市川中車、中村壱太郎と「傾城反魂香」に挑む「六月大歌舞伎」開幕(舞台写真あり) (original) (raw)

市川中車、中村壱太郎と「傾城反魂香」に挑む「六月大歌舞伎」開幕

2023年6月4日 12:20 6

歌舞伎座新開場十周年「六月大歌舞伎」が、昨日6月3日に東京・歌舞伎座で開幕した。

歌舞伎座では本公演をもって、一幕見席の販売がスタート。4階席もにぎわう中、昼の部は近松門左衛門の義太夫狂言「傾城反魂香」より「土佐将監閑居」で幕が開く。通称“吃又“と呼ばれるこの場は、言葉が不自由な絵師の又平と口達者な女房のおとくの、夫婦愛がにじむ息の合ったやり取りが魅力で、今回は市川中車が初役で又平を、中村壱太郎がおとくを演じる。又平は、おとくの力を借りながら、師匠である土佐将監(中村歌六)に土佐の名字を授かりたいと訴えるが、その願いはかなわない。虎を筆の力で消したという弟弟子の修理之助(市川團子)に先を越され絶望した又平は、死を覚悟しながら手水鉢に絵を描く。すると、奇跡が起き……。続く「浮世又平住家」では、落ち延びてきた姫・銀杏の前(中村米吉)を自宅にかくまう又平夫婦の姿が描かれる。又平の描いた大津絵の人物たちが絵から抜け出て、追手を退ける中、中車扮する又平と、壱太郎扮するおとくの立廻りにも注目だ。

昼の部では「傾城反魂香」のあと、「児雷也」と舞踊「扇獅子」が上演される。河竹黙阿弥が手がけた「児雷也」では、中村芝翫が、児雷也実は尾形弘行を初役で勤める。後半に披露される、芝翫扮する児雷也、そして尾上松緑扮する山賊夜叉五郎、中村橋之助扮する高砂勇美之助、片岡孝太郎扮する妖婦越路実は綱手によるだんまり、そして児雷也の引っ込みが見どころ。舞踊「扇獅子」には、中村福助、中村壱太郎、坂東新悟中村種之助、米吉、中村児太郎が出演し、ラストで華やかな毛振りを披露する。

夜の部には「義経千本桜」より「木の実」「小金吾討死」「すし屋」、そして「川連法眼館」がラインナップされた。「木の実」「小金吾討死」「すし屋」では、片岡仁左衛門が、小悪党ながら愛嬌のある、いがみの権太を演じる。このほか、弥助実は三位中将維盛役で中村錦之助、若葉の内侍役で片岡孝太郎、お里役で中村壱太郎、主馬小金吾役で片岡千之助、六代君役で中村種太郎、権太伜善太郎役で中村秀乃介、弥左衛門女房お米役で中村梅花、猪熊大之進役で片岡松之助、権太女房小せん役で上村吉弥、梶原平三景時役で坂東彌十郎、そして鮓屋弥左衛門役で歌六が出演する。

子狐の親を思う気持ちが切ない「川連法眼館」では、松緑が佐藤忠信 / 忠信実は源九郎狐を勤める。出演者には松緑のほか、源義経役の中村時蔵、駿河次郎役の坂東亀蔵、亀井六郎役の尾上左近、飛鳥役の市川門之助、川連法眼役の中村東蔵、静御前役の中村魁春が名を連ねた。

歌舞伎座新開場十周年「六月大歌舞伎」の公演は6月25日まで。

ステージナタリーでは「六月大歌舞伎」の特集を展開中。「義経千本桜」の出演者である仁左衛門が登場し、権太の魅力や、先輩との思い出深いエピソードを語っている。

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歌舞伎座新開場十周年「六月大歌舞伎」

2023年6月3日(土)~25日(日)
東京都 歌舞伎座

昼の部

一、「三代猿之助四十八撰の内『傾城反魂香』土佐将監閑居 浮世又平住家」

二、「児雷也」

三、「扇獅子」

出演
芸者:中村福助
同:中村壱太郎
同:坂東新悟
同:中村種之助
同:中村米吉
同:中村児太郎

夜の部

「『義経千本桜』木の実 小金吾討死 すし屋 川連法眼館」

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