NODA・MAPの新作「正三角関係」本日開幕 (original) (raw)

NODA・MAP第27回公演『正三角関係』」が、本日7月11日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスで開幕。これに先駆け昨日10日に、同劇場でゲネプロが行われた。なお記事には舞台写真や演出への言及が含まれているため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。

野田秀樹が作・演出を手がけるNODA・MAPの最新作「正三角関係」では、ドストエフスキーの小説「カラマーゾフの兄弟」に想を得た、“日本のとある場所のとある時代の花火師の家族”である唐松族(からまつぞく)の兄弟の物語が紡がれる。唐松族の3兄弟は、長男・富太郎(松本潤)が花火師、次男・威蕃(永山瑛太)が物理学者、三男・在良(長澤まさみ)が聖職者。富太郎と父・唐松兵頭(竹中直人)は1人の“女”を巡って三角関係を織り成し……。

開演前、舞台中央には金属製の棒が“×”の形に立てられ、その周囲に服が散乱している。開演時間になると唐突にザ・カーナビーツ「好きさ好きさ好きさ」が流れ始め、それと共に舞台上にドッと登場したアンサンブルキャストたちが床の上の服を着る。やがて弁護人や検事も登場し、ステージはあっという間に法廷へと様相を変えた。

本作では、父・兵頭を手にかけた罪を問われる富太郎を中心に、法廷劇の形式でスピーディに物語が進む。法廷に新たな証人が現れるたびに、富太郎が父を殺めたかどうかの判断は難しくなっていき、観客はそのスリリングな展開に引き込まれていく。また裁判の最中に空襲警報が鳴り響いたり、人々が竹やりの訓練をしたりする描写も挟まれることで、舞台に不穏な空気が漂った。

作中では粘着テープが多用され、電話の受話器や下着といった小道具をくっつけておいたり、格闘技場のリングロープに見立てたりと、さまざまな場面に登場。池谷のぶえ扮するウワサスキー夫人が“テープレコーダーに録音された肉声”として現れ、金色に光り輝くテープを自分の身体にクルクルと巻きつけながら延々としゃべり続ける場面では、そのコミカルさで客席は笑いに包まれた。

松本は、花火に夢や希望を抱く富太郎が、運命に翻弄されて必死にもがく様を熱く真っすぐに演じ、観客を惹き付ける。長澤は、教会で働く在良をピュアな青年として表現しつつ、富太郎と深い仲になるグルーシェニカを蠱惑的な女性として立ち上げた。永山演じる威蕃はある秘密を抱え、富太郎を無罪にしようとする人物。永山は、物理学者の威蕃が数式をノートに書き殴る姿で、彼のひたむきさ、切実さを表す。

また竹中は、少し気弱な検事と富太郎たちの父・兵頭を、声色を変えて巧みに演じ分けたほか、兵頭がラップを披露するシーンでは、そのパフォーマンスで観客を沸かせた。さらに不知火弁護人を演じる野田の、畳みかけるような早口の“弁論”にも期待しよう。

公演は本日7月11日から8月25日まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、9月5日から11日まで福岡・J:COM北九州芸術劇場、19日から10月10日まで大阪・SkyシアターMBS、31日から11月2日までイギリス・Sadler's Wells Theatreで行われる。

松本潤・永山瑛太・長澤まさみ・竹中直人らが挑む法廷劇、NODA・MAP「正三角関係」開幕

※動画は現在非公開です。