【博物館明治村】旧帝国ホテル ライト館を訪ねて (original) (raw)
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基本情報
【竣工】1923(大正12年)
【着工】1919(大正8年)
【閉鎖】1967(昭和42年)
【設計】フランク・ロイド・ライト、遠藤新
【所在】東京・日比谷(正面玄関は愛知県・博物館明治村へ移築)
【構造】鉄筋コンクリートおよび煉瓦コンクリート造の地上3階・地下1階(煉瓦と大谷石による型枠に鉄筋コンクリートを打ちこむ手法)
外装
学が無くても感覚で理解できる建築美。当時「東洋の宝石」と称され世界中の人々に愛されたのも頷けます。
素材選びからこだわりを持って挑んだライト氏が絶賛したのは栃木県・宇都宮市の大谷石と愛知県・常滑市のテラコッタ。
煉瓦の表面を引っ搔いた模様の「すだれ煉瓦」はライト氏が日本に持ち込んだもの。当時典型的に用いられていた煉瓦は赤色*1ですが、このすだれ煉瓦は黄味が強い新しい色です。常滑に設立された帝国ホテル煉瓦製作所の技術者は満足のいく黄色*2のすだれ煉瓦の完成まで半年間を費やしたそう。
正面玄関の左右対称のデザインは京都・平等院鳳凰堂からインスピレーションを得たのだそう。日本で得た建築体験により生まれた、ライト氏独自のプレーリースタイルが日本の地でも生かされています。
10円玉でおなじみの平等院鳳凰堂
内装
正面階段を少しのぼると、3層吹き抜けの開放的な玄関ホールがお出迎え。海外建築家設計の建造物で“陰影礼賛”を初めて感じた貴重な経験となりました。
内装にもやはり大谷石とテラコッタ。中でも目を引くのは「光の籠柱」と呼ばれる、灯篭をイメージした柱。照明の機能を持った柱なんて他にあるのかしら。
「光の籠柱」
内側からやわらかく漏れる光が奥ゆかしさ満点。
この大谷石、職人の手で一つ一つ彫刻されているとのこと。加工しやすいとはいえ当時の職人仕事に脱帽。どうりで表情豊かで味わいがある訳です。
お掃除も大変そう
どの面の壁もぬかりなし
大谷石とテラコッタにばかり目が行ってしまいがちですが、ライト氏デザインの調度品たちも見逃せません。
影も主役級
孔雀の間(宴会場)で主に使用された、ピーコックチェア
幾何学模様で統一感があります
天井には銅板製の庇が用いられ、細かな装飾により表情をつけた自然光が差し込みます。
木漏れ日の様
再訪する度に違う表情を見せてくれそうな建物。必ずまた会いに行きます。
帝国ホテルをきっかけに流行したスクラッチタイル
竣工の年度からわかるように、ライト館は完成直後に関東大震災に襲われている。多少の損傷はあったもののほとんど無傷で残ったこの建物は震災復興のシンボルとなり、鉄筋コンクリート造の外壁にタイルやテラコッタを用いた建造物が流行。スクラッチを入れるだけでこんなに味わい深くなるんだからみんな好きになるよね。私も帝国ホテルをきっかけに街歩きでタイルを気にするようになりました。
参考文献
LIXIL ビジネス情報 | 帝国ホテルの「インペリアル タイムズ」を支える「LIXILものづくり工房」の仕事 | ものづくり | 建築・設計関連コラム
STORY1 | 文明開化を支えたやきものとものづくりの精神
訪問日:2020/11/18
2023年はライト館開業100周年の記念すべき年です!
なにかいろいろ特別企画が計画されているみたい。
https://www.imperialhotel.co.jp/j/company/release/pdf/frank_lloyd_wright_100th_anniversary.pdf