちると、ろうそくを手にした16振りの刀剣男士が登場。「寒い中、水仕事はこたえる」と嘆く加州清光(佐藤流司)のもとに、刀剣男士たちが続々と集まってくる。身体の温まる遊びをしようと思い立った彼らは、にっかり青江(荒木宏文)の提案で、季節外れの百物語をすることに。そして、仄暗い明かりに怪しく照らされた16振りは、“刀剣百物語”にちなんだ新曲を歌唱。またこの場面では、和泉守兼定(有澤樟太郎)が俳句を披露する「ここで一句!」のコーナーも設けられた。

百物語は、石切丸(崎山つばさ)による三条宗近のエピソードでスタート。石切丸の語りを受けて木槌を手にした小狐丸(北園涼)が舞台奥から厳かに登場し、華麗な舞が特徴的な「あどうつ聲」を歌い上げる。続いて、三日月宗近(黒羽麻璃央)が京都・三条大橋にまつわるエピソードを披露すると、三条大橋にゆかりのある近藤勇(郷本直也)、土方歳三(高木トモユキ)、沖田総司(栩原楽人)、新撰組を元主に持つ加州清光、和泉守兼定、長曽祢虎徹(伊万里有)に加え、助っ人の蜂須賀虎徹(高橋健介)が現れ、「幕末天狼傳」第2部のエンディング曲「ユメひとつ」を歌唱した。

三日月宗近が手もとの明かりを消すよう観客に促すと、客席のペンライトの光が1つ、また1つと消えていく。三条大橋の物語に誘われるように、五条大橋に縁深い岩融(佐伯大地)と今剣(大平峻也)がステージに姿を現し、「千本目のちぎり」を力強く歌い上げるも、「三条大橋と五条大橋、2本間違えた!」と笑いながら引き上げていく。そして刀派を同じくする千子村正(太田基裕)、蜻蛉切(spi)のターンへ。「脱いで魅せまショウ」で会場をピンク色に染め上げた2振りは、源氏の重宝・髭切(三浦宏規)、膝丸(高野洸)にバトンタッチ。穏やかでおっとりとした性格の髭切を、しっかり者の膝丸がフォローしながら、源氏にまつわるエピソードを話したのち、2振りは「双つの軌跡~となり~」を披露した。

ミステリアスな空気に包まれた百物語のシーンから一転、「Can you guess what?」からは、怒涛のライブパートに突入。刀剣男士 formation of 三百年の「Jackal」、にっかり青江、大倶利伽羅(財木琢磨)による「Nameless Fighter」、「幕末天狼傳」第2部より「Signalize」「Get your Dream」、「つはものどもがゆめのあと」第2部のナンバー、そして蜻蛉切のソロ曲「Real Love」が次々と披露されると、観客のボルテージは最高潮に。人気ナンバー「mistake」「サヨナラ」「美しい悲劇」に続いて披露された新曲では、総勢16振りが舞台上に集結し、グラフィックポイを使用したパフォーマンスで観客を魅了。また刀剣男士に負けじと、歴史上の人物たちも「勝利の凱歌」でステージを盛り上げる。

内番衣装に着替えた刀剣男士たちは、今剣による振付レクチャーに合わせて「えおえおあ」を歌唱。次の「KEY MAN」では、和泉守兼定が「いいか主、手ぬぐいを持つんだ!」「回せー!」と呼びかけ、会場を1つにまとめ上げる。にこやかにステージをあとにする刀剣男士たちと入れ替わるように太鼓が運び込まれてくると、武蔵坊弁慶(田中しげ美)、源義経(荒木健太朗)を中心とした歴史上の人物たちが、力強いパフォーマンスを披露した。

「者共、準備はいいか! 敵が油断しているうちに狩り尽くしてやろうぞ!」という岩融のひと声に呼応し、上着を脱ぎ捨てた一同は「漢道」を熱唱。刀剣男士たちが歌い終えると、メインステージの画面には“誉”の一文字が映し出された。

辺りが再び暗闇に包まれる中、「真剣乱舞祭 2017」はいよいよクライマックスへ。「最後に僕が話をしようか」と語り始めるにっかり青江に、石切丸が「百物語は99話目でやめていいそうだよ」「本当のあやかしが現れてしまうから」と諭し、本編最後の楽曲「かざぐるま」へ。「かざぐるま」を歌い終えたにっかり青江は「家に帰るまでが百物語だからね」と観客に優しく微笑みかけ、静かに舞台をあとにした。

鳴り止まぬ拍手に応え、再びステージに姿を現した彼らは、メインテーマ「刀剣乱舞2017」に乗せて、真剣必殺を繰り出しながら時間遡行軍を次々と撃破していく。最後に刀剣男士たちが1振りずつ観客に向けて挨拶し、全27曲、上演時間約2時間20分におよぶ「真剣乱舞祭 2017」は幕を閉じた。中国公演は、12月23・24日に中国・広州体育館で開催。なお本公演のBlu-ray / DVDは2018年夏にリリースされる。

「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭 2017~」

2017年12月8日(金)・9日(土)※公演終了
東京都 日本武道館

2017年12月12日(火)・13日(水)※公演終了
大阪府 大阪城ホール

2017年12月19日(火)・20日(水)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ

2017年12月23日(土・祝)・24日(日)
中国 広州体育館

原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
総合演出:茅野イサム
脚本:御笠ノ忠次
振付・ステージング:本山新之助
振付:TETSUHARU

キャスト

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(c)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

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