帚木蓬生の小説をシライケイタが脚色、青年座「安楽病棟」演出は磯村純 (original) (raw)

帚木蓬生の小説をシライケイタが脚色、青年座「安楽病棟」演出は磯村純

2018年4月18日 19:12 2

劇団青年座「安楽病棟」が、6月22日から7月1日まで東京・本多劇場で上演される。

本作は精神科医で小説家の帚木蓬生による「安楽病棟」を原作に、脚本を温泉ドラゴンのシライケイタ、演出を青年座の磯村純が手がける作品。さまざまな症状の老人たちが暮らす認知症病棟で1人の老人が亡くなると、その後、相次いで患者が急死する。それらの死に疑惑を抱いた若い看護師は、事実の裏に隠された終末期医療に対するある思いを知り……。

シライは本作の脚色にあたり、「『産まれる』ということ。『生きている』ということ。そして、『死んでいく』ということ。この人類普遍の根源的なテーマに対して真正面から向き合い、『生と死』について深く考察し、日本のこれから、世界のこれから、そして人間のこれからを観客と共に考える契機にしたいと強く望み、舞台化を企画するものである」とコメントしている。チケットの一般前売販売は5月9日11:00から開始される。

シライケイタ コメント

言うまでもなく、この小説の最大の特徴は、全てが独白で語られていくことにある。
つまり、独白を語る人の数だけ、人生がある。
人の数だけ生があり、生活があり、時間があり、そして死がある。
患者や、患者の家族の語る人生は、ひとりひとりがそれだけで一本の芝居になるようなドラマに満ちている。
演劇は、「人間」を描くことをほぼ唯一の使命として存在している。
これだけ豊かな「人間」の物語に満ち溢れた本作は、演劇作品の原作として非常に魅力的である。
生身の俳優が小説の人物の人生を生きることによって、よりダイレクトに、より活き活きと、「安楽病棟」の世界を立ち上がらせたい。
舞台化に際しては独白の手法は用いず、小説の中で描かれている痴呆病棟の患者たちの生活空間を軸に、「小説から演劇へ」三次元に立ち上げ、魅力的な演劇作品として転生することを目指す。
そして、最大のテーマである、安楽死問題。
これから更なる高齢化社会になっていく日本において、これ以上ない現代性を持ったテーマだと言える。
小説を読んだ時に受けた衝撃や、原作者である帚木さんの大きな問題提起を、観客に投げかけたいと思っている。
「産まれる」ということ。「生きている」ということ。そして、「死んでいく」ということ。
この人類普遍の根源的なテーマに対して真正面から向き合い、「生と死」について深く考察し、日本のこれから、世界のこれから、そして人間のこれからを観客と共に考える契機にしたいと強く望んでいる。

※初出時より本文を一部修正しました。

この記事の画像(全1件)

劇団青年座 第232回公演「安楽病棟」

2018年6月22日(金)~7月1日(日)
東京都 本多劇場

原作:帚木蓬生「安楽病棟」(新潮文庫)
脚本:シライケイタ
演出:磯村純

キャスト

全文を表示

リンク

※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。

舞台を求めて旅した夏、遠征先で出会った作品を紹介

美味しさの物差し