日本映画1920-1960年代の備忘録 (original) (raw)
監督 斉藤耕一 脚本 中島丈晴 蘇武道雄
出演 勝新太郎 高倉健 梶芽衣子 安東昇 藤間紫 三上真一郎 中谷一郎
Amazonより
BS松竹東急で録画。健さん出演だったので期待大でしたが、なんだかわからない作品でした(;^_^A。それともどこかカットしていたのか??
幼い頃から一緒だった玄造(勝新太郎)と錠吉(高倉健)・・と映画冒頭でナレーションが入った記憶があるんですが、刑務所で初めて見た時からお前が気に入っていたという勝新太郎が高倉健に言うシーンがあって???。
ま、ふたり同時に刑務所を出所後。錠吉は亡くなった(殺された)親分の姐さんが苦界に身と落として働いているという女郎屋を訪ねる。しかし彼女は肺病で死んでおり、ここでも謎なんですが、女郎屋の女将(荒木道子)と死んだ姐さんを慕っていた女郎のサキエ(梶芽衣子)と火葬場へ行く・・・。
錠吉は姐さんに渡そうと思っていた金をサキエに与えるとサキエがここから逃げたいと言い出す。同じ女郎屋に子分と来ていた玄造はその話を聞き、一役買ってサキエを足抜けさせる。汽車に乗ってある駅へ降りるとお祭りをしていた。そこで錠吉は姿を消してしまい、サキエは後から来た玄造と二人きりとなった。
殺されたのは錠吉の親分かと思っていたら、あらすじには錠吉の兄貴分となっていてよくわからん。
磯吉(今井健二)という錠吉に恨みをもつ男が登場するが結局その後姿を現さず、これもよくわからない。
錠吉は親分(兄貴?)の仇である仙蔵(安藤昇)をつけ狙っているが、彼に罪を犯させたくないと、玄造は仙蔵のいる賭場へ言ってこの地を離れろという。しかし二人は対決し、なんだかあっけなく仙蔵は錠吉に殺される。
玄造はサキエとある海岸に行き、海中に沈んでいるという艦隊から軍用金を盗む計画を実行しようとする。そこへ錠吉が現れ、元潜水夫だった錠吉を仲間にする。
錠吉は大場組長(大滝秀治)を殺してから海へ来たのだが、このシーンもあらすじを読んで想像。大滝秀治が映る、高倉健が映る、悪者が乗った車が映る・・といった具合でどっちが殺したのかわからん(笑。
男数人が乗った車が海岸にも現れ、何事かと近づいた玄造が撃たれ死亡。そして錠吉も撃たれ死亡。その光景をみて呆然と立ちすくむサキエ・・・終わり・・・
wikiによると興行は失敗だったらしいが、勝新太郎、高倉健出演でこんなわからん筋書きの映画はもったいなかった。
いつの時代なのか車を見ると戦中(昭和10年代)と思うけれどそこもハッキリ知りたかった。なにせ軍服見てもわからない世代ですから。
あらすじが違っていたらごめんなさいよ(博徒風)。
Amazonより
出演 緒形拳 岩下志麻 小川真由美 蟹江敬三 穂積隆信 大滝秀治
梅野泰靖 (子役)岩瀬浩規 吉沢美幸 石井旬
「疑惑」=若い女 「影の車」=子供 「天城越え」=少年、そしてこの作品は人妻が怖い。検事の河井信太郎から聞いた実話をベースに松本清張が小説を書いたという。そのためだろうかとってもリアルに感じる。1970年代の川越の町並も映像に残っている。後にビートたけしでドラマ化されたものより緒形拳のこの作品のほうが好きだ。
BS松竹東急より
川越で印刷屋を営む宗吉(緒形拳)の元に料理屋の女中だった菊代(小川真由美)が子供3人を連れて乗り込んできた。7年間、宗吉の妾だった菊代だが、このところ生活費がもらえず、矢も楯もたまらず押しかけたのだ。子のない宗吉の妻、お梅(岩下志麻)は激怒、菊代とも言い合いとなりその晩、菊代たちは印刷屋の土間で一晩明かすこととなったが、菊代は3人の子を置いていなくなってしまった。
気の強いお梅は子供たちは「アンタに似てない」と言い、どうにかしろと宗吉に迫る。
慌てて菊代の住まいに子供たちを連れて行くと、引っ越しのトラックが来てどこかに行ったと近所の主婦は言う。近くの引っ越しやに訊いてもうちは頼まれてないと言われ菊代はどこに行ったのかわからない。
結局宗吉は子供を連れて印刷屋へ帰る。
お梅は子供たちにつらく当たり、どうにかしろと毎日が地獄のようだ。
宗吉はなんとかしてわかった菊代の引っ越し先のアパートに行く。港区のモノレール線路の脇に建つアパートだが部屋には誰もいない。住人に話をきくと引っ越したという。宗吉が訪ねて来た者はいるか?と問うと男が来ていたと言われる・・・。
お梅になんと言われようと、自分の子供だと思っていた宗吉はそこで疑念が生じる。その夜、お梅にまた責められた宗吉は「あんなオンナ!」と吐き捨てるように菊代を呼ぶのだった。
そして一番小さい赤ちゃんが亡くなる。栄養も足らず、育児放棄だが、発見した時は赤ちゃんの顔に棚から落ちたシートがかかっていた・・。
そして3歳の女の子もいなくなる。一緒に入ったデパートの食堂で宗吉が「父さんの名前は?」ときいて「とぉさん」としか答えられない娘を確認し、東京タワーに置いてきてしまう。
最後に残った6歳の利一。妹のように捨てるわけにはいかない。彼は印刷屋や父の名前も言える年齢だ。一度、一人で菊代と住んだ家へ行き、歩いているところを警察官に呼び止められパトカーに乗せられて印刷屋に戻ったことがある利一だ。
お梅は飛び込んだら死体が上がらない伊豆の断崖へつれていけ・・という。初めて新幹線に乗りはしゃぐ利一。結局熱海では降りず、米原まで行ってしまう。さまよい歩いた旅先で目にした能登のポスター。
能登の宿屋でほろ酔い加減の宗吉が利一に自分の子供の頃の苦労話をする。「辛かった」と話す宗吉だが、6歳の子供は聞いているのか、いないのかわからない。興味もなさそうだし。これは自然で良い演出でした。
ゾワゾワしたコワさがあります。岩下志麻が気の強いドスのきいた声を出す演技の役を受けるきっかけとなったのはこの映画からですかね。
季節は夏で、そうそう各家庭にエアコンもない時代の暑さ加減もよくでていた。ほんと、暑そうです。
松竹クラシックより
出演 フランキー堺 中原早苗 菅井一郎 木戸新太郎 天草四郎 柳谷寛
北原三枝 芦川いづみ 長門裕之 岡田真澄 葉山良二 水の江滝子
やっとブログタイトルらしい映画の記事が書けるようになりました@日活
ドラマーを夢見ながら蛇男に扮して遊園地にある見世物小屋で客を脅かすフラ公(フランキー堺)はある日、盲目の娘、待子(中原早苗)と出会う。彼女は両親亡き後、目が見えなくなり、東京の医者に診てもらえば治るときいて3万円を貯め上京したが、騙されて有り金を全て奪われた。そこで死に場所を求めて見世物小屋周辺をうろついていたのだ。
待子に何をしているの?と訊かれ、つい一流の音楽家だと言ってしまったフラ公。
夜に開かれるラジオ放送のジャズ演奏会でドラムを叩くのだと豪語するフラ公を目が見えない待子は演奏を聴きながらどんな人だろうと想像する。
ここで特別出演の待子が想像する3名の男性
葉山良二
しかし手術が受けられない待子。フラ公はまた死のうとする彼女に3万円は自分がなんとかすると約束。しかし手立てがない。そこに「殺人コングに勝ったら賞金3万円」というプロレスの看板が目に入り挑戦する。
遊園地の屋台レストラン、スマイルの親父(菅井一郎)や友人のサブ(木戸新太郎)はなんとかフラ公を勝たせようと彼には興奮剤、相手のコング(市村俊幸)には睡眠薬をのませようとしたが、なんと二人に逆の薬をのませてしまいフラ公はリングで寝てしまう。だが!なんだかわからないまま(笑、フラ公が勝利し、待子は目の手術を受ける。
手術は成功し、目が見えるようになった待子が最初に見たのは手術を担当してくれた眼科医(北原三枝)と看護婦(芦川いづみ)だ。
可愛いいづみちゃん!と北原三枝。
ところでこの3女優、北原三枝1933年生、中原早苗といづみちゃんは1935年生まれの21歳。北原三枝23歳だけどあの大人っぽさはなんだ!
そしてやはりいづみちゃんがダントツにカワイイ♡
目がみえるようになってすっかり元気になった待子は見世物小屋戻り、自分を助けてくれた演奏家は誰なのかサブや親父さんに訊くが教えてくれない。なんだか声がそばにいるフラ公みたいだったと気づき、こっそり見世物小屋を後にした彼を追い駆けようとすると親父さんが優しく引き留めるのだった。
菅井一郎・中原早苗・木戸新太郎
フランキー堺はフットワーク軽く、スクリーンを跳ねまわります♪♪
出演 田中裕子 渡瀬恒彦 平幹二郎 伊藤洋一 吉行和子 小倉一郎
伊藤洋一・田中裕子
「疑惑」では若い女、「影の車」では子供、この「天城越え」は少年が怖い。
NHKドラマの天城越えとはお話が違っていて、どちらが原作に忠実なのか小説を読んでいないのでわからない。NHKのほうは迷宮入りして数十年後に刑事が中年になった小野寺を訪ねてくる。ただ、この松竹作品は家族で観ているとソワソワする場面があるので、一人で見ることをお勧めしたい(笑。
静岡で印刷所を経営する小野寺(平幹二郎)の元に、県警の嘱託で元刑事の田島(渡瀬恒彦)が「天城山殺人事件」という調書の印刷を依頼しにきた。
小野寺はその原稿に目を通して、衝撃を受ける。それは小野寺が14歳の時に起こった事件だったからだ。
少年時代(伊藤洋一)
下田で鋳物屋をやっていた父亡き後、母(吉行和子)と通いの若い職人(小倉一郎)との情事を目撃してしまった小野寺少年(伊藤洋一)は静岡の兄のところへ行こうと家出する。天城山中で峠を越える途中、やはり引き返そうと休んでいると修善寺方面から素足で女がやってきた。美しい女に見惚れた小野寺少年はハナと名乗ったその女(田中裕子)とまた歩き出す。段々日が暮れる。しばらくして前を行く土工を目にしたハナは少年に先に行っててくれと言い残し、男と藪へ消えた。気になってあとをつけた少年が目にしたのは母と同じように土工と身体を交わすハナの姿であった。
それから・・・土工の死体がみつかる。若き県警刑事の田島(渡瀬恒彦)は調査の結果、殺人後、一晩を過ごしたと思われる氷室倉庫に九文半の裸足の足跡をみつけ、犯人はオンナだとめぼしをつける。街道沿いのものにきくと裸足の女が下田の方へ歩いていたとの証言もあった。そこで修善寺の曖昧宿から抜け出した大塚ハナという女がいることを突き止め、一緒に歩いていた小野寺少年も女の名前はハナだというので捕らえられ自白を強要される。
田中裕子・渡瀬恒彦
40年という月日が流れ(あらすじでは30年となっているが)、小野寺の前に現れた元刑事も老人となっており杖をついている。
彼は小野寺に「自分は間違いを犯したのではないか・・。九文半という足はオンナだと決めつけていたが、少年ならそのサイズでもある。」という。彼女はどうなったかと訊く小野寺に田島は刑務所内ですでに亡くなったという。
その後、小野寺は腹痛?に身もだえ、緊急手術。担当外科医は特別出演の加藤剛なんだけど、このシーン必要?(笑。
年老いた渡瀬恒彦のメークも中途半端でなんか若いままだった。
この作品が話題となったのは売れていた田中裕子の美しさと妖しい色気マックス時代だったからかもしれない。
息子にとって母も女である、娘からすると父も男であるという場面は見たくないのはよくわかる。そう思いながら性への興味もわきあがる微妙な年齢の14歳。
1978年のNHKドラマ(主役は大谷直子)↓ お遍路役で松本清張が扮してます。
監督 深町幸男 作 山田太一
出演 千葉真一 桃井かおり 佐野量子 坂上忍 三崎千恵子 中島唱子
いよいよ「夢に見た日々」の最終回。最近、記事にしたい映画が目白押しで書きたいものが溜まってしまっていてちょっと焦ってます。時間をおくと忘れちゃうんで(;^_^A
第9話はこちら↓
nihoneiga1920-1960.hatenablog.com
テレビ局の取材を受けた後から夜の客足も日に日に増えていったレストラン・テラス。
毎日忙しく皆働く。この調子なら従業員を増やし、支店を出すことだってできる・・洋子は夢を膨らませた。だが、それが自分の夢だったのだろうか?違う、そういうことではなかったとも思う洋子だ。
そんなある日、慎作(千葉真一)が倒れ、過労と不整脈で入院した。夜、店をぬけて慎作を見舞った洋子(佐野量子)は彼が留守の間のことを考え、店も多忙となっているので帰ってから人を雇うことを提案するがとおばちゃん(三崎千恵子)やシェフ(なぎら健壱)らの反対にあう。それなら明後日の火曜日、店を休まないか?と案を出す。みな疲れ切っているからだ。しかし、みんな休むことはない、休んだら入院しているマスターも這ってでもでてくるとそれも却下。それにせっかくお客さんが来るようになったので休みたくないと言うのだ。今なら超ブラックレストラン(笑。24時間働けますか?の時代でしたが、従業員から休まない!というレストランテラス。
困った洋子は多恵子を訪ねる。多恵子は慎作の入院を聞き、手が足りないでしょう、私が行って店を手伝うという。それは嬉しいが洋子は店を休もうとしていたのがそうもいかなくなった。
多恵子は一週間の休みをとり、テラスを手伝う。みんなの秘密を暴露してから店に行かなくなった多恵子だが、謝罪し、おばちゃんからはあなたのおかげであの後みんなの結束が強くなったと言われ、多恵子を許してくれているようだ。
その晩、慎作がこっそり病院を抜け出して店へ来る。彼は洋子が言うように店を休んでみんな休息した方が良いという。
そこで洋子の言ったとおり、明後日の火曜に店を休業することに。
慎作は病院へ帰った。
火曜日。洋子は朝10時まで寝て、溜まっていた洗濯をした。午後2時から正美(中島唱子)と原宿で待ち合わせの約束をしている。すると、アパートに早川(坂上忍)が訪ねて来た。彼は、多恵子から洋子に恋愛感情はないのか?と訊かれた後、自分の気持ちに気づいた。洋子に告白しにきたのだ。洋子は少し考え、「早川はまだ大学生だし、来年就職したら別な世界がある。気持ちも変わるかもしれない、私は男性から傷つけられたばかりだし、このまましばらくモヤモヤした関係でいよう」と言うのだ。
そして早川と原宿で会ったという設定にして正美と3人で原宿をぶらつくのだった。
同じ日。退院してきた慎作のところへ多恵子がやってくる。彼らは自分の店に対する夢を話し合う。多恵子は銀行員なのでつい利益追求してしまうが、この店は違う形にしたいという。慎作も同感だ。そして彼から多恵子が必要だと言われる。たじろぎながら多恵子は「土・日だけの関係でよい、それにここに来れば仲間がいる」と言うのだった。
当時は世の中の景気がよかった。80年代後半~90年代初期のドラマって「お金がなくて生活が苦しい」と言ったセリフはあまりない気がする。男女七人夏物語世代ですが、主人公の明石家さんまの住む清洲橋脇のマンション(今も現存)の部屋(セットだけど)もなかなか豪勢な内部だったし、このドラマでも桃井かおりはよくタクシーに乗ってる。すでに彼女は分譲マンションのローンは払い終わってるってところはさすがに銀行員で投資のやり手だと感じる。先見の明がある。高くても70年代なら都心に近い京王線沿線、駅近で2000万円くらいだろうか。89年頃にはすでにマンションも高騰、90年代初頭、下手すると50平米くらいの都内の物件で普通に一億超え、新宿西口の15平米という投資用ワンルームで1億!というのはよく覚えている。銀行はドンドンお金を貸し、その後の暴落で購入者の中には自〇者まで出した。千葉や埼玉、神奈川の駅からバスのファミリー向けマンションですら5000万円以上という金額でした。ただ駅からバスのマンション、今はなかなか売れないようですね。ゴルフ会員権購入ですら銀行はお金を貸しました。世の中狂ってました。
その後、失われた30年と言われ、まだ失われたままです・・せっかく余韻のある山田太一のこのドラマ・・・今を語ると暗くなるのでやめときます(;'∀')。
出演 二谷英明 中村万寿子 平尾昌晃 水木京一 西村晃 東谷暎子 角田真喜子
山本かほる
日活より
しばらくアマプラご無沙汰ですが、新たに数本見たい日活作品がアップされていました。まずは1959年のこの作品。東京タワーでウエィトレスをしている娘と運転手のラブストーリー♡♡
東京タワー内の森永スカイキャビンのウェイトレス、和子(中村万寿子)はある日、運転手をしている田中二郎(二谷英明)に嘘の恋人になってくれませんか?と声をかけられる。彼は有閑マダム(堺美紀子)にタワー内のショールームで言い寄られ、自分には恋人がいるととっさの嘘を言い、通りがかった和子に声をかけたのだ。
和子は東京タワーが見えるアパートに母(山本かほる)と小さい弟と暮らしている。同じアパートにはいつもお金に困っている売れない歌手の平田正一(平尾昌晃)と弟分のサブ(水木京一)がいる。平田はタワーの写真館の従業員、道子(東谷暎子)という恋人がいるが、彼女はお金のない正一に不満を感じている。
和子を気に入って来る客の松村(西村晃)はアメ車に乗って和子を口説きに通うが和子は相手にしない。ところが道子がそれを聞きつけ、アメ車に乗って来る松村はお金持ちに違いないと彼に和子とデートをさせる約束でドレスを買ってもらう約束を取り付ける。道子は嫌がる和子と松村3人でナイトクラブへ行くが、そこに田中二郎が現れた。
和子と踊ろうとしつこく言い寄る松村を尻目に二郎は和子と踊る。和子も二郎に好意があるようだ。
和子にぞっこんの松村。実は自動車のセールスマンで乗っている車も売り物なのだ。
無理して取引先の社長から金を借りた松村はドレスを持ってその後、和子の家を訪れたが、和子は二郎とデートしており不在。ドレスを無理やり和子の母に渡すが突き返され、アパートの外にでると二郎が営業車で和子を送ってきたところと遭遇する。
別れ際、二郎はイミテーションだといって和子に指輪をプレゼントする。和子は母に会せたいと後日アパートへ二郎を招待する。和子にふられ、面白くない松村は道子のアパートに行き、たまたま読んだ新聞記事の宝石店で300万円分の宝石泥棒は二郎ではないかと言い出す。
人相風体、まるで二郎のようだし、運転手風情にあの指輪を買えるわけがないと言うのだ。
そこで道子は和子に泥棒の件を話す。不安に駆られた和子は宝石店で、もらった指輪を鑑定してもらうと本物で30万円はするだろうと言われる。
その晩、和子のアパートで待っていた二郎をベランダへ呼び、「この指輪を持って自首してください!」そして思わず、「泥棒でもなんでもいい、私はあなたが好き!」と言ってしまう。二郎はそんな和子を抱き寄せ接吻するのだった。そして、「宝石泥棒が入った時刻には僕たち二人ともタワーの展望台にいたじゃないか」と言い、二郎の疑いははれた。
二谷英明・中村万寿子
二郎に家族に会わせたいと言われた和子は住所を頼りに彼の住む家へ。家並がだんだん変わり、そして高級住宅街へ入った和子。ひときわ大きく立派な家が二郎のいる家だったが、出て来た二郎に「ここ、あなたの親戚かなにか?」ときくと自分の家だという。
「運転手じゃなかったの?」と言うと二郎はいずれ親父の会社を継ぐので今はいろんなことをやっていると言う。それを聞いて和子はそのまま踵をかえして玄関から出て行ってしまう。二郎が追ってきてふたりで歩く。
二郎も自分と同じ貧乏な運転手だとばかり思っていた和子はお金持ちと釣り合わない、なんで隠していたの?と二郎に抗議。二郎は周りの金目当ての女性と違う和子が好きだったのだが、和子は私たち貧しい者がどんなにお金持ちに引け目を感じるかあなたはわかっていない!と言って、行ってしまう。
遠くに東京タワーが見える。崖下に家がゴミゴミしている。六本木ヒルズがあるあたりか??
そのまま別れた二人の話を聞いて、道子と正一はもう一度彼らを引き会わそうと奔走する!
果たして結末はいかに・・・
平尾昌晃の弟分を演じ、こんなに登場しセリフがある水木京一は初めて見た(笑。
平尾昌晃・水木京一
ところで・・・映画冒頭、金を稼ごうと東京タワーに来て並んでいるお客さんに絵葉書を売ろうとする平尾昌晃と水木京一。
タワーに入場しようと列をなす人々の中に明らかにタワーを見上げる演技をしながら通りがかる女性。彼女は峯品子か?否か??
峯品子?否か?
峯品子?否か??
昭和34年。タワーのまわりの風景は今は激変しています。まだ空が広くて高い東京が映ってます。
出演 渥美清 小川真由美 加藤嘉 市原悦子 長山藍子 江原真二郎
北村和夫 大滝秀治 織本順吉 香山美子 北林谷栄 財津一郎 志垣太郎
松村達雄 田中邦衛 春川ますみ 吉田日出子 長門裕之 新克利
その2はこちらから↓
nihoneiga1920-1960.hatenablog.com
この作品、今なら2時間半超えで作られていてもおかしくないくらいのお話が描かれている。実際2時間はいってるよねと思って見終えるとなんとたったの1時間43分の作品なのだ。ただ長いだけで監督の思いばかりの最近の邦画が多いと感じるので、これだけの話をこの短さでちゃんと撮れる今井正ってやっぱりスゴイと思う。
輪島に引っ越したとわかった戦友、木内の細君に手紙を渡すため、西山はその住所を訪れる。
その家は漆塗りを生業としているらしく、店先を覗くと男が作業していた。そこへ彼にかいがいしく世話を焼く女が現れた。西山はその男をどこかで見たような気がしたが思い出せない。そして亡くなる前の島方静代から「この遺書は重荷だった」と言われたことを思い出し、戦友の細君だった女は再婚し、今は幸せにやっているのだからと思いなおし、そのまま駅へ引き返した。
改札で切符を買おうとした時、西山はあの男が誰だったのか頭に浮かび、また引き返す。輪島の市場でその家にいた千恵子(長山藍子)をみつけ、彼は戦友、木内の遺書を渡す。
彼女はその遺書を読み、西山に「木内は本当に昭和19年まで生きていたのですか?」と確認するのだ。再婚したのは八木(江原真二郎)という男で西山は彼と満州の部隊で一緒だったのだ。翌日、千恵子から八木を呼び出してもらい、そこで八木が千恵子に彼女の夫が昭和17年に戦死したと騙し、彼女を手に入れたことが明かされる!
西山たちは昭和17年夏に動員令が下されて、皆、遺書を書かされたと言う。しかし動員令はすぐ取り消された。さらに郵便兵と仲が良かった八木は手をまわし、木内から妻に宛てた手紙も、妻から木内へ宛てた手紙も途中で全て抜き取っていたのだ。その後、任期満了で内地に帰った八木は昭和17年に書かされた遺書を千恵子に渡し、夫からの便りも届かない彼女に昭和17年に木内は戦死したと信じ込ませ、晴れて千恵子を自分のものにしたのだ。
西山は思わず八木に殴り掛かる。八木は「俺たちは幸せなのだ。遺書など持ってきたお前が加害者だ!」と暴言を吐く。一切を聞いてしまった千恵子を追って八木が「千恵子・・」と近寄ろうとすると、彼女は「触らないで!」と言うのだった。
西山は自分にしていることに虚しさを感じるようになり、考え込んでしまう。
東京へ帰った西山は辰一の店を訪ねる。そこで「この店じゃぁ、人手はいらないだろうねぇ・・」と切り出す。もう人探しはやめよう・・と思ったのかもしれない。
辰一は笑顔で「落ち着く気持ちになったんですね」と喜び、この店にお金をだしてくれた土建屋の社長が道楽半分で伊豆に活き魚料理店を開くので任せられる板前を探しているといい、早速その国本(金井大)という社長とその晩に座敷で会う約束を取り付けてくれた。西山が着ていく服がないというと辰一は自分の洋服を着ていけという。
国本社長との話はすぐ決まった。座敷に呼んだ花香(香山美子)という芸者が国本のお気に入りで、上機嫌の国本は花香に初恋の人の話の続きをしろという。
花香は”満州へ赴いたその人から「九段のサクラの下で会いましょう」という手紙が来た、まだ16歳の子供だった自分はその意味がわからず、デートの場所かと思って「私も桜の下で待ってます」と返事を書いた”と言い、大笑いする。
その話を聞いた西山は遺書を託された戦友が上海へ移動中、同じ話をしていたのを思い出す。
もしかしたら・・・と彼は別の芸者に花香は黒沢桃子が本名かどうかこっそり聞いて欲しいと廊下で頼む。そしてもし黒沢桃子だったら、座敷からでて来てくれと言付けする。果たして、花香は「なんで私の本名知ってるの?」と座敷から出てきた。西山は空いていた座敷に花香を座らせ、戦友からの遺書を手渡す。
大して興味もなさそうに手紙を読んだ花香。もうあっちへ行きましょうと花香が襖戸を開けると怒って帰る国本が。慌てて「待ってよぅ」と追いかける花香だが取り次いだ芸者から「花香と西山がいちゃいちゃしている」と座敷で聞いた国本社長は席を立ったのだ。社長が憮然として去ったあと、辰一は「国本さんは気前のいい人だからゆくゆくは伊豆の店もあなたのものになったかもしれないのに・・」と苛立ちながら言い、「西山さん、その洋服、餞別に差し上げますよ」と去ってしまう。
料亭の前に立ちすくむ西山。そこへヤカタへ帰る花香が現れて「さっきはありがとう。でもあんな手紙、もらってももらわなくても、どうでも良かったのよ」と言われてしまう。
金井大・香山美子
このお話、よーく考えるとなぜ西山が仕事の話の席に遺書をもっていたのかちょっと疑問でしたが、それも見ている時は気づかないほどだったです。
西山は百瀬大吉(北村和夫)という年長の戦友の細君がいる雑貨屋の間借りを訪ねる。
店の老婆(田中筆子)に「こちらに百瀬清子さんいますか?」というと、「奥さんだね?」と言うので呼んでもらう。2階から降りて来た女に「百瀬大吉さんの奥さんですか?」と確かめてから彼の遺書を手渡す。その場で手紙を開封する女に「奥さんの故郷は長野県の岡谷だそうですねぇ・・ずいぶん探しましたよ」とほっとした表情でいう西山に「ちょっと待ってください」と2階へあがるとその後、階下にまで怒号が聞こえる。
「誰かいるんですか?」と老婆にきくと「旦那がいますよ。またやってんね。」と慣れ切った様子で答える。
2階から降りて来たのは戦死したと思っていた百瀬だった!
ちょっと外へ出ようと百瀬に言われ、踏切に近い小さな酒の店で百瀬は話し始めた。
「9年前に書いた自分の遺書を読む気持ちがお前わかるか?お前が遺書を渡した女は百瀬清子ではない。清子とは3年前に別れ、今いる女はその後拾った女だ」という。ビックリする西山に「清子は自分の留守の間に男をくわえこんでいた。生活のためだと言って。今いる女はパンパンくずれだ。」という百瀬に同じことをしている女ならなんで清子さんと離縁したのだ?と聞き返す西山に「同じじゃない。そんなことしないと思っていた女がして、そんなことするのは当然だと思っていた女がぷっつり足を洗ったのだ」と答える。
そして百瀬は自分は召集兵だったから年相応の知恵があって帰って来れたのだと述べる。西山が「他の連中は?」ときくと「確実に全部死んだ。お前の前にいるのは全部亡霊だよ」ともいう。8年間も遺書を届けるために生きて来た西山に、百瀬から「利口じゃないな」と言われ、彼はそうかもしれない・・と言うしかなかった。
しかし西山はその原動力が「怒り」であったことに気づく。俺たちはもっと怒っていいのだ、と席を立つがその彼に百瀬は「忘れてしまえ、遺書なんて焼いてしまえ!」
と言うのだった。
終わり。
長々とネタバレ書いてしまいました(;^_^A。そこまで悲しくて好きな作品なんです。
基本、私が延々と作品のあらすじを書く記事は良いと思った映画で、記事を書きながらまた思い出し、2度3度と楽しいのです(笑。