宮沢りえ出演「アンナ・カレーニナ」開幕 (original) (raw)
COCOON PRODUCTION2023 DISCOVER WORLD THEATRE vol.13「アンナ・カレーニナ」が、本日2月24日に東京・Bunkamura シアターコクーンで開幕した。
「DISCOVER WORLD THEATRE」は、シアターコクーンが海外の才能と出会い、新たな視点で挑む演劇シリーズ。その第13弾となる今回は、ロシアの文豪レフ・トルストイによる長編小説「アンナ・カレーニナ」を、イギリスの演出家フィリップ・ブリーンが新たな解釈で戯曲化し演出する。アンナ・カレーニナ、アレクセイ・ヴロンスキー、アレクセイ・カレーニンの三角関係を中心に描かれることが多い「アンナ・カレーニナ」だが、今回の上演版では、破滅に向かうアンナの愛と、未来への希望を感じさせるコンスタンチン・リョーヴィンとエカテリーナ・シチェルバツカヤ(キティ)の純愛が対照的に描写される。
タイトルロールを演じるのは宮沢りえ。そのほかのキャストには、リョーヴィン役の浅香航大、ヴロンスキー役の渡邊圭祐、カレーニン役の小日向文世らが名を連ねた。開幕に際し、宮沢は「全ての台詞が心に響いてくる素敵なエピローグのためにも、密度の濃いアンナを生き切りたいと思います」と意気込みを語った。
上演時間は休憩ありの約3時間45分。東京公演は3月19日まで行われ、その後、25日から27日まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演される。
宮沢りえコメント
チェーホフやイプセンの経験はありますが、シェイクスピアもギリシャ悲劇も経験がなく、いわゆる“ヒロイン”的な役柄はほぼ初めてです。膨大な小説を凝縮させたフィリップのタフな台本にどれだけ高い密度で参加出来ているのか。
都会の第一線で作品を作り続けているフィリップが、あの村の場面を大事に丁寧に描こうとしているのは、人間として生きるとはどういうことなのか、という投げかけだと思います。でもそんな理想の生き方を誰もが出来るわけではなくて。自由とは、同時に孤独でもあるということを考えさせられます。
今回の舞台では特に息子セリョージャの目線が鍵になっていて、彼はずっと大人たちのことを見ているんです。次の時代を作っていく子供たちが何を見て大人になっていくのか、その危機感や期待がフィリップの中にあるんではないかと感じます。私自身も、子供が成人するまでにどれだけ生きる力を与えられるのか、どんなものを見て、どんなことを感じていけば豊かな人間になれるのか、考えさせられますね。
全ての台詞が心に響いてくる素敵なエピローグのためにも、密度の濃いアンナを生き切りたいと思います。
浅香航大コメント
リョーヴィンは、中身はとても繊細で、常に様々なことを考えている人間なんです。真面目で頭が固くユーモアもないけれど、口下手な僕が言葉にするとその良さが薄れるのではないかと思うほど、魅力ある人間です。
物語の構造としては、アンナとリョーヴィンの対照的な生き方が対として描かれていますが、あえて対のように演じるのではなく、リョーヴィンが経験し影響を受けたことが、結果、対に見えたらいいなと思うんです。
フィリップさんが最初に仰ったのは、これはリョーヴィンの目線から語られているということでした。ですから、アンナたち登場人物に起こることを受け止め、その変化を感じていくということも意識しています。そして、そこで受けたものを全て、最後のシーンで表現できればなと。最後はリョーヴィンが大事なことを語りますが、それは、リョーヴィンが自分自身に語っているのと同時に、今を生きる人たちへのメッセージになっているのではないかと思うんです。さらに言えば、これからを生きていく子供たちへの。稽古の中で吸収したもの全てを込めて、そのシーンに臨みたいと思います。
渡邊圭祐コメント
一昨年に続き、二度目の舞台出演です。今回は世界で傑作と認められた小説が原作。共演も舞台経験豊富な先輩ばかりで、恵まれた環境で続けて演劇に関われたことに、心から感謝しています。
役について悩み、考えるため十分に時間をかけられるのも舞台の醍醐味。日々稽古を積み重ねられる舞台だからできる、自分にとっての新たな挑戦。演劇や俳優という仕事についても改めて考えることができて、ありがたく充実した毎日を過ごしています。
舞台上で作品や役を「生きる」だけでも大変なのに、ヴロンスキーは幕が開くごとにアンナに恋し、恋の終わりまでを毎回体験することになる。その過程の大いなる悩みや葛藤をどう表現するか、飛躍する場面の時間経過を自分の身体にいかに流すか、などの演技はカロリー消費がものすごく高いと感じています。
臆して当然の大舞台。でも、逃げ腰で臨むには勿体ないほど貴重な機会なのも事実です。経験値が少ない分、怖いもの知らずな飛び込み方もできるはず。全てを自分の糧にできるよう、作品に挑み続けたいと思っています。
小日向文世コメント
この作品、タイトルからしてアンナを中心とした話かと思いきや、実はアンナを巡る世代が違う三組の物語が同時進行していくんです。フィリップの台本はその展開をとてもわかりやすく描いていて、こうした男と女のドロドロしたお話、俯瞰すると哀れで滑稽で笑っちゃうんだけど愛おしくなりますね。フィリップは登場人物をフルに使っていろんな光景を生み出し、飽きさせない。その盛りだくさんの見せ方は、さすがだなと。さらにつねに生音があって出演者がハミングしたりと、非常にエンターテインメントな舞台が作られています。
最後まで離婚を認めなかったカレーニンは、本当に彼女を愛していたのか、それとも意地があったのか。僕は何か別の思いがあったのだと感じていて。
男と女が出会って、恋をして、その後のことはやっぱり難しくて、だからこそ面白い。本当の幸福というものは、非常にささやかで、お互いの信頼関係があって成立するということをフィリップは言いたいのだろうなと思っています。
COCOON PRODUCTION2023 DISCOVER WORLD THEATRE vol.13「アンナ・カレーニナ」
※大廣アンナと佐々木奏音、麗と渡辺心優はWキャスト。
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