矢崎広らが世界恐慌下を生きる「アメリカの時計」開幕、長塚圭史「SF劇として観るのもまた一興」(舞台写真 / コメントあり) (original) (raw)
長塚圭史が芸術監督を務めるKAAT神奈川芸術劇場プロデュース「アメリカの時計」が昨日9月15日に神奈川・ KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで開幕した。
これは、9月に幕開けしたKAAT神奈川芸術劇場2023年度 メインシーズン「貌(かたち)」のラインナップ作品。2018年、2021年に同劇場で「セールスマンの死」を演出した長塚が、再びアーサー・ミラー作品を立ち上げる。ミラーが晩年に発表した「アメリカの時計」は、1929年の世界恐慌を扱ったアメリカ史劇。劇中では、株の大暴落により富の頂点から未曽有の混乱に陥ったアメリカと、その中で生きたある家族の姿が描かれる。
本作では13人のキャストが50数名の登場人物を演じ分ける。出演者には矢崎広、シルビア・グラブ、中村まこと、河内大和、瑞木健太郎、武谷公雄、大久保祥太郎、関谷春子、田中佑弥、佐々木春香、斎藤瑠希、天宮良、大谷亮介が名を連ねた。
開幕に際し長塚は「どちらかというとアーサー・ミラー作品の中でもあまり注目されてこなかった、どちらかというととっつきにくい史実を扱った、どちらかというと歪な構造のこの『アメリカの時計』ですが、過去と現在とを結びつけ肉付けしてゆく俳優陣、柔軟で迅速なスタッフと共に丁寧に紡ぎました。社会劇としての魅力もありますが、ボーム家のように、近くこのようなことが我が身に降りかかるのではないかと夢想しながらSF劇として観るのもまた一興、いやちょっと恐ろしいか」とコメントした。
上演時間は休憩含む約3時間。公演は10月1日まで。
長塚圭史コメント
カタチのないものを信じ、多くを託し、預け、委ねている現在にこの戯曲がどう響くのか。またこの終わりなき資本主義社会にこの劇が今何を語るのか。初日が開けた今もまだ確かなことは言えませんが、なぜ今この劇を上演するのかと日々問い続けながら歩みました。どちらかというとアーサー・ミラー作品の中でもあまり注目されてこなかった、どちらかというととっつきにくい史実を扱った、どちらかというと歪な構造のこの「アメリカの時計」ですが、過去と現在とを結びつけ肉付けしてゆく俳優陣、柔軟で迅速なスタッフと共に丁寧に紡ぎました。社会劇としての魅力もありますが、ボーム家のように、近くこのようなことが我が身に降りかかるのではないかと夢想しながらSF劇として観るのもまた一興、いやちょっと恐ろしいか。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「アメリカの時計」
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