長谷川慎・北乃きいの“ロミジュリ”幕開け (original) (raw)
「ロミオ&ジュリエット」が、本日1月28日に東京・Bunkamura シアターコクーンで開幕。これに先駆け昨日27日に囲み取材とゲネプロが行われた。
本作では、ウィリアム・シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEの長谷川慎がロミオ、北乃きいがジュリエットを演じ、立ち上げる。演出を担うのは、2013年にアニメーション映画「もののけ姫」を舞台化したイギリスの演出家アレクサンドラ・ラターだ。
開演と共に、グレーのマントを着けてフードを被った8人のアンサンブルが舞台に登場する。アンサンブルの「いずれ劣らぬふたつの名家……」という語りに続き、荘厳な音楽が流れ始めると、キャストたちは次々に姿を現す。“一代で財を成した”モンタギュー家の面々は青、伝統を重んじるキャピュレット家の面々は赤を基調にした衣裳を身にまとう。ロミオとジュリエットがそれぞれ青と赤の照明に照らされると、暗黒の街・ヴェローナで起きている分断が舞台上に浮かび上がった。
劇中では、シェイクスピアの言葉はそのままに、セリフに合わせて身体を動かすムーブメントが繰り広げられ、登場人物たちの感情の揺れや人間関係の変化が視覚化された。長谷川は、指先まで神経の行き届いたシャープなダンスで魅せつつ「一度こうと決めたら突っ走ってしまう」真っすぐな若者としてロミオを演じる。また北乃はキリリとしたまなざしでジュリエットの意思の強さを表現。ジュリエットがロミオと出会うシーンでは、パワフルな歌声で劇場を包み込み、観客を魅了した。
ゲネプロ前に行われた囲み取材には、ラター、長谷川、北乃のほか、ティボルト役の中尾暢樹、パリス役の小松準弥、ベンヴォーリオ役の石川凌雅、マキューシオ役の京典和玖、キャピュレット役の若杉宏二、キャピュレット夫人役の紺野まひる、モンタギュー役の鈴木省吾、モンタギュー夫人役の美羽あさひ、そしてジュリエットの乳母役の野口かおる、エスカラス役の松村雄基、ロレンス神父役の山崎樹範が出席した。
長谷川はロミオについて「人生が狂ってもジュリエットを愛そうとしていて、男気のある人だと思う」と話し、「アレックスがセリフを1つひとつかみ砕いて教えてくれた。自分の中に落とし込んでセリフを言えるようになったのはアレックスのおかげです」と稽古を振り返ってラターに感謝を述べる。また長谷川は「気合いを入れるときは赤いパンツをはいています。今日から千秋楽まで、赤で行きます!」と明かし、会見場を笑いで包んだ。
「今回のジュリエットはロックでクール」と言う北乃は「ジュリエットが感情を歌い上げるシーンもあります。芯が強く、今までにないジュリエットなのでは」とコメント。本作の魅力について北乃は「ムーブメントを交えた演出が新しくて面白いです。日本語がわからない方が観ても楽しめると思います」と語った。
中尾は「ティボルトは怒りを抱えた人物。『ロミオをぶっ倒したい』という気持ちで世界観を作り上げました」、小松は「『なぜパリスはジュリエットと結婚したいのか?』に注目して観てもらえたら」と述べる。石川は「ベンヴォーリオは争いに巻き込まれる、中立的な立場の人。彼の葛藤を繊細に演じたい」、京典は「マキューシオは短気なイメージですが、実はデリケートで、世の中に対して強い感情を持っている。彼の二面性に注目してほしい」とメッセージを送った。
「見どころは、観てのお楽しみ(笑)」と言った若杉は「“愛”が少ない時代なので、愛が詰まったこの舞台をぜひご覧ください」と続ける。紺野は「ご覧になる方の心が少しでも動き、それによって世界も変わってくれたらなと思います」と願いを込めた。またロミオの父・モンタギューを演じる鈴木は「ロミオがこんなに素敵なので、自分も彼にふさわしい父親を演じたい」と話し、美羽は「息子との関係性やモンタギュー一家の雰囲気を感じてもらえるようがんばります」と語った。
松村は「ヴェローナ大公のエスカラスには慈悲深いイメージがありましたが、アレックスさんには『彼にもダークな面がある』と言われました。人間臭く演じられたら」と意気込み、山崎は「場面転換ひとつ取っても、アレックスが美しく演出してくれています」と見どころを紹介。さらに野口は「『ロミオとジュリエット』は“本棚にある物語”だと思うかもしれませんが、私たちが皆さんの目の前で演じることで、切ったら血が出るような人間のストーリーだと感じてもらえたら」と言葉に力を込めた。
演出のラターは「言葉がなくても感動する舞台を作りたかった。今この世界で上演する意味があると思っています」と話し、「シェイクスピア作品ではいろいろなチャレンジができる。今回も挑戦の精神でがんばってきました。私たちが作り上げた世界を皆さんとシェアできてありがたいです」とコメントした。
最後に長谷川と北乃が再びあいさつ。北乃は「サプライズボックスを開けたときのような、驚きと感動が詰まった舞台になりました。ぜひ足を運んでいただけたら」と呼びかけ、長谷川は「皆さんの心に残る舞台を届けたい。観てくださる方の人生の1ページになればうれしいです」と思いを語り、取材を締めくくった。公演は2月12日まで行われる。
なおステージナタリーでは本作の特集を展開。稽古場の様子をレポートしているほか、ラター、長谷川、北乃、中尾、小松、石川、京典のコメントを掲載している。
「ロミオ&ジュリエット」
2023年1月28日(土)~2月12日(日)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
上演台本・演出:アレクサンドラ・ラター
キャスト
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(c)ロミオ&ジュリエット製作委員会