モメラス実験公演「彼(私)から見える世界」 (original) (raw)

モメラス実験公演「彼(私)から見える世界」が、12月1日から3日まで東京・BUoYで上演される。

松村翔子が作・演出を手がける「彼(私)から見える世界」は、自閉スペクトラム症を抱える子供から見える世界と、その母親の育児放棄を描いた作品。共同演出を黒川武彦が担い、主人公の子供・実役は、人形作家の井桁裕子が制作した人形が演じる。

出演者には上蓑佳代近藤強曽田明宏中野志保実西山真来田中夢が名を連ねた。また、声の出演として、井神沙恵石倉来輝串尾一輝、黒川、中藤奨和田華子が参加する。なお本作は“展示一体型演劇”となっており、会場内には戯曲テキストや、写真家・映像作家の立川清志楼の作品が展示され、上演の前後では展示を鑑賞することができる。

本作について、松村は「『障害と虐待』にはタブーな要素が多く含まれ執筆は非常に困難でした。虐待者は過去に被虐待者であった事例が多く、虐待の連鎖を断ち切るのは想像以上に難しいこと。また、発達障害の理解が深まってきた昨今、未だ差別や偏見に苦しむ当事者や周囲の方々を思いどう寄り添ったらいいのか悩みました。これらは簡単に答えを出せる問題ではありません。今でも考え続けています。今作ではまず発達障害の最低限の知識を、そして彼 / 彼女らから見える世界をほんの少しでも共有できたら幸いです」と思いを述べる。

黒川は「ハワイアンの店先で燃える炎を『ちょうちょ』と呼ぶ、松村さんのお子さんの話をききました。私はどこかで炎をみたなら『ちょうちょ』を思い出すでしょう。誰かに寄り添い近づこうとすることで見えて来ること。展示と上演の時間を過ごして見つけていただけたらと思います」とコメントした。

松村翔子コメント

自閉スペクトラム症を抱える子どもから見える世界と、その母親の育児放棄を描きます。

私自身、出産を経験する前は障害にも虐待にも無関心でした。産後のボロボロの体で生まれたばかりの儚い命を必死に抱きながら昼夜の子守に翻弄され身も心も衰弱していたとき、母親による虐待のニュースを目にしました。そのとき我が子を抱く手が震え、初めて虐待が他人事でないことを実感しました。その事件は私にも起こり得ることだと強く思ったのです。そこから虐待のルポを読み漁り、障害を持つ子どもが虐待に遭うケースが多い傾向にあることを知りました。それが今作を書くに至ったきっかけです。

「障害と虐待」にはタブーな要素が多く含まれ執筆は非常に困難でした。虐待者は過去に被虐待者であった事例が多く、虐待の連鎖を断ち切るのは想像以上に難しいこと。また、発達障害の理解が深まってきた昨今、未だ差別や偏見に苦しむ当事者や周囲の方々を思いどう寄り添ったらいいのか悩みました。これらは簡単に答えを出せる問題ではありません。今でも考え続けています。

今作ではまず発達障害の最低限の知識を、そして彼 / 彼女らから見える世界をほんの少しでも共有できたら幸いです。

黒川武彦コメント

同じ場所にあっても光によって見え方が違い、その人それぞれの記憶という時間の集積によっても違います。同じ物事が人を傷つけたり安らげたり。

今回の公演には自閉スペクトラム症を抱える子どもが登場します。専門的知識を解説いただく時間を上演に組み込んでいます。彼から見える世界と彼を見つめる世界と。

ハワイアンの店先で燃える炎を「ちょうちょ」と呼ぶ、松村さんのお子さんの話をききました。

私はどこかで炎をみたなら「ちょうちょ」を思い出すでしょう。

誰かに寄り添い近づこうとすることで見えて来ること。展示と上演の時間を過ごして見つけていただけたらと思います。

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