井上靖の小説が原作、ニットキャップシアター「補陀落渡海記」 (original) (raw)

井上靖の小説が原作、ごまのはえ×仲谷萌で立ち上げるニットキャップシアター「補陀落渡海記」

2022年12月18日 11:00 6

ニットキャップシアター 第43回公演「補陀落渡海記」が1月6日から9日まで、京都・THEATRE E9 KYOTOにて上演される。

これは史実を元に書かれた井上靖の同名小説を原作に、ごまのはえが脚本を手がけた作品。舞台は1565年の、和歌山県熊野の浜ノ宮海岸にある補陀落寺。この海岸のはるか彼方には観世音菩薩が住む補陀洛山があるとされ、いつしか補陀落寺の住職は61歳の11月に補陀洛渡海することが慣例のようになっていた。本物語の主人公の僧侶・金光坊は、まだまだ自分には修行が足りないと感じられ、渡海を先延ばしにするつもりでいたが、彼の渡海を信じてやまない周囲の人々の期待に押され、その年に渡海することを決め……。

なお今回は、ごまのはえと共に、劇団メンバーの仲谷萌が演出を担当。また京都の音楽家・北航平が音楽を手がける。ごまのはえは仏教系の大学に通っていたときの思い出を振り返りながら「『補陀落渡海記』も先生の言葉のように、場違いで、空回りのユーモアがあって、わけのわからない確信に満ちた作品です。でも百人に一人、この作品を観て、元気になる人がいますように。そしてそれがアナタでありますように」とコメント。仲谷は「原作小説である『補陀落渡海記』の中で特に好きだった描写は、主人公がふと目の前の木の青さや波音に気がつくところ」と言い「木の青さや波音を、お客さんと感じてみたいと思います」と語った。

ごまのはえコメント

私は仏教系の大学に通っていました。そこにはお喋りをやめない学生に向かって「君たちもいつか死ぬ!」とわけのわからない叱り方をする先生がいました。でも私はその言葉に救われました。いつか死ぬなら、その時が来るまで生きていよう。そう思えたんです。私たちの「補陀落渡海記」も先生の言葉のように、場違いで、空回りのユーモアがあって、わけのわからない確信に満ちた作品です。でも百人に一人、この作品を観て、元気になる人がいますように。そしてそれがアナタでありますように。

仲谷萌コメント

原作小説である「補陀落渡海記」の中で特に好きだった描写は、主人公がふと目の前の木の青さや波音に気がつくところ。「長い間金光坊の眼や耳は、そうしたものを受けつけていなかったのである。」と文章は続きます。何かに心をとらわれ思い悩む時、自分の中で伸び縮みする時間と現実がズレる感覚を、私もなんか知っています。今に気づくって、実は難しいのかもしれません。木の青さや波音を、お客さんと感じてみたいと思います。

ニットキャップシアター 第43回公演「補陀落渡海記」

2023年1月6日(金)~9日(月・祝)
京都府 THEATRE E9 KYOTO

原作:井上靖
脚本:ごまのはえ
演出:ごまのはえ、仲谷萌
出演:門脇俊輔、澤村喜一郎、池川タカキヨ、西村貴治、山谷一也、高田晴菜、山本魚、高安美帆、石原菜々子、木下菜穂子

※高安美帆の「高」ははしご高が正式表記。

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