ニュースサイトへの家宅捜索に新聞労連、日本ペンクラブが抗議、非難の声明~メディアの積極的な取材が必要 (original) (raw)

鹿児島県警がネット上のニュースサイト「HUNTER(ハンター)」を家宅捜索していたことに対し6月19日、新聞労連が抗議声明を発表しました。日本ペンクラブも非難の声明を出しました。
新聞労連の声明は「情報提供者のメディアへの信頼を守り、正確な情報に基づく市民の『知る権利』と報道の自由を確保するために必要な記者の職業倫理として『情報源の秘匿』が重要視されてきた民主主義社会では許されない権力の暴走」と指摘しています。「捜査権の濫用にお墨付きを与えた」として、捜索を許可した裁判官も抗議の対象に挙げています。
同県警の元生活安全部長が、内部情報を札幌市のライターに郵送した行為についても、「隠された組織内部の腐敗を告発しようとする公益通報の意図は明確」としています。
※「鹿児島県警による『情報源暴き』に抗議する」
https://shimbunroren.or.jp/20240619-2/

日本ペンクラブは声明で、公権力も強制力をもってジャーナリストの取材源を開示させるようなことは控えてきた経緯があること、報道機関を強制捜査の対象にしたことは、内部通報者保護制度の趣旨からすると民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態であることを強調し、「各メディアの積極的な取材報道を期待する」としています。

※「取材源秘匿・内部通報者保護制度を脅かす鹿児島県警の強制捜査を強く非難する」
https://japanpen.or.jp/

日本ペンクラブが指摘している「各メディアの積極的な取材」はとりわけ重要です。一つ前の記事の最後に書いたことをあらためて書いておきます。
警察は、伝統的なマスメディアである新聞社や放送局に対しては、こんなに簡単に家宅捜索に動くことはないはずです。新興で小規模であっても、ネット上のニュースサイトも、表現の自由とそこから派生する報道の自由、取材の自由が保護されてしかるべきです。この家宅捜索を見過ごすようなことになれば、いずれ新聞や放送の報道の自由、取材の自由も守ることが困難になり、「自由」や「権利」として主張することもままならなくなることを危惧します。そういう意味で、新聞や放送にも当事者性があります。積極的な取材が必要な理由の一つはここにあります。

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