愛希れいか主演ミュージカル「マリー・キュリー」開幕 (original) (raw)

ミュージカル「マリー・キュリー」が、本日3月13日に東京・天王洲 銀河劇場で開幕。これに先駆け同日、取材会が行われた。

本作は、韓国発の創作ミュージカル「マリー・キュリー」を、鈴木裕美の演出で日本初演するもの。“ファクション・ミュージカル”とうたわれる本作では、科学者マリー・キュリーの生涯が、史実(ファクト)と虚構(フィクション)を織り交ぜて描かれる。19世紀末、マリー(愛希れいか)は大学進学のために乗ったパリ行きの列車で、アンヌ(清水くるみ)と知り合う。そのあとマリーは当時一般的でなかった女性の科学者となり、研究者のピエール・キュリー(上山竜治)と共に新しい元素ラジウムを発見し、ノーベル賞を受賞。ところが、ミステリアスな投資家ルーベン(屋良朝幸)が経営するラジウム工場では、体調を崩す工員が現れ……。

取材会には愛希、上山、清水、屋良、鈴木が登壇した。約2カ月間の稽古に無我夢中で力を注ぎ、初日を迎えた実感がないという愛希は、力を入れて稽古してきた部分やお気に入りシーンを尋ねられると、「力を入れてきたのはもう……すべてなんですけど(笑)。マリーの科学に対する愛がすごいので、私もとにかくお芝居に力を注ぎました。まるで何かを背負っているかのように、常に力が入っていたなと思います」と率直に答える。お気に入りシーンについては、「韓国版でもショーアップされたシーンがあるんですけど、ルーベンさんのダンスシーンは特に見どころかなと。(横に飾られたポスターを指差しながら)このポスターからは想像できないような一風変わったステージになっています。稽古期間の終盤に初めてそのシーンを観たとき、『こんなふうになっていたんだ。すごい!』と驚いた」と話す。

これを受けた屋良は「愛希さんの今のコメントでとんでもないプレッシャーを感じています(笑)」と言い、「今回、聖司朗くんと一緒にアニメーションダンスをするナンバーがあります。ほかのミュージカルではあまり見ない、『こういう質感のダンスをしながら歌う人っていないよね』というような場面なので、それを取り入れた裕美さんの感覚が面白いですし、新しいことをやらせてもらえるのが楽しい。自分がアイデアを出した部分もあるので、うまく面白さにつながっていたら良いなという気持ちです。また役柄としては、今までヒール役やかき回し役を演じる機会がなかなかなかったので、自分自身楽しみながら、皆さんをめちゃくちゃにしてやろうと思っています」とコメントする。

「本作は女性の生命力や輝きが描かれた作品。愛希さんに宿る生命力や反骨精神、そして愛希さんの輝く姿から、すごく勇気をいただいているので、お客さんにも勇気や希望を届けられるのでは」と話す上山は、「本作はキャラクターの役割がはっきり分かれていて、それぞれの個性がすごく立っています。屋良さんは作品に絶大なるスパイスを加える担当なのですが、僕のほうは“癒し担当”で……」と言うと、演者から口々に「え? そうだったの?」などとツッコまれ笑いを誘う。続けて「ルーベンはマリーを献身的に支える癒しの存在。私史上一番優しい役どころです」と微笑んだ。

清水は「私は、マリーとピエールのデュエットが本当に大好きなんです。互いへの愛を表現するデュエットでありながら、2人が好きな科学に対する愛のデュエットでもあって。素敵なメロディに素敵な歌詞を乗せてお二人が歌う姿を見て、『ありがとうございます』といつも拝んでいました」と熱っぽく語る。「個人的には、ある動物になるシーンに注目してもらいたいです。見た目はキュートですが(物語的に見ると)残酷なシーンで……。見ていただければそう感じる理由がわかるので、ぜひ実際に確かめてほしいです」と呼びかける。

鈴木は、日本版演出のポイントについて「韓国版では非常にゴージャスなセットが組まれているんですが、今回の日本版は『お能か』というくらい非常にシンプルです」と明かし、「その代わり、というと語弊があるかもしれませんが、俳優と何度も登場人物の人間関係について話し合いを重ね、ここにいない俳優たちも含めて、1人ひとりのキャラクターが立つように作品を作ってきました」と紹介した。

最後に来場を楽しみにしている観客へのメッセージを求められた愛希は、「本作には、マリーのように道を切り拓こうとする現代女性への思いが込められていますが、稽古を通じて、女性だけではなく、性別や年齢、国を問わずすべての人に響く作品になっていると強く感じました。ぜひいろいろな方々に見ていただきたいなと思います」と言葉に力を込める。鈴木は、「ミュージカルの王道と呼べるような、エモーショナルな楽曲からコミカルな楽曲まで、素敵な楽曲がそろっている作品ですし、俳優さんたちも魅力的な方々ばかり。マリー・キュリーと聞いてなんとなく『科学の話? ハードルが高そう』と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。でも深い作品にはなっていますので、ぜひ足を運んでいただけたらうれしいです」とアピールし、取材会を締めくくった。

上演時間は休憩を含む約2時間45分。東京公演は3月26日まで行われ、4月20日から23日までは大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演される。