三谷かぶき「歌舞伎絶対続魂」を三谷らが語る (original) (raw)
11月に東京・歌舞伎座にて上演される、三谷幸喜作・演出の新作歌舞伎、三谷かぶき「歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)~幕を閉めるな~」の囲み取材が昨日10月20日に東京都内にて行われた。
「歌舞伎絶対続魂」は、三谷が主宰する東京サンシャインボーイズで初演された「ショウ・マスト・ゴー・オン」を歌舞伎化するもの。劇中では、伊勢の芝居小屋・蓬莱座を舞台に、狂言作者の花桐冬五郎と、座元の藤川半蔵が、人形浄瑠璃で人気を博した「義経千本桜」を、山本小平次出演の歌舞伎として上演することに。しかし、上演をめぐって大騒動が巻き起こり……。会見には三谷のほか、出演者の松本幸四郎、片岡愛之助、中村獅童、坂東彌十郎、中村鴈治郎が登壇した。
三谷は「2019年に『月光露針路日本 風雲児たち』をやらせていただき6年。今回の僕のテーマは、歌舞伎座始まって以来の割れるような拍手と割れるような笑い声が起きるようなコメディがやりたい、ということです。というのも、僕が知っている歌舞伎俳優の皆さんは本当に皆さん、コメディアンとして優れた人ばかりなんです。その良さをフルに生かして最高のコメディを作りたいなと思っています」と意気込む。
幸四郎は「狂言作者の花桐冬五郎を勤めさせていただきます。三谷さんの新作を本当に楽しみにしていましたので、こうやって稽古に入ってだんだんと形になっていくことにワクワクしています。作品の内容的にも舞台を愛している人ばかりが登場する芝居ですので、そのことに私自身も幸せを感じながら演じたいと思います」と話した。
座元藤川半蔵役を演じる愛之助は「どのようなお役かということは観ていただいてのお楽しみということで……(笑)。最後まで全力で、みんなでがんばっていきたいと思います」と笑顔を見せた。
山本小平次役の獅童は「最近は若い方で、初めて歌舞伎をご覧になる方も多いようですが、歌舞伎にはいろいろなタイプのお芝居があり、難しい作品だけではなくこういった新作歌舞伎もあるということを知っていただけたらと思います」と述べる。
竹島いせ菊役の彌十郎は「今回は女方ということで、おとなしく過ごしていきたいと思っております(笑)。皆さん出ずっぱりなのですが私は出番が飛び飛びなので、稽古場でいつも大爆笑させていただいております。ぜひ楽しみになさってください」と期待を煽った。
頭取嵐三保右衛門役の鴈治郎は「三谷さんとお仕事をさせていただくこと、私も本当にうれしく思っております。今回はできるだけ“笑わない鴈治郎”というのを皆さんに観ていただきたいと思っております」と話すと、出演者たちがぼそっと「一番笑ってるのに……」と呟き、会場が笑いで包まれた。
記者から、稽古が始まっての手応えを問われた三谷は「もともと現代劇だったのを時代劇に置き換えて作り直したのですが、ほぼ原型を留めていない感じで、かなり執筆には苦労しました。けれども皆さん力のある方なのですぐに自分のものにして、稽古は順調に進んでいます」と自信を見せる。「ただ……」と獅童に向かって「割と脱線する方で、(幸四郎さんと)2人でどんどん脱線するの、やめてもらえますか? そういう面白さではないので!」と話すと、「いや、いろいろな自分を出したほうがいいかと思って試しているんですよ」と獅童が反論し、幸四郎が「……つまり迷ってるということですね」とツッコんで、さらに大きな笑いが起きた。
愛之助に対しては「僕の中で、愛之助さんには立派な人を演じてもらいたいという思いがあるんです」と三谷。「でも今回はちょっとふざけたというか、頼りない感じを演じてもらいたいなと思っています」と話すと、愛之助は「今までとは違う、新しいキャラクターですね」と笑顔でうなずいた。
さらに三谷は「台本を書く段階から、彌十郎さんにアドバイスをいただきました。歌舞伎についてや、江戸時代という時代背景に関しても、僕がわからないことをいろいろ教えてくださいました、劇中劇をもとの作品では『マクベス』でやっていたところ、今回は『義経千本桜』が良いのではないかと提案してくださったのも彌十郎さんです」と信頼を語った。鴈治郎に関しては「初めてご一緒するんですが……今までなぜこんな面白い生き物がいたのを知らなかったのか、もっと早く会いたかったと悔やまれてなりません」と話して再び大爆笑が起きた。
また三谷は、自身の自伝的要素を交えたテレビドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」が放送されていることについても言及。本作もいわばバックステージものである点について、舞台への思いを問われると、三谷は「僕は映像をやらせていただくこともありますが、基本は演劇の人間だと思っています。やっぱり舞台が好きだし、舞台の裏でがんばっている方たちにリスペクトを感じていますので、そういう人たちの物語を世間の方に伝えたいなと思います」と思いを語った。さらに「これは……歌舞伎なのかな?(笑) でも幸四郎さんが歌舞伎だとおっしゃってくれているので、たぶん歌舞伎だと思います!」と笑顔を見せつつ、「僕としては、歌舞伎座で歌舞伎俳優さんを使って、どれだけ面白い物ができるかということにチャレンジする思いでやらせていただきました。ぜひ楽しみにしていただけたら」と話し、会見を締めくくった。
「歌舞伎絶対続魂」の公演は、松竹創業百三十周年「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部の演目として、11月2日から26日まで行われる。
松竹創業百三十周年「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部
開催日程・会場
2025年11月2日(日)〜26日(水) ※公演終了
東京都 歌舞伎座
スタッフ
二、三谷かぶき「歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)〜幕を閉めるな〜」
作・演出:三谷幸喜
出演
一、當年祝春駒
工藤左衛門祐経:中村歌六
曽我五郎時致:中村萬太郎
曽我十郎祐成:中村橋之助
化粧坂少将:中村玉太郎
小林朝比奈:中村虎之介
大磯の虎:中村米吉
二、三谷かぶき「歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)〜幕を閉めるな〜」
狂言作者花桐冬五郎:松本幸四郎
座元藤川半蔵:片岡愛之助
山本小平太:中村獅童
油屋遊女お久:坂東新悟
浅尾天太郎:中村福之助
篠塚五十鈴:中村莟玉
市山赤福:中村歌之助
坂田虎尾 / 狂言作者見習花桐番吉:市川染五郎
竹田出雲弟子半二:中村鶴松
附打芝助:片岡千太郎
囃子方五郷新二郎:大谷廣太郎
附師鍛冶屋為右衛門:澤村宗之助
大道具方儀右衛門:阿南健治
骨つぎ玄福:浅野和之
竹田出雲:市川男女蔵
榊山あやめ:市川高麗蔵
竹島いせ菊:坂東彌十郎
頭取嵐三保右衛門:中村鴈治郎
叶琴左衛門:松本白鸚
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