松本白鸚、中村吉右衛門との思い出振り返る (original) (raw)
歌舞伎座新開場十周年「『秀山祭九月大歌舞伎』二世中村吉右衛門三回忌追善」が、去る9月2日に東京・歌舞伎座で開幕した。
「秀山祭」は、二世中村吉右衛門が初代吉右衛門の功績を讃えるため、2006年にスタートさせた興行。今回行われる「『秀山祭九月大歌舞伎』二世中村吉右衛門三回忌追善」は、2021年に死去した二世吉右衛門の三回忌追善として行われるもので、上演ラインナップにはゆかりの演目が並んだ。劇場1階のロビーには二世吉右衛門三回忌追善の祭壇が飾られているほか、2階には、これまでの「秀山祭」で二世吉右衛門が勤めた役のポスターが展示されている。二世吉右衛門の兄である松本白鸚は、本公演について「たった一人の弟なので、是非出演させていただきたいと思いました。今でも、口三味線で『野崎村』や久松の送りの駕籠舁の真似や、『盛綱陣屋』の首実検の真似をして、ふたりで遊んだ子供の頃をよく思い出します」と思いを述べた。
昼の部には「『祇園祭礼信仰記』金閣寺」「新古演劇十種の内『土蜘』」「秀山十種の内『二條城の清正』淀川御座船の場」がラインナップされている。「『祇園祭礼信仰記』金閣寺」は、二世吉右衛門が1966年の吉右衛門襲名披露で、此下東吉後に真柴久吉を勤めた演目だ。今回は、二世吉右衛門も演じた経験のある松永大膳役、十河軍平実は佐藤正清役をそれぞれ中村歌六、中村歌昇が演じるほか、此下東吉後に真柴久吉を中村勘九郎が勤める。また、“三姫”と呼ばれる女方の大役の1つ、雪姫に、中村米吉と中村児太郎がWキャストで挑む。続く「土蜘」では、二世吉右衛門も得意とした叡山の僧智籌実は土蜘の精を、おいである松本幸四郎が初役で勤める。「二條城の清正」は、さまざまな演目で加藤清正を演じ、“清正役者”とも呼ばれた初代吉右衛門が吉田絃二郎に書き下ろしてもらい、1933年に初演した作品。今回は加藤清正を白鸚、豊臣秀頼を市川染五郎が勤めた。
夜の部では、中村又五郎、歌昇、中村種之助の親子3人が、松王丸、梅王丸、桜丸の三つ子の兄弟をそれぞれ演じる「『菅原伝授手習鑑』車引」、そして二世吉右衛門の娘婿である尾上菊之助が狂言師右近後に親獅子の精、菊之助の長男で、二世吉右衛門の孫である尾上丑之助が、初役で狂言師左近後に仔獅子の精を勤める「連獅子」が上演される。夜の部ラストでは、二世吉右衛門の当たり役・駒形茂兵衛を幸四郎が演じる「一本刀土俵入」が披露された。
「秀山祭九月大歌舞伎」は、9月25日まで。
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歌舞伎座新開場十周年「『秀山祭九月大歌舞伎』二世 中村吉右衛門三回忌追善」
2023年9月2日(土)~25日(月)
東京都 歌舞伎座
昼の部
一、「『祇園祭礼信仰記』金閣寺」
出演
松永大膳:中村歌六
雪姫:中村米吉(2~6日、13~18日)、中村児太郎(7~12日、20~25日)
狩野之介直信:尾上菊之助
十河軍平実は佐藤正清:中村歌昇
松永鬼藤太:中村種之助
慶寿院尼:中村福助
此下東吉後に真柴久吉:中村勘九郎
※慶寿院尼役の中村福助は体調不良のため当面の間休演。代わって同役を中村児太郎が勤めます。
二、「新古演劇十種の内『土蜘』」
三、「秀山十種の内『二條城の清正』淀川御座船の場」
夜の部
一、「『菅原伝授手習鑑』車引」
出演
松王丸:中村又五郎
梅王丸:中村歌昇
桜丸:中村種之助
金棒引藤内:中村吉二郎
杉王丸:中村鷹之資
藤原時平:中村歌六
二、「連獅子」
作:河竹黙阿弥
出演
狂言師右近後に親獅子の精:尾上菊之助
狂言師左近後に仔獅子の精:尾上丑之助
僧蓮念:中村種之助
僧遍念:坂東彦三郎
三、「一本刀土俵入」
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