命の舞 (original) (raw)

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故ゴージャ・ムハメット氏に捧げる

◆「命の舞」◆

原詩 : Ghoja Muhammet (ウイグル

詩の日本語訳 : ムカイダイスさん

作曲 : historyninjin

2018年7月11日に47歳の前途ある若さで亡くなったウイグルの名詩人 Ghoja Muhammet 氏の詠まれた詩「命の舞」にメロディーをつけました。わずかに詩に手を加えましたが,ほとんどムカイダイスさんが訳された日本語訳詩のままに作曲しました。

詩の内容と音楽の曲想が符号しているだろうかという密かな自責に似た思いがありますが,ここに公開しようと思います。 historyninjin 2021/1/23

(1日置いて心を過る思いに押し出されて改訂版を作りました。音程を3度上げ,細かい音遣いに調整を加え,一部歌詞とメロディーに変更を加え,終章を加えました。2021/1/24 )

《壁にかかってあったのは私の心だ‼️》

命の舞 on Vimeo

「命の舞」(歌詞)

◇1

私はあの時四字熟語の中を
私はあの時彷徨い歩いた
論理からの出口を私は探していた
無数の言葉の遺体の間で
文法の生と死が分からずに
焦っていた彷徨いながら

星々は私の煙草に火を点け
月は私にお茶を入れ
夜は私に真っ黒なマントを纏わせ
私は詩を書いていた

◇2

ドアを開けてと私は言った
古いドアは軋みながら開いた
命の廊下で弾がドゥタルを弾き
ナンは空腹のあまり嘆いていた
血は倒れた所で失禁をしていた
塩は人生の味気なさに死んで行った

◇3

舞い踊れと私は言われて足を
足をタップして両手を広げ
身体の岸辺を壊して破壊した
骨は泣き叫び
泣き叫びながら
墓から盗んだ灯を挙げていた

夢に現れた強盗は叫びながら
象牙の鞘のナイフを窓に突きつけていた
私の十八本の個のあばら骨たちが
ムカーム音楽の黄金の柱に
黄金の柱になっていた

二百三十六個の骨が闇の壁に
闇の壁に突き刺さって
忘れていた 忘れていた
ズボンの紐があるかないかということさえも
私は忘れていた
忘れていた 忘れていた

髭の乱れた威厳を
胸毛を宥める三日月
私の耳に止まって鳴き叫ぶ雄鶏
睫毛の間を駱駝を連れて通り行くキャラバン
精霊が逃げて独りきりになった
古の曲がったサンザシの樹
恥らう所が白日の下にさらされてしまった
尖がった帽子の田畑

棚に置かれた刺繍をする古い本
四十日間の夜に耐え忍んだ娘たち
舞っていた旋律に身を委ね
ぼろぼろになりながら
私は詩を書いていた

◇4

磔り付けになるならあの太陽に
燃やされるとしたならあの闇の中
私の頭蓋骨で酒を飲めば王となり
肌に入った者は奴隷になる
肌に入った者は奴隷になる

◇5

顔の明るい面から来た者は神を信じず
暗い面から来た者は
暗い面から来た者には罪がない

◇6

命の葉を囁かせ
私の血の薔薇を咲かせる
指を思いきり泣かせ
あばら骨を数えさせ

◇7

鳥ではない 羽ばたかない
風を切って奔る駿馬でもない
神が旅する鞄だ
壁にかかってあった
私の心は

〈終章〉

私はあの時四字熟語の中を
私はあの時彷徨い歩いた
論理からの出口を私は探していた
無数の言葉の遺体の間で
文法の生と死が分からずに
焦っていた彷徨いながら

星々は私の煙草に火を点け
月は私にお茶を入れ
夜は私に真っ黒なマントを纏わせ
私は詩を書いていた

棚に置かれた刺繍をする古い本
四十日間の夜に耐え忍んだ娘たち
舞っていた旋律に身を委ね
ぼろぼろになりながら
私は詩を書いていた

磔り付けになるならあの太陽に
燃やされるとしたならあの闇の中

鳥ではない 羽ばたかない
風を切って奔る駿馬でもない
神が旅する鞄だ
壁にかかってあった
私の心は

原詩:Ghoja Muhammet (ウイグル詩人)
(2018年7月11日に47歳で逝去)
日本語訳:ムカイダイスさん 2020/12/17投稿
一部編詩・作曲&演奏:historyninjin 2021/1/23

改訂:2021/1/24(ここに掲載したのは改訂版です。)

※ムカイダイスさんの投稿はコピーを保存していなかったため、紹介できません。悪しからずご了承ください。