月城かなと「いろいろな思い感じて」臨む (original) (raw)
宝塚歌劇団月組「ミュージカル『フリューゲル -君がくれた翼-』」「東京詞華集(トウキョウアンソロジー)『万華鏡百景色(ばんかきょうひゃくげしき)』」の東京・東京宝塚劇場公演が、明日10月14日に開幕。それに先駆け、本日13日に通し舞台稽古と囲み取材が行われた。
齋藤吉正が作・演出を手がける「フリューゲル -君がくれた翼-」は、東西に分断されていた1988年のドイツを舞台にした物語。東ドイツの国家人民軍で広報を担当するヨナス・ハインリッヒが、西ドイツの歌姫であるナディア・シュナイダーを招いたコンサートの責任者となったことから、彼自身の生き方が変わる様子が描かれる。
自由奔放なナディアに振り回されるヨナス役のトップスター・月城かなとは、ともするとコミカルな振る舞いに見えるヨナスのお堅い軍人像と、優しさにあふれる本来のヨナスの姿を愛嬌たっぷりに表現。一方で、信じていた母親に裏切られた幼少期のトラウマに揺れる様子を丁寧に見せた。そんなヨナスを翻弄しながらも、彼の心のよろいを剥がしていくナディア役の海乃美月は、持ち前の明るさが役に似合った。
本作では、東西ドイツの和平を目指したコンサートを成功させるために、交流を深め、次第に惹かれ合うヨナスとナディアのストーリーに、ヨナスに目を光らせる同期のヘルムート・ヴォルフ(鳳月杏)の不穏な動きや、反体制派として活動する若者たちの思いが伴走する。さらに、劇中ではヨナスの思い出の楽曲「フリューゲル」が幾度もリフレインされ、物語を盛り上げた。また、終盤には回る盆の上で、壁を隔てた東西の人々が“第九”こと「交響曲第9番」を歌い、人々に勇気や希望を与える“音楽の力”が表現された。
「東京詞華集(トウキョウアンソロジー)『万華鏡百景色(ばんかきょうひゃくげしき)』」は作・演出を担う栗田優香の宝塚大劇場デビュー作。江戸から令和まで“万華鏡”のような色とりどりの東京に生きた人々の姿を、セリフなども織り交ぜながら華やかな歌とダンスシーンで紡いでいく。
囲み取材には月城と海乃が登壇。月城は「『フリューゲル』は久しぶりのオリジナル作品で、ショーアップされた部分もありますが、きっちりと、お芝居として見せたいという思いがあります。また、東京を舞台にした『万華鏡百景色』ではこちらが発散するだけではなく、お客様を引き込んでいけるような演じ方ができたら。2作共挑戦ではありますが、新たな表現の仕方は自分にとっても勉強になるはず」と意気込みを語った。海乃は「『フリューゲル』では、タイトル曲がキーポイントになっていて、ヨナスにとってもナディアにとっても、歌を通していろいろな思いが生まれ、つながっていきます。同じ歌ですが1つひとつ変化をつけて歌っていけたら」と話した。
来年7月の退団が発表されたあとの東京公演スタートに際し、月城は「個人的な気持ちが公演に影響することはないようにしたい」と前置きしつつ、退団に向けて「私自身いろいろな思いを日々感じていますが、舞台を作るうえでは月組の皆にとって大事な公演。その思いを忘れずに大切に過ごしたいと思っています」と明かした。月城と共に退団する海乃も、大劇場公演では退団を決めて臨んでいたとし、東京公演では「退団することをお客様が知ってくださったうえで、公演を観てくださることで、また違うものを感じるかもしれないので、皆様の温かい気持ちも受け止めながら公演に臨めたらと思います」と微笑んだ。
東京公演は11月19日まで。
宝塚歌劇団月組 「ミュージカル『フリューゲル -君がくれた翼-』」「東京詞華集(トウキョウアンソロジー)『万華鏡百景色(ばんかきょうひゃくげしき)』」
2023年8月18日(金)~9月24日(日)※公演終了
兵庫県 宝塚大劇場
2023年10月14日(土)~11月19日(日)
東京都 東京宝塚劇場
「ミュージカル『フリューゲル -君がくれた翼-』」
「東京詞華集(トウキョウアンソロジー)『万華鏡百景色(ばんかきょうひゃくげしき)』」
作・演出:栗田優香
出演:月城かなと、海乃美月 ほか
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※2023年10月16日追記:10月15日から17日までの公演は、インフルエンザウイルスの影響で中止になりました。