福原充則、「豊岡演劇祭」での新作に意気込み (original) (raw)
「豊岡演劇祭2024」記者会見が、本日6月14日に兵庫・豊岡市役所およびオンラインで行われた。
「豊岡演劇祭」は、平田オリザがフェスティバルディレクターを務め、兵庫県豊岡市を中心に開催される演劇祭。本演劇祭は、平田が選定したディレクターズプログラムと、演劇祭が企画するフェスティバルプロデュース、そして公募によるフリンジプログラムで構成され、今年は約70団体が参加する。記者会見には豊岡演劇祭実行委員会会長の高宮浩之、平田、プロデューサーの河村竜也、松岡大貴、加藤奈紬、参加アーティストのスリーピルバーグスの福原充則、ダンスカンパニーMi-Mi-Biの森田かずよと内田結花、そしてNPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)より廣川麻子が登壇。また、司会進行を演劇祭のアドバイザー・田口幹也が務めた。まず高宮は、例年上演が行われていた豊岡市、養父市、香美町のほか、今年から新たに朝来市と宝塚市が会場エリアに加わったことに触れつつ「開催期間も、例年より1週間長くなりました。魅力的なプログラムが並んでおりますので、素晴らしい演劇祭になると期待しております」と言葉に力を込めた。
続いて、平田は「豊岡演劇祭2024」のキャッチフレーズとなる“観る寄る巡る。”に「『豊岡演劇祭』の最大の特徴は、演劇を観るだけではなく、海や山といった景色や、美味しい食べ物を楽しめること。これほど多様な楽しみがある演劇祭は、世界にも類を見ないと自信を持っております。その部分を今年は、今まで以上に押し出したいという思いで(キャッチフレーズを)つけました」と話す。また、開催期間は伸びたが、上演プログラム自体が減ったことに「(演劇祭で作品を上演したいという団体からの)申し込み件数は増えているのですが、昨年はお客様から『観切れない』という声を多くいただきまして(笑)。今年は、もう少し観やすい演劇祭を目指し、泣く泣く数を絞ってセレクトさせていただきました」と明かした。
ディレクターズプログラムにラインナップされた作品の説明は、加藤が担当。マームとジプシー「Chair/IL POSTO」については「マームとジプシーさんには、2020年にも参加していただきました。今回は、イタリアとの国際共同制作となる作品で、世界初演となります」と述べる。また「スリーピルバーグス 第2回野外公演inスタジアム!『リバーサイド名球会』」については「会場となる、野球場のこうのとりスタジアムは、豊岡演劇祭としても初めて使用する場所となります。約1時間にわたり、スタジアムの中を移動しながら鑑賞する内容となり、八嶋智人さんや、豊岡市出身のお笑い芸人、男性ブランコの平井まさあきさんらがご出演されます」とコメントした。
また加藤は、Platz市民演劇プロジェクト「空き家」について「内藤裕敬さんが作・演出を手がけ、市民と制作する作品です。内藤さんには、2022年から演劇祭に参加していただいておりまして、今回は豊岡を題材とした新作となります」、KIACレジデンス・セレクション2023→24:コーンカーン・ルーンサワーン「Mali Bucha: Dance Offering」については、「本作を手がけられるコーンカーン・ルーンサワーンさんは、タイの伝統舞踊を起点に、現代ダンスを制作されている振付家です。今回上演されるのは、昨年4月に城崎国際アートセンターで滞在制作し、同年秋にシンガポールで初演した作品をブラッシュアップしたもの」と紹介。また、岩下徹×梅津和時 即興セッション「みみをすます(谷川俊太郎同名詩より)」については「2022年から毎年、場所を変えて上演している、豊岡演劇祭を代表する作品」、たじま児童劇団「転校生」については「今年の1月にも初演した作品で、たじま児童劇団の中高生の部に所属する学生さんにご出演いただきます。学生さんたちには、夏休みの間に稽古に来てもらい、(作品を)9月6日にオープニングプログラムとして上演します」と説明した。
このほか、ディレクターズプログラムには青年団「銀河鉄道の夜」の舞台手話通訳付き公演、読売テレビプロデュース「ムーンライト・セレナーデを聴きながら」、堀川炎「野火」、んまつーポス×Unlock Dancing Plaza「キリギリスとアリ」が並んでいる。加藤は「(青年団「銀河鉄道の夜」での)舞台手話通訳は、セリフや音の情景を、舞台手話通訳者が演者として舞台に立ち、手話で同時通訳するもので、TA-netさんのご協力で導入します。また、9月14日11:30開演回は“リラックスパフォーマンス回”として、客席を少し明るくするといった、普段の演出とは異なる上演で、劇場に初めて足を運ぶ方や、小さなお子様連れのお客様にもリラックスしながらご鑑賞いただける回にしております」「(「ムーンライト・セレナーデを聴きながら」は)読売テレビのプロデューサー・岡本浩一さんが作・演出を手がけ、平田も共同演出として関わる作品です。岡本さんは出石の出身ということもあり、今回は出石永楽館で、出石出身の政治家・斎藤隆夫をテーマに、戦時中を時代背景にした作品を立ち上げます。同じく出石永楽館で上演される堀川炎さんの『野火』も、戦争をテーマにした作品。大岡昇平さんの戦争文学を、一人芝居として立ち上げます」「『キリギリスとアリ』は、宮崎を拠点に活動しているんまつーポスさんと、香港を拠点に活動しているUnlock Dancing Plazaさんの共同制作です。未就学児から入場できる、子供から大人まで楽しめる作品」とそれぞれ解説した。
フェスティバルプロデュース作品には、ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi「島ゞノ舞ゝゝ」、烏丸ストロークロック×但東の人々「但東さいさい」、to R mansion「へんてこうじょう」、小菅紘史×中川裕貴「山月記」、うさぎストライプ「ゴールデンバット」、そして城崎発演劇列車vol.4 JR西日本観光列車「うみやまむすび」×芸術文化観光専門職大学「『うみやまむすび夢十夜 こんなゆめをみた!!の旅』リターンズ ~TAJIMA発☆奇々怪々方面、ヘンテコ!?夢うつつ行き。ぶらりとご乗車くださいませ~」がラインナップされた。松岡は、フェスティバルプロデュース作品の各演目の魅力に触れたあと、フリンジプログラムについて「今年は、応募数がこれまでで一番多く、216件あったのですが、採択数は例年より減らし、54件とさせていただきました。というのも、フリンジでは、採択した各団体に、地域と密接して作品を作れるように案内するコーディネーターが付くのですが、例年は採択数が多かったため、1人のコーディネーターが抱える団体が多い状況になってしまいまして。コーディネーターの精度をあげるため、今回は採択数を絞りました」と説明。また、昨年も実施された“フェスティバルナイトマーケット”や、交流スペースとなる“ミーティングスポット”を今年も開催すること、そして今年から新たに、地域の店舗やイベントに向けた、登録制のプログラム“寄りんせぇプログラム”を行うことを発表した。
「リバーサイド名球会」の作・演出を手がける福原は「昨年、1観客として『豊岡演劇祭』に来場しましたが、お芝居を観て、そのあと知らない町に飛び出していく……という、すごく貴重な体験をさせていただきました。旅行は、自分を見つめ直すことと相性が良く、また演劇を観ることも、自分と向き合うことにつながりますので、(旅をしながら演劇を観ることで)普段よりもぐっと演劇が自分の中に入ってくる感覚もありました」と同演劇祭の魅力を語る。また「リバーサイド名球会」について「“野球場でお芝居を観る”ということは、ほとんどのお客さんにとって初めてだと思いますし、このスタジアムでしかできないような作品になると思うので、ぜひその場で目撃して、体験してほしいですね。テーマは野球ですが、野球ファンじゃなくても楽しめる作品です。誰にでもあるような“たった1つの好きなもの”を通して、それ以外すべての世界を肯定してやろうという内容になっています」とコメントした。
「島ゞノ舞ゝゝ」を発表するダンスカンパニーMi-Mi-Biの内田と森田は、まず同カンパニーが昨年はフリンジの枠で参加したことに触れ「私達の知名度がない中、地域の方が観に来てくださり、とても良い思い出になりました」と振り返る。カンパニーと、今回発表する作品について「私達は、典型的な身体を持つダンサーと、社会的に言う“障害”を持つダンサーで構成されており、それぞれの感覚の違いを共有しながら、作品創作を行っています。“Mi-Mi-Bi”というのは、“見たことのない美しさ”を表す言葉で、それぞれの身体の美しさに着目しつつ、“美しさ“とは何なのか、私たち自身も自問自答し、探しています」(内田)、「昨年、『豊岡演劇祭』で発表した作品は、“旅”をテーマにしていたのですが、今回は、劇場に作品の世界を立ち上げて、そこに来場者を招きたい、という気持ちで、“島”をテーマにします。空間としての島、という意味合いもありますが、それぞれの身体にも文化や歴史がありますので、1人ひとりの身体も島と言えますし、カンパニーという集合体自体も、島と言えるかもしれない。そのようなことを考えながら、クリエーションを進めています」(森田)とそれぞれ紹介した。
青年団「銀河鉄道の夜」に、舞台手話通訳協力として携わるTA-netの廣川は「『豊岡演劇祭』という場所で、手話通訳付きで公演をやることは、大変意味のあることで、うれしく思っております。14年前、イギリスに1年間留学していたとき、エジンバラ演劇祭に参加したのですが、そこでサポート付きの公演がいくつか上演されており、またダンスや言語を使わない作品もたくさん実施されていたことから、演劇を楽しめた記憶を思い出していました。手話通訳付きの公演は、ろう者のためにやるイメージがあると思いますが、作品として手話通訳も含めて楽しんでいただければ」と思いを述べた。
チケットの、地域先行販売は7月19日12:00から21日18:00までで、全国販売は22日12:00にスタート。チケットは、25歳以下の来場者や、各種学生証、障害者手帳の所持者に向けた割引がある。また一部公演を除き、18歳以下の来場者はチケットが無料となるほか、19歳以上25歳以下の来場者、ならびに各種学生証の所持者は、公演当日に残席あがる場合のみ、無料で観劇できる“クラップメイト”という仕組みを利用できる。詳細は公式サイトを確認しよう。
「豊岡演劇祭2024」
2024年9月6日(金)~23日(月・振休)
兵庫県豊岡市、養父市、香美町、朝来市、宝塚市
ディレクターズプログラム
マームとジプシー「Chair/IL POSTO」
2024年9月13日(金)~15日(日)
兵庫県 芸術文化観光専門職大学 静思堂シアター
作・演出:藤田貴大
スリーピルバーグス 第2回野外公演 in スタジアム!「リバーサイド名球会」
2024年9月20日(金)~22日(日)
兵庫県 こうのとりスタジアム
作・演出:福原充則
Platz市民演劇プロジェクト「空き家」
2024年9月15日(日)・16日(月・祝)
兵庫県 豊岡市民プラザ
作・演出:内藤裕敬
KIACレジデンス・セレクション2023→24:コーンカーン・ルーンサワーン「Mali Bucha: Dance Offering」
2024年9月13日(金)~15日(日)
兵庫県 城崎国際アートセンター
コンセプト・振付・出演:コーンカーン・ルーンサワーン
岩下徹×梅津和時 即興セッション「みみをすます(谷川俊太郎同名詩より)」
2024年9月16日(月・祝)
兵庫県 ワークス・さんとぴあ(旧三原小学校)
2024年9月21日(土)
兵庫県 あさご芸術の森美術館
2024年9月23日(月・振休)
兵庫県 ショッピングタウンペア
たじま児童劇団「転校生」
2024年9月6日(金)~8日(日)
兵庫県 江原河畔劇場
作・演出:平田オリザ
青年団「銀河鉄道の夜」舞台手話通訳付き公演
2024年9月14日(土)・15日(日)
兵庫県 江原河畔劇場
原作:宮沢賢治
作・演出:平田オリザ
舞台手話通訳協力:NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)
読売テレビプロデュース「ムーンライト・セレナーデを聴きながら」
2024年9月14日(土)・15日(日)
兵庫県 出石永楽館
作・演出:岡本浩一
共同演出:平田オリザ
堀川炎「野火」
2024年9月22日(日)・23日(月・振休)
兵庫県 出石永楽館
原作:大岡昇平
演出・テキストレジ:堀川炎
んまつーポス×Unlock Dancing Plaza「キリギリスとアリ」
2024年9月23日(月・振休)
兵庫県 やぶ市民交流広場
作・振付・出演:んまつーポス×Unlock Dancing Plaza
構想・演出:高橋るみ子
フェスティバルプロデュース
ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi「島ゞノ舞ゝゝ」
2024年9月21日(土)・22日(日)
兵庫県 豊岡市民プラザ
演出:内田結花、森田かずよ
烏丸ストロークロック×但東の人々「但東さいさい」
2024年9月15日(日)・16日(月・祝)
兵庫県 畑山 日出神社
構成・テキスト・演出:柳沼昭徳
to R mansion「へんてこうじょう」
2024年9月7日(土)
兵庫県 宝塚ソリオホール
2024年9月15日(日)
兵庫県 香住区中央公民館
演出:上ノ空はなび
小菅紘史×中川裕貴「山月記」
2024年9月7日(土)
兵庫県 武庫川河川敷(大劇場前)
2024年9月8日(日)
兵庫県 木の殿堂芝生広場
うさぎストライプ「ゴールデンバット」
2024年9月21日(土)
兵庫県 あさご芸術の森美術館
作・演出:大池容子
城崎発演劇列車vol.4 JR西日本観光列車「うみやまむすび」×芸術文化観光専門職大学「『うみやまむすび夢十夜 こんなゆめをみた!!の旅』リターンズ ~TAJIMA発☆奇々怪々方面、ヘンテコ!?夢うつつ行き。ぶらりとご乗車くださいませ~」
2024年9月12日(木)~20日(金)
JR山陰本線 城崎温泉駅、佐津駅、香住駅、餘部駅
総合演出:田上豊
作:田上豊、永井楓華
フリンジプログラム
フリンジセレクション
- Art Translators Collective「アート・トランスレーション・パーティー」
- Bambino! 0歳からのパフォーミングアート「WONDER」
- JACOPO TEALDI #QUELLODELLEMANI,「HUMANITY - 人類」
- 安住の地「かいころく-工女編-」
- エンニュイ「きく 豊岡演劇祭ver.」
- 架空カンパニーあしもと「くらし」
- 笠井瑞丈×上村なおか「浸色」
- 劇団不労社「悪態Q」
- サンロク「三本足で旅に往く」
- シェルボディ / 吉田萌「ヴァカンス」豊岡公演
- ジェームズ・ハーヴェイ・エストラーダ / 額田大志「ケアのためのセレモニー」
- 鈴木泰人「日常感アンプ」
- 世界劇団「the replication-toyooka edition-」
- そこに居るために「土地も家の中にいる」
- 原田大二郎×佐藤正治「朗読とパーカッションの新世界~城の崎の先~」
- 藤中康輝「低気圧の日」
- 松原俊太郎 / 小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク「ダンスダンスレボリューションズ」
- 山本裕「妖怪図鑑古刹探訪」
- カン・マミ「The Second Body」
- 竹内梓「新作FURERUの為のリサーチ」
- 舘そらみ「舘そらみが脚本家講座と親の人生を親子で辿るワークショップをやります。」
- 遊学生「まつり」
フリンジ ショーケース
- 宮悠介「架空生物の鳴き真似(Alien Blues)」
- バブシュカブシュカ「カムパニー」
- チーム稽古会「夢だわ」
- キルハトッテ「のび~る旅館」
- がらんどう「終の栖」
- 譜面絵画「ホームライナー新津々浦1号」
フリンジ ストリート
- AKARI
- ArtistaKAZU
- E.M.F
- LEO
- Unfum
- ZEN
- アートパフォーマー☆ファイター☆
- 安慶
- アメノシズ
- 石水タヰキ
- 奇妙なオレンジ
- すり~ぴ~す
- 太平洋
- ダンスカンパニーヒボッコ
- てまわしオルガンKINO
- ハタダ
- 北陸即興「NEO」
- 星丸
- マジシャン輝(Teru)
- 目黒宏次郎
- 吉沢かお
- ロクディムりょーちん
- 渡辺あきら
※すり~ぴ~すの2度目の~は、ループの絵文字が正式表記。
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