公道カートでドライブ!? インバウンド政策の影に潜む危険と課題 (original) (raw)

近年、日本の観光業界ではインバウンド政策が活発化し、外国人観光客の受け入れを増やす動きが進んでいます。そんな中、観光客に人気のある「カート」のレンタルサービスが話題となっています。しかし、このサービスが引き起こした問題も浮き彫りになっています。東京都内のレンタル業者が、無免許の外国人観光客にカートを貸し出し、道路交通法違反で書類送検されたというニュースは、インバウンド政策と安全対策のバランスに疑問を投げかけています。

カートは、遊園地のゴーカートに似た外観を持ち、外国人観光客にとっては一風変わった日本の観光体験として注目を集めています。しかし、公道を走るには「普通自動車」として免許が必要であり、日本で有効な国際運転免許証を持たない者には運転が許されていません。それにもかかわらず、今回の事件では、無免許の観光客にカートを貸し出し、結果として物損事故が発生しました。捜査によると、この観光客の出身国はジュネーブ条約に加盟しておらず、その国の国際運転免許証では日本での運転が認められていなかったことが問題でした。

レンタル業者側は、国際免許に関するルールの周知が徹底されていなかったと弁明していますが、安全対策が不十分だったことは否定できません。こうした事件は、観光客の増加を目的としたインバウンド政策が本当に正しい方向に進んでいるのかという疑問を生じさせます。観光業の活性化は経済的には重要ですが、同時に公道での安全性を軽視してはなりません。

また、公道が観光の一環として利用される時代が訪れた今、インフラやルールの整備が追いついていない現実も露呈しています。日本の道路は元々、歩行者や自動車を想定して作られていますが、そこにカートのような車両が走ることを許すと、さらなる事故やトラブルを招く危険性があります。観光の自由度を高めることは大切ですが、公共の安全と秩序を守るためには、観光ビジネスと交通規制のバランスが必要です。

この事件を機に、観光業界は安全管理の見直しを図るべきです。カートのようなユニークな体験が提供される一方で、観光客が日本の法律を正しく理解し、安全に楽しめる環境を整えることが急務です。