☂:06:─3・B─現代日本は官僚支配の社会主義国家で教育に潜む共産主義思想。志賀義雄。〜No.25 (original) (raw)

知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
日本の高級官僚の大半がエセ保守かリベラル左派で、正統保守は極少数にすぎない。
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マルクス主義の教育への浸透は明治後期から始まっていた。
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文化マルクス主義のエセ保守とリベラル左派は、メディアや教育に深く入り込んでいる。
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戦前のエリートは、現代のエリートとは違い、その多くが貧しい地方出身者が多く、その為に天皇の為国の為、世の為人の為として、国の繁栄と地方の発展、庶民の暮らしを考えて仕事をしていた。
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令和6年8月号 正論「竹田恒泰 君は日本を誇れるか
第121回 私はなぜ歴史教科書を書くのか
……
国を動かしているのは官僚
……
そもそも私が教科書執筆を志したのは、日本が真の民主主義国家ではなく、本質的には官僚主導の社会主義国家であると感じたことによる。日本の国家権力の全体を100とした場合、政治家は30程度、残りの70は官僚に属すると考えてよいだろう。
以前、第一次政権の退陣後の安倍晋三氏に、『なざ(総理在任中)女系天皇を推進する核となっていた羽毛田(信吾)宮内庁長官を解任しなかったのか』と聞いたところ、衝撃の答えが返ってきたのを覚えている。安倍氏は『何度も辞めさせようと手を打ったが、あのポストは官僚機構に人事権があり、総理の権限では辞めさせることができなかった』などと語っていた。行政府の長である内閣総理大臣をして、その管理に属する機関(宮内庁法第一条)のトップの人事権を行使できないというのは驚きだった。ただ、歴代内閣が実施した政策は、そのほとんどが官僚の手が入ったものであるから当然といえば当然かもしれない。私たちは小学校の時から『日本は民主主義の国』と習ってきたため、内実は社会主義国家であることに気づけなかったのである。
官僚は選挙で選ばれていない。それゆえ、何か問題が生じても国民の手によって直接辞めさせることができない。顔も見えない官僚が、我が国における『最大の権力者』然としていることは大問題である。そして、その構造を変革するには、革命を起こすに等しい労力がいる。
そこで思い当たったのが教育だった。将来官僚になる若者が、中高生の時にどのような歴史観・国家観を持つかによって、将来の日本の興亡が決まる。だからこそ、中学の歴史教科書を書くしかないと思った次第である。
……
日本史のなかで、日本が大躍進を遂げた時代として明治時代が挙げられる。ペリー来航で開国を余儀なくされた日本は、近代化の必要性を痛感してひた走り、明治期に近代化を達成した。
それができたのは教育によるところが大きいのではないか。明治期には明治天皇の『教育勅語』と福沢諭吉の『学問のすゝめ』が、勉強することの意義を多くの人に伝えた。これらは近代化に決して無関係ではなかったはずだ。
教育が国を変える力を持つことは、共産主義者も語ってきた。昭和20年代後半、日本共産党が『武装闘争路線』を採っていた時期、著名な活動家、志賀義雄は次のような批判の言葉を残している。
『なにも武力革命などする必要はない。共産党が作った教科書で、社会主義革命を信奉する日教組の教師が、みっちり反日教育をほどこせば、30~40年後にはその青少年が日本の支配者となり指導者となる。教育で共産革命は達成できる』
教科書を変えるだけで共産革命が達成できるというのは、衝撃的な表現だが、実際にその通りの歴史を歩んできた。
……」
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メディアと超難関校の最高学府教育が、日本を動かす超エリート層と言われる政治的エリートと進歩的インテリ達を育てる。
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2019-08-23
☂:06:─1─日本共産党は、武力革命派と洗脳教育強化派に分裂した。〜No.23・
2022-06-12
☂:06:─2─朝鮮戦争時、ソ連軍による北海道侵略の企みと日本共産党武力革命派。〜No.24
2022-12-31
☂:06:─3・A─日本共産党武装闘争路線と朝鮮戦争ソ連中国共産党の陰謀であった。昭和25年。〜No.25
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2024-02-05
⏱20:ー3・Aー日本のエリート学生が「まるで中国政府のスポークスパーソン」~No.61
2024-02-26
⏱20:ー3・Bー中国共産党学習院内にチャイナスクールを創設しようといている。~No.61
2024-05-18
⏱20:ー3・Cー日本の高校や大学で中国人留学生や中国移民の子弟が増え日本人学生は減っている。~No.61
2024-05-28
⏱20:ー3・Dー中国共産党に脅かされる日本の教育界。日本国内に増える中国人留学生。~No.61
2024-07-13
⏱20:ー3・Eー日本のエリート学生は『中国共産党の論理』に染まっていま。~No.61
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日本人の共産主義者無政府主義者テロリストは、キリスト教朝鮮人テロリスト同様に昭和天皇と皇族を惨殺すべく付け狙っていた。
コミンテルンと国際的共産主義勢力は、日本共産党と日本人共産主義者に対して27年テーゼと32年テーゼを送った。
共産主義者は、超難関校の最高学府でおこなう反天皇反民族反日的洗脳教育を得意としていた。
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2024年8月12日 YAHOO!JAPANニュース「近代化を振り返り、低迷する日本の将来の可能性を考える上で参考になる3つの書籍…東大、官僚制、OIST
鉄道開通…近代化モデルが今の日本の低迷の要因か?(提供:MeijiShowa/アフロ)
日本は、この30年混迷し、低迷してきている。日本はその間安定はしており、ある意味良い社会であったが、国際社会や経済・技術環境が大きく変貌するなか、国際的な存在感を急速に低下させてきた。
今こそその原因を理解・把握し、それに基づいて、日本の問題・課題を解決し、将来に向けて、可能性を見出していく必要がある。その際には、短期的な問題を超えて、中長期的あるいは歴史的な視点や考察を踏まえて、考えていく必要があるだろう。
その作業のために、本記事では、皆さん方に是非とも参考にしていただきたい、3つの書籍を、相互関連づけながら、本記事で紹介していきたい。
まずは、『「反・東大」の思想史』(2024年5月出版)というタイトルの書籍だ。
東大は、日本の近代化推進の一環として構築された(写真:ロイター/アフロ)
同書は、そのタイトルからもわかるように、日本の近代史における東大および反東大的な動きや活動について論じたものだ。そのテーマは、実は筆者が最近出版した『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか―日本を「明治維新の呪縛」から解放し、新しい可能性を探求する―』のテーマにもかかわるものであったので読ませていただいたものだ。
同書は、明治維新以降の近代から現在まで、反東大や別の大学モデルの構築のさまざまな試みや動きがあったが、現在までのところ、日本の大学・高等教育機関は結局は、東京大学(東大)を中心に形成されており、多様化・多元化には必ずしも成功してきていないことを描いている。また東大は、政府・官や経済界における中心的人材の輩出機関であり、それらの人材は日本の政府や社会の運営において中心的役割を担いあるいは日本の統治構造の維持者としての役割を果たしてきたということを述べている。
そして東大は設立以来大学ヒエラルキーの頂点を占めているが、同書著者である尾原宏之氏は、「東大の打倒を企む勢力が勝利する時は、明治維新がそうであったように、それまでの日本が日本でなくなることを意味する。260年続いた徳川幕府でさえ倒れたわけだから、その日がいつか来ないとも限らない」と指摘しているのである。
これは、別のいい方をすれば、東大が、明治以降の現在までにつづく近代化で枢要な役割を果たしてきたということを意味するということができるのである。
次の一冊が、書籍『官僚制の作法』(2024年5月)である。
同書については、拙記事「日本国のガバナンスの問題・課題そして今後を考える上での必読書『官僚制の作法』」にも書いているので詳しくは述べないが、日本は、明治維新の近代化以降は、要は政府(行政・官僚)中心の政策形成や国家・社会運営をしてきたことが書かれているのである。そして同書は、これまで、政府・行政や官僚制の仕組みの改革や行政に対する政治主導の試みはいくども行われてきているが、「官僚制の作法」から繰り出される手練手管により、表面的には変更されても、実態としては大きく変わっていないことも明瞭かつ的確に示している。そして、その行政・官僚の中心かつコアの人材は、先述の書のテーマである東大で教育を受け、輩出された者たちなのであるのだ。
行政・官僚中心の政策形成は日本の近代化推進で重要な役割を果たしてきた(写真:Natsuki Sakai/アフロ)
これらのことは、極端な別のいい方をすると、日本は(このことは天皇制とも関連するのだが長くかつ複雑になり問題がわかりにくくなるので、ここでは論じないが)、明治以降の近代から現在まで、行政・官僚中心国家であり、官学である東大出身のエリートと称される人材が中心になって運営されてきた国だということができるのである。
最後に紹介したいのは、拙著『沖縄科学技術大学院大学(OIST)は東大を超えたのか―日本を「明治維新の呪縛」から解放し、新しい可能性を追求する―』(2024年7月)である。
同書は、次のように論じている。
現在の日本の低迷・閉塞感の原因を、明治維新から現在まで続け近代化のモデル、より具体的には、「行政・官僚中心の政策形成」「中央集権(東京中心)」「東大を頂点とする人材育成」などの要素から構成されるセット・モデルである。このモデルや仕組みでは、多様性や多源性は極力抑えられ、画一性が重視される。それは、日本が、先進の国・地域やモデルがあるキャッチアップ段階の時には有効に機能したが、ある程度豊かになり、自国で独自に新しい方策を生み出すためには、不適切かつ無効なものとなった。その結果が、「失われた30年」という現状を、日本に生み出してきているのである。
OISTは、近代化において中心的役割を果たしてきた東大とは大きく異なる大学の別モデルを提示している 写真提供:OIST
同書では、その状況を打破する別のモデルとして、短期間で成果がでてきており、国際的にもまた社会的にも注目が高まってきている「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」を提示している。
なお、拙著に関しては、拙記事「拙著『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』を書いた理由」でも、若干説明したので、そちらを参考にしていただきたい。
これまで説明してきたように、上記の3冊は、偶然にもつい最近同時多発的に出版されたもので、相互には何の関係もないのだが、テーマが実はこれまた偶然に相互に連動しているのだ。筆者の拙著は、他の上記2冊のテーマを偶然につないでいるようにもみえる。それは、別のいい方をすると、拙著のテーマにも関わる「東大」および「官僚制」という議題が、他の2冊で深堀されていて、それらを読むと、拙著の主張したいことの意味の理解がさらに深まるような図式になっているのである。
いずれにしろ、これらの3冊を同時並行して読むことで、今の日本の問題・課題が明確になるし、あるいはそれらを基に、読者の考える問題・課題が鮮明になり、その結果、現在の日本が直面する低迷感・閉塞感を打破し、今後の可能性を見出していけるヒントを確実に得られるのではないかと思うところである。
できるだけ多くの方々に、これらの書籍を同時並行的に参考にしていただき、社会的に議論がはじまり、その議論から、日本の新しい可能性が創出されることを期待している。
鈴木崇弘
政策研究者、一般社団経済安全保障経営センター研究主幹
東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て、東京財団設立に参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立に参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。PHP総研特任フェロー等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演等多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』
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2024年8月4日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「戦後日本」は、じつはアメリカの軍部によって「植民地支配」されているという「異様な現実」
矢部 宏治
日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。
そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。
『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』では、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。
*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。
「無責任な軍国主義」を支持する日本
私たち日本人が生きていたのは、実は「戦後レジーム」ではなく、「朝鮮戦争ジーム」だった。そしてそれは「占領体制の継続」よりもさらに悪い、「占領下の戦時体制」または「占領下の戦争協力体制」の継続だったのだ。
そのことがわかると、いろんな謎がスッキリ整理されてきます。
私が日本の戦後史を調べ始めてから、ずっと不思議で仕方がなかったふたつの問題。
なぜ多くの心ある、しかも頭脳明晰なリベラル派の先人たちが、自国の憲法に対して、「指一本触れるな」としか、いうことができなかったのか。
同じく、なぜ「占領軍による憲法草案の執筆」という、疑問の余地のない歴史的事実について、「その話は、いまはまだするな」と60年以上、いいつづけることしかできなかったのか。
それは「占領下の戦時体制」が法的に継続するなか、憲法9条に少しでも手をふれてしまえば、米軍の世界戦略のもとで、自衛隊が世界中の戦争で使われてしまうことが、本能的によくわかっていたからでしょう。
けれども、よく考えてみましょう。冷戦の終結からすでに30年近くが経ち、世界の状況は大きく変わりました。
もともとは、「無責任な軍国主義が世界から駆逐されるまで」(「ポツダム宣言第6項」)
という大義名分のもと、大日本帝国を占領し、日本の独立後は、その「世界から駆逐すべき無責任な軍国主義」の対象を共産主義国に切り替えて(「旧安保条約前文」)、アジア全域に居座りつづけた米軍。そしてその国際法違反の軍事行動を、60年以上、無条件で支持し続けてきた日本。
皮肉なことに現在、私たちが世界から駆逐すべき「無責任な軍国主義」とは、このあまりに従属的な二国間関係のなかにこそ、存在している。その問題を私たち自身の手で、清算すべきときがきているのです。
世界史的なスケールを持った対立
マッカーサーがどれほど自覚していたかはわかりませんが、日本の独立モデルをめぐるマッカーサーと軍部の対立は、
「新しい時代の集団安全保障構想(国連軍+憲法9条)」と、
「従来型の軍事同盟(東西冷戦構造)」
の対立という、世界史的なスケールをもった対立でもありました。
しかし朝鮮戦争の突然の開戦によって、マッカーサー・モデルはその砲煙のなかに消えさり、ダレスの考案した「疑似国連軍」としての米軍が、世界中に軍事同盟の網の目を張りめぐらしていくことになりました。
なかでも日本は、国連憲章の暫定条項(例外条項)を駆使したダレスのさまざまな法的トリックに完敗し、国連の名のもとに米軍に無制限の自由を与える、徹底した軍事的従属関係を認めることになってしまったのです。
それがサンフランシスコ・システムです。
そのあまりに歪んだ二国間関係が、冷戦の終結後、アメリカの軍部に「世界の単独支配」という「狂人の夢」を見させ、アメリカ自身を、みずからがつくった国連憲章の最大の破壊者へと変貌させてしまった。
日本と世界のためにできること
私もこれを知ったときは驚いたのですが、じつはあのブッシュ政権国務長官だったコンドリーザ・ライスでさえ、日本と韓国に軍をおくアメリカ太平洋軍について、次のように述べているのです。
「太平洋軍司令官は昔から植民地総督のような存在で(略)最もましなときでも外交政策と軍事政策の境界線を曖昧にしてしまい、最悪の場合は両方の政策をぶち壊しにしてしまう傾向があった。誰が軍司令官になろうが、それは変わらなかった。これは太平洋軍司令官という役職にずっとつきまとっている問題だろう」(『ライス回顧録集英社
つまり「戦後日本」という国は、じつはアメリカ政府ではなく、アメリカの軍部(とくにかつて日本を占領した米極東軍を編入した米太平洋軍)によって植民地支配されている。
そしてアメリカ外交のトップである国務長官でさえ、日本がなぜそんな状態になっているのか、その歴史的経緯や法的構造が、さっぱりわかっていないということです。
けれどもこの本をお読みになってわかるとおり、謎はすべて解けました。
あとは、いつになるかわかりませんが、きちんとした政権をつくって日本国内の既得権益層(いわゆる「安保村」の面々)を退場させ、アメリカの大統領や国務長官に対して、
「現在の日米関係は、朝鮮戦争の混乱のなかでできた、あきらかに違法な条約や協定にもとづくものです。こうした極端な不平等条約だけは、さすがに改正させてほしい」
といって交渉すればいいだけです。
なにしろ日本人の人権は、アメリカのコウモリや遺跡よりも、米軍から圧倒的に低く扱われているのです(第6章)。真正面からその事実を示して堂々と交渉すれば、
「いや、それは今後も続ける」
といえる大統領も国務長官も、さすがにいないでしょう。
日本人が、この歪んだ従属関係であるサンフランシスコ・システムから脱却することは、日本はもちろん世界の歴史にとっても、非常に大きなプラスをもたらすことになるのです。
さらに連載記事<なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」>では、コウモリや遺跡よりも日本人を軽視する在日米軍の実態について、詳しく解説します。
本記事の抜粋元『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)では、私たちの未来を脅かす「9つの掟」の正体、最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」など、日本と米国の知られざる関係について解説しています。ぜひ、お手に取ってみてください。
関連記事
なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な…
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2016年1月17日 産経新聞杉田水脈が見た 共産党を支える公務員労働組合の「正体」 杉田水脈(前衆議院議員
【iRONNA発】杉田水脈が見た 共産党を支える公務員労働組合の「正体」 杉田水脈(前衆議院議員
昨年10月、沖縄を訪ね、辺野古基地移設反対派の前でカウンター街頭演説を行いました。その様子をブログやフェイスブックなどで紹介したところ、
「なぜ、彼らは日がな一日、歌って踊って弁当を食べて暮らしていけるのか?」
「資金はどこから出ているのか?」
という声が相次ぎました。私は講演会等でこの疑問に対し、次のように説明しています。
私が18年間勤めた市役所の労働組合は、自治労連の傘下にありました。地方公務員の労働組合には民主党(以前は社会党)系の「自治労」と共産党系の「自治労連」があります。元々は一つの団体だったのが血で血を洗う闘争の果てに二つに分離したその経緯は、Wikipedeiaをご参照ください(「血で血を洗う」~実際にその闘争に参加した人から、リンチなどの生々しい話を聞いたことがあるので、あえてそう書きました。『平和を愛する左翼』は、実は暴力的でとても怖いのです)。
大阪市京都市のように一つの自治体の中に「自治労」と「自治労連」が共存しているところもあります。ここに紹介するのは、京都市労働組合が新入職員向けに作った組合の説明パンフレットです。「労働組合の正体」と題したこのパンフレット、公務員労組の実態を知るのにはもってこいです。余談ですが、衆議院総務委員会で公務員労組について質疑をした際、このパンフレットを資料として配布しようとしましたが、なぜか認められませんでした。
話を戻しますと、私が勤めていた市役所では、水道局以外の部署の組合は「自治労連」でした(水道局の組合は「自治労」で、職員会館内にある組合事務所で、たびたび故・土井たか子氏のお姿を拝見しました)。
私が入所したころは、新人研修が20日くらいあり、その中に「労働組合の時間」というのがありました。専従の職員が来て、「労働組合は、皆さんの賃金を上げるために闘争をしている。我々が闘うからみんなの賃金が上がる。組合に加入してない人の賃金も上がる。組合に加入しないのは無責任な人間である」といった説明が行われ、新入職員はその場で加入申込書を書かされます。
4月1日に入所し、20日に初めてのお給料が出るわけですが、給与明細の中に組合費の欄があり、もう既にそこにはしっかり金額が記載されています。そう、組合費は給料天引きなのです。
私が入所した当時の組合加入率は97%。ほとんどの職員は文句を言うことなく、給料から自動的に組合にお金を払い続けているわけです。資金はこうして調達されます。
次に組織です。各課に一人、組合の「職場委員」が存在します。主に若手がやらされます。職場集会(※)の周知、お弁当の数の取りまとめ等のほか、「動員」も担当します。メーデーの集会や平和行進等のイベント(当然、共産党系のイベントです。)の参加は、組合から動員がかかります。「1割動員」=10人の職場の場合、1人がそのイベントに参加しなければいけません。「2割」だと2人です。組合のイベントに参加するときは「離席承認扱い」となります。上司が離席を承認しているという意味で、欠勤にもならず、有給休暇も減りません。
(※)職場集会
春季、秋季闘争の前に当局への要求について各職場で昼休みを利用して集会が開かれます。お弁当付きです。お弁当代は組合費から出ます。本来は賃上げ要求の説明ですが、次のような説明が行われていたりします。共産主義の植え付けのためです。
組合幹部「コンビニのおにぎりの原価は20円です。これを百円で売ります。この差額を何と言いますか?」
職員「利益です。」
組合幹部「違います。搾取です。」
誰が参加するかを調整(たいていの職場では、一人に負担がかからないように順番を決め、みんな公平に参加させていました)し、「今回は、○○課からは誰それが参加します」という報告を組合に行うのも職場委員の仕事です。
近場で行われるイベントはこうして駆り出された一般の職員が参加しますが、遠方のイベントには組合の幹部や専従の職員が参加します。交通費等の諸費用は組合費から出ます。
みなさん、ここまでで資金の出どころと動員の仕組みが大体お分かりいただけたと思います。
そもそも、解雇のない公務員になぜ労働組合があるのか? 疑問をお持ちの方も多いと思います。所謂公務員の労働組合は、労働基準法労働組合法に規定されている労働組合ではありません。公務員には労働三権が認められていませんが、「公務員も労働者である」という考えた方のもと、「職員団体」を持つことは許されています。これを各自治体が勝手に「○○市職員労働組合」と名付けているだけで、本当は労働組合ではなく、「職員団体」なのです。職員団体は、そこに働く自治体職員の福利厚生や労働環境を議論するために存在しているわけです。でも、実際は、自治労連の場合は日本共産党というように特定の政党と深いかかわりを持ち、国会周辺のデモや沖縄の基地反対運動に参加するなど、政治的な活動を行っています(現場に行き、そこにはためいている幟を見れば明らかです)。
公務員の政治活動は禁止されているのに、なぜ、職員団体である「自治労連」や「自治労」は政治活動をしているのか?という質問に対し、「公務員の職員団体には職員以外の者も加入している。そしてその人たちが活動している。」という苦しい答弁が返ってきました。それもおかしな話です。
ここのところをきちんと調べて、公の場で追及すること。
これによりある程度、日本共産党をはじめとする左翼政党への資金や人員の流れを断つことができると私は考えています。
杉田水脈
衆院議員。昭和42年生まれ。平成4年西宮市役所に入所。平成24年衆議院議員に当選して以降は「日本を賢く強くする」をポリシーとして活動を続けている。慰安婦問題に積極的に取り組み、党の取り組みである『「慰安婦問題」に関する河野談話の見直しを求める署名活動』においては事務局長として活動。平成26年、第7回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞。
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2005年10月1日 日本共産党 しんぶん赤旗「公務員は多すぎるの?
〈問い〉 小泉首相民主党も、公務員がムダづかいの元凶のようにいって、削減をいっています。日本の公務員は多すぎるのですか?(神奈川県・一読者)
〈答え〉 日本の公務員の数は、けっして多いとはいえません。単純比較ですが、人口1千人あたり、仏96・3人、米80・6人、英73・0人、日35・1人と、先進国の中で最低の水準です。
国・地方の行政を効率的な機構にしていくことに努力する必要があるのは当然です。しかし、だからといって、公務員をやみくもに減らせばいいという立場に日本共産党は立ちません。軍事や公安警察、高級官僚などにただちにメスを入れ、教育や福祉、防災など国民サービスの分野は拡充すべきなのです。
そもそも「全体の奉仕者」として国民に必要な行政サービスを担うのが公務員です。公務員が少ないほどいいというのは、国の責務を投げ捨てることになります。国民生活を守るうえで、いまは逆に、公務員が足りない分野は少なくありません。
たとえば、「30人学級」を実現するには、新たに11万人の教職員が必要です。消防力の基準にたいし消防士6万人が不足しています。労働基準監督官は2859人に過ぎず、毎日1事業所を回っても全事業所を回るのに4・2年かかります。下請けいじめを監視し是正させる下請け代金検査官は専任が46人で、毎日1社回っても6年かかります。航空・鉄道事故を防ぐためのスタッフ、原子力や食品の安全を監視するスタッフも他の先進国と比べてきわめて貧困です。
国家公務員についていえば、現在、国が給与を払う61万5千人(定員)のうち一番多いのは、自衛官で25万2千人、41%を占めます。
財務省は昨年末、「中期防衛力整備計画」をつくるのにあたり、陸上自衛官(16万人)の4万人削減を提案しました。これ自体、「米ソ対立崩壊」のもとで控えめな数字でしたが、自民党防衛族議員が「新たな脅威がある」と抵抗。結局、5千人削減にとどまりました。
このほか、スパイ活動などが任務の“日本の秘密警察”ともいうべき公安調査庁(1千500人)など、削るべき部門はいくらでもあるのに指一本ふれようとしません。(喜)
〔2005・10・1(土)〕
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2021年10月 日本共産党 しんぶん赤旗「➡2021総選挙 分野別政策一覧
49、公務員制度
内閣人事局、「官邸官僚」、企業からの「出向」職員、定員合理化計画、労働基本権の回復、労働条件、天下り独立行政法人
住民・国民の目線で働く民主的な公務員制度の実現を目指します
憲法第15条は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定しています。これは、戦前の公務員が「天皇の官吏」と位置づけられていたことが、軍国主義の暴走の一因となったことへの反省によるものです。ところが、歴代自民党政権のもとで、キャリアと呼ばれる特権官僚層が復活し、政権政党との癒着構造を形成してきました。さらに安倍政権は、一連の国家公務員制度改悪によって、「政権に奉仕する官僚組織」につくりかえてきました。
権官僚層を生みだすキャリアシステムにメスを入れ、政権中枢による幹部人事介入制度を廃止し、公務員が「全体の奉仕者」として、国民と住民の目線にたって働く、公正中立の民主的公務員制度に改革することを求めます。
内閣人事局を廃止し、政権による恣意的人事をやめさせます
安倍内閣は、「国家、国益に奉仕する国家公務員」(2013年4月)をかかげ、「政権の方向性を常に念頭に置いて取り組む」よう求め、2014年の国家公務員法改悪によって、内閣官房内閣人事局を新たに設け、「幹部職員人事の一元管理」の仕組みをつくりました。
幹部職員の任用は、内閣総理大臣官房長官、各大臣による「任免協議」で最終的に決定します。任免協議における判断基準は、個々の人事案ごとの「官職の適性」と「採用昇任等基本方針」だと政府は説明しています。その「採用昇任等基本方針」には「縦割り行政の弊害排除」と書かれています。この点について、「岩盤のような規制がいつまでも残っているのは、省庁ごとの縦割りがあるからだ」(内閣人事局設置当時の担当大臣)と発言しています。これは、国民の暮らし・安全を守るルールを掘り崩すということです。当時の菅義偉官房長官も「政権が掲げる改革政策に協力する公務員を登用するのは当然だ」と答弁しています。
内閣人事局による幹部職員人事の一元管理は、官邸による恣意的な介入を可能とし、政権が掲げる規制緩和を推進するための官僚機構、“政権に奉仕する公務員”“官邸に忖度する公務員”への「改革」だといわざるを得ません。
内閣人事局は、憲法15条が規定する行政の中立・公正を歪めるものであり、ただちに廃止します。
肥大化する内閣官房内閣府、「官邸官僚」に対する監視機能の強化が必要です
安倍・菅政権下で、内閣の重要政策の企画立案・総合調整機能を持つ内閣官房内閣府を拡大強化しています。こうした官邸機能強化のもとで、官邸に忖度し、公文書の違法な隠ぺい・改ざん・廃棄・ねつ造がまかり通る事態になっています。
一方で、内閣官房内閣府の主要な仕事である企画立案・総合調整機能は、行政評価の対象外です。当時の菅官房長官は「これまでも国会の場で説明に努めてきた」と述べ、何ら対策を示さず、野党が要求する臨時国会召集要求や予算委員会開会要求は無視し続けています。
政府の政策決定の透明化を図る必要があり、公文書管理法や情報法開放の改正とともに、官邸機能強化に対する国会の行政監視機能を果たせるようルールが必要です。
「官邸官僚」と呼ばれている総理秘書官・総理補佐官・内閣広報官といった特別職の国家公務員は、汚職防止の未然防止策の役割をもつ国家公務員倫理法の対象外であり、倫理法・倫理規定に相当するルールはありません。当時の加藤官房長官は「内閣官房職員の訓告等に関する規程がある」「高い倫理観をもって職務に励んでほしい」と述べましたが、訓戒は懲戒処分ではなく、本人の自覚任せの姿勢です。
官邸機能強化で「官邸官僚」の力が強くなっているときに、恣意的な運用とならないようルール作りや総理秘書官などの国会招致などが必要です。
企業からの「出向」による官民癒着を防止する法規制が必要です
第二次安倍政権以降、大企業などの民間企業出身者が、非常勤の国家公務員として内閣官房など政府の中枢で勤務する事例が増加しています。
例えば、医療分野の研究開発を政府一体で推進する「健康・医療戦略」の事務局である健康・医療戦略室では、52人中22人がアステラス製薬エーザイ大塚製薬小野薬品工業、協和キリン、大日本住友製薬タニタオリンパスコニカミノルタジャパン、日立製作所など医薬品・医療機器メーカーの出身です。全員が非常勤ながら課長補佐・係長クラスの役職に就いています(2021年1月現在)。この中の日立製作所は、医療機器分野を注力事業と位置付けており、「健康・医療戦略」に関連する予算から日本医療研究開発機構(AMED)を通じて数億円の補助金を受けています。
デジタル庁の母体であるIT総合戦略室でも、同様です。官民癒着の疑念は払しょくできません。
政府は、これらの民間企業出身の非常勤職員の給与が年収換算で265~230万円程度であり、出身企業からの給与補填が可能であることを認めています。官民人事交流法は、「公務の公正性」を担保するため、出身元企業における「業務の従事」「給与の補てん」を禁止しています。しかし、非常勤職員として採用することで、この規制に穴をあけているのです。出身企業のヒモつきで非常勤職員として雇用されていることは重大です。
日本共産党の度重なる指摘で、政府は、カジノ規制の中核を担うカジノ管理委員会事務局において、IR・カジノ推進事業者の出身者は、出身元企業と兼業関係が生じず、給与も全額国が支給する特定任期付職員とすることにしました。これまでの非常勤職員ではカジノ規制にあたっての透明性・中立性に問題があったと認めるものです。ただし、特定任期付職員として雇ったとしても、退職後に元の職場に戻ることができます。「ノーリターンルール」が必要です。
2021年9月に発足したデジタル庁職員は、発足時約600人のうち、事務方トップの「デジタル監」をはじめ約200人が民間出身者で、幹部7人以外すべて非常勤職員です。この非常勤職員は、兼業・テレワーク可、出身企業の給与補填も認められています。批判をかわそうと、民間出身者の事前登録による入札制限策などを設けていますが、調達業務に限定しており、抜け穴もあります。政策やルール作りに対する利益誘導の防止策はなく、官民癒着の排除には程遠いものです。
特に多くの企業出身の非常勤職員がいる内閣官房は、政府の重点政策の企画・立案・総合調整を行っています。経団連の「政策の企画・立案の中枢に積極的に関与できるように」「内閣官房内閣府への民間人登用を増やす」とした提言(2015年)のままに、企業からの「出向」職員が、政府の重点政策の立案に、直接、深く関与することで、大企業・財界の利益を優先する仕組みがつくられているのです。
国民全体の奉仕者としての公務の性格がゆがめ、財界奉仕の政治を推進する官民癒着を防止するため、企業からの「出向」者を規制する法改正を求めます。
国家公務員の定員を削減する「定員合理化計画」を廃止します
新型コロナウイルスや多発する災害において、公務員の重要性が見直されている中、政府は、国家公務員の「総人件費抑制方針」の下で「定員合理化計画」に固執しています。わが国の国家公務員数は、2001年の中央省庁再編時から3分の1に減少。政府公表の「人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較」では、フランス90.1人、イギリス67.8人、アメリカ64.1人、ドイツ59.7人に対して、日本は36.9人と、圧倒的に少ない水準です。
非正規職員の正職員化を含め、国民生活の安全・安心のための必要な人員を確保することは急務です。
この間の国家公務員の定員削減によって、国、地方の様々な公務部門で必要な正規職員が配置できなくなり、国民生活の向上や安全などの職務遂行に支障が生じています。震災被災地の救援・復興にあたって、避難所の生活環境等の改善について内閣府通達がだされても、通達を受けとめ実行する「公務の力」が不足していることが指摘されています。
人事院も、若年層職員の減少により技能等が世代間で継承されないなど「業務遂行上の重大な支障」が生じていると指摘し、その要因が「政府の総人件費抑制方針の下、継続的な定員削減や新規採用抑制の取り組みが進められてきた影響」だと答弁しています。
国家公務員の超過勤務手当いわゆる残業代が、来年度予算編成に向け、各府省庁の要求額が前年度より多いことがわかっています。これまで、実態と関係なく要求されてきたことで、予算の範囲内で残業代をつけ、サービス残業が横行していたことを示しています。サービス残業が認められないのは当然です。そもそも、業務が増加しているのに、公務員の定数を削減していることが問題です。
国家公務員が公務・公共サービスを国民に提供していく役割を果たすためには、総定員法の廃止、総人件費抑制方針の撤回、定員合理化計画の廃止をすべきです。必要な人員を確保する仕組みにし、公務員を増員すべきです。
労働基本権を回復し、公務員の労働条件の向上をはかります
安倍政権時に、公務員給与制度の「総合的見直し」と称して、地方部の手当を引下げて、都市部の地域手当などに配分する制度改悪をおこない、地域間給与格差の拡大をおしすすめました。地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多いことから、「官民を通じて地域間格差が拡大することになりかねない」(全国知事会)ものであり、地方経済への深刻な打撃となります。
公務員の賃下げは、公務員の生活を破壊するだけでなく、民間の賃下げと相まって、日本の労働条件全体を引き下げる一因ともなってきました。
給与を引き下げ、労働条件を引き下げる「見直し」が、労働基本権制約の代償機関とされる人事院の勧告としてなされてきたことも重大です。
公務員の労働基本権を回復し、労働条件の向上をはかる労働政策への転換を図ります。
そもそも、日本のように公務員の労働基本権を制約している国は、先進国ではありません。ILO(国際労働機関)は、日本政府にたいして公務員の労働基本権制約はILO条約違反という勧告を繰り返しおこなっています。
日本国憲法第28条は、国家公務員を含むすべての労働者に労働基本権を保障しています。にもかかわらず、国家公務員の争議権労働協約締結権を奪い、国家公務員の政治的行為を一律全面に禁止する現行規定が、米軍占領下の1948年にGHQ命令で日本政府に押し付けられ、国家公務員法全面改悪によって持ち込まれました。占領政策の亡霊ともいうべき違憲の規定がいまなお存在していることこそが問題です。国公法98条や102条の規定を撤廃し、国家公務員の労働基本権を回復し、公務員の市民としての政治活動の自由を保障することが求められています。
国家公務員の中で、非常勤職員(委員、顧問、参与や保護司を除く)は約2割を占めています。この非常勤職員は、各都道府県の地域別最低賃金を下回るような実態があります。また、常勤が担っていた業務を、非常勤が代わりに恒常的に担っている実態もあります。非常勤職員の常勤化、処遇改善を求めます。
天下り」を禁止し、厳格に実行する法改正が必要です
2007年、第一次安倍内閣は、民間企業への天下りを原則禁止していた国家公務員法を改悪し、「あっせんによる天下り」でなければ、自由に民間企業に天下りすることを可能としました。
この天下り自由化のもとで、2011年には、経産省資源エネルギー庁長官が堂々と東京電力顧問に天下ったのです。東日本大震災での原発事故をうけた国民世論の厳しい批判によって顧問は辞職に追い込まれ、経済産業省は、幹部官僚の電力会社への天下り自粛を表明しましたが、その後も、原発輸出を狙う原発メーカーに元経産事務次官が天下っています。
2011年に明らかになった国土交通省の組織ぐるみの天下りあっせんでは、同一ポストに何代も続けて天下りする「固定ポスト」や、複数の天下り先を渡り歩く「わたり」、さらに二つがいっせいに行われる「玉突き人事」という天下り構造が明らかになりました。
2017年にも文部科学省で、抜け穴を使ったOBを介した組織的な天下りあっせんが発覚しました。
天下り自由化の際に設置された「再就職等監視委員会」は、これらの天下りに対する監視の機能を果たしているとは、到底いえません。
天下りを禁止し、厳格に実行する法改正が必要です。
規制する再就職先は民間企業だけでなく公益法人特殊法人に拡大し、離職後2年間は離職前5年間に在職していた国の機関と密接な関係にある営利企業などの職に就くことを禁止する「事前規制」を導入するなど、抜本強化します。さらに、OBを介した再就職あっせん行為も禁止します。同時に、定年まで働ける人事制度に改めます。
縮小廃止ありきの「改革」でなく、公共性・自主性を生かす独立行政法人改革を
独立行政法人制度は、2001年の中央省庁再編時に導入され、国立公文書館・統計センターなどの国の業務を行う機関、宇宙航空開発機構(JAXA)・理化学研究所などの研究機関、国民生活センター・国立病院などの公共機関が独立行政法人とされ、運用されてきました。この制度は、行政における企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門に運営裁量を与えることで、政策実施機能の強化をうたったものですが、実際は、多様な公共的事業や業務を一つの枠組みの中に押し込み、事業の縮小や廃止の手段とされてきました。
独立行政法人には、整理統合や一方的な人件費削減目標などが押しつけられ、その役割の発揮どころか、事業や業務の遂行に支障すら生じている法人もあります。
ところが2014年、安倍政権が、事業・業務の廃止・縮小を進める独立行政法人通則法の改悪を強行しました。法律には、雇用の維持、権利義務の継承などを保障する規定すら設けられておらず、職員の士気を低下させ、雇用の安定を脅かすものとなっています。
独立行政法人の役割の発揮を妨げている仕組みを改め、職員の雇用を保障するとともに、研究機関や行政に密着した事業などの独立行政法人制度になじまない法人は、行政自身の業務として制度の枠から除外するなど抜本的な改革が必要です。
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2016年10月29日 産経新聞 月刊正論「幹部の収入を暴露! 日本共産党の元党員の私が20の疑問に答えます 篠原常一郎
※この記事は月刊正論11月号から転載しました。
Q1 共産主義では全ての人が平等というタテマエですよね。共産党は「天皇」の存在をどう考えているのでしょうか
A1 日本共産党は戦前、コミンテルンの指導下に決めた基本方針(27年テーゼ、32年テーゼ)で皇室をいただいた日本の国体を「絶対主義的天皇制」と規定して「革命で打倒する」対象にしていました。結果、日本共産党治安維持法による取締り・弾圧を受けたのです。
共産主義の理念「万人の平等」を根拠に天皇制に反対したのではなく、「日本帝国主義の支配構造は、軍の統帥権を握り絶対主義的な権力を持った天皇と軍部、従属的に追随する大財閥・独占企業からなる」として「支配体制の要=天皇」を打倒対象としました。「君臨すれども統治せず」が天皇の歴史的実態だったのですから、この見方の誤りは明瞭ですね。
戦後、日本共産党が「天皇制の打倒」を主張したことは意外なことに一度もありません。1980年代半ば以降、当時の党トップだった宮本顕治委員長が「第9条などの平和条項だけではなく象徴天皇に関する条項を含め現憲法を全面的に擁護する」という立場を明らかにし、今日に至っています。
今後も共産党が護憲スタンスをガラリと変えて「天皇制打倒」に回帰することは無いでしょう。たちどころに国民の支持を失いますからね。
Q2 共産党自衛隊を「違憲」と考えているのですか
A2 かつて共産党は「国の独立と主権を守る上で(旧社会党の)『非武装中立論』は無責任」としていました。「対米従属・違憲自衛隊は解散して自主的な防衛力を持つ」立場だったのです。これが1970年代に公明党から「共産党は仮面をかぶった改憲政党だ」と非難され、その反動からか80年代には護憲色を強めます。最近、志位和夫委員長は自衛隊を「憲法違反の存在」としつつ、「急迫不正の侵略を受けたら、自衛隊を活用するのは当たり前」と述べています。さらに「戦争(安保)法制反対・廃止」の野党共闘の旗を振るようになると「当面、現行の日米安保体制を容認」とまで表明したのです。志位委員長が失脚でもしない限り、この方向は変わらないでしょう。
Q3 共産党は暴力革命を目指しているのですか
A3 たしかに戦前の日本共産党は「絶対主義的天皇制」を打倒するために「対外戦争を内戦へ」と主張する暴力革命路線でした。戦後も朝鮮戦争期に日米当局側が強行したレッドパージで非合法化された時、ソ連や中国からの指示に従って党主流派は「武力闘争」を準備。中国革命ばりに農村部に根拠地を作るとする「山村工作隊」の活動やお粗末な火炎ビン闘争を展開しました。
しかし今日では党員の高齢化、「平和運動」に長年傾倒してきたことによる党内の「戦争ぎらい」蔓延で、暴力革命党なんて全く受け入れられない素地ができています。共産党がかつて掲げた「敵の出方論」とは、「情勢によっては権力(政府)側が暴力的に革新勢力に対抗してくることもある」という警戒心喚起で、「党の事務所に武器を隠しておけ」なんて方針ではないですよ。選挙と「赤旗」拡張中心の党活動にどっぷり浸かった上、お年寄りが圧倒的に多い共産党が暴力革命なんて、心理的にも物理的にも不可能です。
Q4 志位和夫さんは長く委員長をしていますが、役員に任期はないのですか
A4 党規約では、党員は大会の代議員や指導部たる役員を「民主的に選挙」するとされています。しかし、実際は所属する党組織(末端は党員3人以上の党支部)の一級上の党機関に関する代議員や役員しか選挙できません。「立候補」も認められていますが、代議員や役員の候補は党機関執行部があらかじめリスト化し、選挙ではこのリストに◯付けする信任投票がされます。事実上、指導部主導の根回しで決まるということですね。
こうした形を何段階か繰り返して選ばれた代議員たちが2〜4年に一度開催される全国的な党大会で中央委員会の役員を選出します。支部、地区党会議、都道府県党会議で各執行部によるリスト化でふるいにかけられてきた代議員に、党中央へ批判的な者が入っている可能性は、ほぼゼロです。
党大会に提出される中央委員会の候補者リストも最高指導者たち(志位委員長や副委員長たち、小池晃書記局長、なぜか不破哲三社会科学研究所長)が決め、代議員は◯付けの信任投票をするだけ。全国レベルの会議では代議員はリストの役員候補者を個々には知りませんから、執行部への信頼を根拠に機械的に◯付け投票し、晴れて全員信任となるわけです。
更に最高指導者たちの意のまま選ばれた中央委員の最初の会議でこれもあらかじめ根回しされたメンバーがその上の幹部会委員として口頭で推薦され、拍手で承認。次の幹部会委員の最初の会議でも同じ繰り返しで最高指導者の最側近集団である常任幹部会委員(21名前後)を選出…。
結局、すべてがトップとわずかな側近たちで決められているのです。健康を壊したり、上級の不興を買わない限り、党役員に再選を妨げる規定はありません。党のトップは自分を含め、お気に入りの役員を事情が許せばいつまでも再任させることができます。
幹部の退任や降格は、何らかのトラブルや「抗争」があってのことです。故宮本顕治氏の議長からの退任も「知的後退が見られる(ボケた)」とつぶやいた不破氏によるクーデター的な強硬措置で行われたことが元党ナンバー4の筆坂秀世氏の著書「日本共産党」(新潮新書)で明らかにされています。
Q5 共産党職員の給与は平等じゃないんですか。不破さんはなぜ豪邸に住んでいられるのですか
A5 「日本共産党の謎」の筆頭が最大のカリスマ=前議長の不破哲三氏の、神奈川・津久井湖近くにある敷地千坪の豪華山荘暮らしですね。不破氏も党本部職員になる前の新婚時代(半世紀以上前)は、都営団地に住んでいた薄給のプロレタリアート(無産階級)状態で、どうやって蓄財したのか想像もつかないでしょう。
秘密は二つ。一つは、党の一般職員と幹部の給与格差です。党中央の頂点に近い常任幹部会委員になると年収で最低1000万円以上が保証され、中央委員以上の医療費自己負担分は「党幹部の保全のため」との趣旨で党中央財政部が支払ってくれます。若い職員が「ワーキングプア」並みの薄給、地方の党職員は遅配欠配がザラであることを考えると破格の待遇です。
もう一つは著書の印税。「実績と能力がある」中央幹部は著作を出版し、印税は個人で受け取れます。党内には「幹部の印税は中央財政に繰り入れられる」と説明していますが、ウソ。不破氏の著書は党機関紙「赤旗」でどんどんタダで宣伝し、党員に購買を煽る一方、少ない一刷分の印税を党に寄付したら、二刷分以降の印税はすべて著者の懐に入ります。筆者の調べでは現職衆議院議員時の不破氏の印税収入は年間900〜1500万円!(資産報告書の閲覧による)。最近も著書刊行は盛んですから、かなりあるでしょう。日常生活のために党職員が常時5名、不破家に宿泊体制で配置され、運転手付き乗用車や洗濯・炊事まで不破夫妻の暮らしは党丸抱えです。この上、高額給与と印税を手にすれば、暮らしは富裕層並み。もっとも不破氏のカリスマ性あってのことで、志位委員長のお宅は公団分譲マンションですよ。
Q6 共産党の「民主集中制」って、本当に民主的なんですか
A6 正式には民主主義的中央集権制といって「ソ連の国父」レーニンが革命党の規律として導入したものです。全体方針は党員が民主的に討議して決定し、多数決で決めたことには意見の違いを保留して全党員が従うこと、上級機関の指導に下級組織や党員は従うことなどが厳密に決められ、党員同士が横の連携をとってはならないことが「分派の禁止」として強調されています。派閥やグループが競い合う自民党民進党の総裁選、代表選なんて共産党にはあり得ないですね。
民主集中制の最大の効果は、上級に君臨する指導者に対する下部からのチェック力が落ち、上から下への支配がやり易くなること。「集中」という言葉は、情報と権力の上部への集中を象徴します。これで上位に立つ者が権力抗争で絶対優位を確保できます。過去、各国の共産党で不正常な形で追放(共産党政権では最悪の場合、逮捕・処刑)される幹部が相次ぐ原因になりました。
日本共産党は「組織と国家のルールは別」として、民主集中制を国の仕組みにしないと説明しています。しかし、現実にソ連や中国などの社会主義国では形だけの議会を含む国家システムに公然と民主集中制を採り入れていましたから、説得力ないですよね。
日本共産党が単独政権を獲得し「共産党独裁?」なんてまずないですが、透明性を増して開かれた党になるため民主集中制はやめるべきですね。
Q7 最近はどうやって若い党員を集めているのですか
A7 党機関紙「しんぶん赤旗」で「共産党への期待が高まり、若い人が最近の入党者の2割もいる」なんて書かれています。裏を返せば八割は「若くない人」ということですね(笑)。実際、筆者が党職員の頃も「20代、30代の青年党員獲得に党の浮沈がかかっている」なんて話し合われていましたが、一向に若い党員は増えませんでした。共産党の指導下の青年団体、日本民主青年同盟(民青)もどこにあるのかわからないくらい、存在感がありません。
結局、どうしたかというと全国レベルで党員のお子さんたちをターゲットにさかんに働きかけました。20年以上前からこんな苦し紛れなことをやったせいか、ここ数年、国会議員の当選者にも「二世議員」が現れていますね。参議院議員の辰巳孝太郎さんや吉良佳子さんなんかがそうです。
しかし、こんな苦肉の策では党員若返りは進まず、街頭宣伝でビラ撒きをする党員たちはお年寄りばかり。
え? シールズですか?あれは共産党や民青の方からすり寄っていましたが相手にされていませんでしたよ。一部の党活動家が「シールズ」を僭称して、嫌われていましたが(笑)。シールズの中心にいた学生さんたちは特定の政治勢力に取り込まれないよう巧みに振る舞っていましたね。
Q8 専従職員の給与レベルは…
A8 筆者が党から除籍される前の数年間、党中央委員会職員の平均的な年間給与は税込で400万円くらい。30歳未満は200〜250万円前後で生活的に楽じゃなかったです。しかし、地方の党機関は低い給与すら遅配、欠配が多く、家族の収入をあてにしなくては自活すらできないのが実態でした。党地方機関は独立採算制で、数は少ないのですが財政状況のよい党機関の職員給与が他よりよいこともあります。例えば「赤旗」部数が多く、公務員や大企業サラリーマンの党員がいて党費収入が多い東京都委員会の職員給与は、中央委員会より月当たりで数万円くらい高いのですよ。まあ、「赤い貴族」の不破さんの破格の収入と比べたらお話にもならないですが…。
Q9 党財政は赤旗の売り上げと党費で足りているのですか
A9 1980年代半ば、「赤旗」の部数が300万部以上、党員数が40数万もあった当時の宮本顕治委員長が「人は石垣、人は城」と武田信玄公の言葉を引き「50万人の党員、400万の読者を実現する暁には、全国一律に党専従(職員)の給与を地方公務員並みに引き上げる」と打ち出したことがありました。薄給に苦しみ続ける党職員や家族は、もうじき届きそうな党勢目標を示したこの言葉に希望を持ったものです。
しかし、それから30年以上たっても、目標が達成されるどころかジリジリ後退をして今日、党員約30万人、「赤旗」読者120万前後の大後退。「企業献金政党助成金は受け取らない」と胸を張り、党員が納める党費(実収入の1%)と「赤旗」代、個人寄付が収入のほとんどなので、財政状況は相当に厳しくなっています。党中央委員会の収入もここ10年で百億円くらい減っていますね。
Q10 国会議員は報酬を自分で使えるんですか
A10 共産党の国会議員については、歳費を党国会議員団の財政部が衆参両院から一括して受け取り、「寄付分」や社会保険や税分を引いて各議員に手取を支給します。国会議員1人あたりの寄付額は年間650〜700万円前後(!)です。基本的に、差し引かれた後の収入が党中央常任幹部会委員と同等にする考えです。
公設秘書の給与も「寄付」の形で党財政部が徴収していますが、あくまで「秘書個々人が自発的にやっている」というタテマエです。公設秘書になる党員には「君たちは中央委員会の職員の扱いだから、本来中央委員会の職員給与として支給する分の差額は党に納めてもらう」と説明され、同意しなければ公設秘書に採用されません。法律に照らすと、かなりグレーですよ、これは(笑)。秘書給与問題は共産党国会議員団のアキレス腱です。国の支出に関する問題であり、しかるべく丁寧に究明・追及がされるべきですね。
Q11 党員の負担は重いのですか
A11 党規約では、党員は実収入の1%を党費として納めなければなならいとされています。専業主婦や生活困窮者は、会費的に月500円程度納めてもらう、なんてことが多いです。ただ、公務員や大企業サラリーマンなどは相当に収入があって、党費が月に数1000円以上の人もいるわけです。
金銭負担ではむしろ、「赤旗」や共産党傘下団体の機関紙(「新婦人しんぶん」「全国商工新聞」「民青新聞」など)の購読費や、選挙の都度と夏、冬に展開される活動資金や党専従の一時金支給のための「募金キャンペーン」が大きい。「党員一人あたりいくら」と募金目標を設定してはならないルールですが、党役員や地方議員になると1人あたり数万〜100万円単位で募金目標を持たされ、周囲に頭を下げて集めたり、泣く泣く身銭を切ることになります。さらなる負担は「赤旗」の配達・集金です。居住地で活動する党員は数十〜100部前後の「赤旗」日曜版(週刊紙)や日刊「赤旗」の配達・集金をボランティアでやります。もちろん、体調の悪いお年寄り(党内多数派)には出来ませんから、下部の幹部(支部長、地区役員)や地方議員が過重な負担として引き受けなければならない。その上、上級からは「赤旗」や党員を増やせ、増やせと矢の催促…。共産党員の生活は「赤旗」の配達・集金と拡張に振り回されることとイコールで、あまりおすすめできません(笑)。
Q12 党員になるための要件は
A12 党規約では、「18歳以上の日本国民」で「党員2人の推薦」があれば入党申し込みができ、党機関、党支部で承認されれば党員になります。「反社会団体」(暴力団)の構成員は入党を認めませんし、他党の党員もダメです。警察や公安調査庁など破防法共産党員を監視する側の人や自衛隊関係者も「権力側」として入党は認めませんし、党への接近を警戒しています。
日本以外の各国共産党は、国籍を入党の要件にしない場合が多いです。「プロレタリアート(労働者階級)に国境はない」というマルクス以来の国際連帯の精神が根拠で、フランス共産党中国共産党には外国籍党員がいます。100歳で日本共産党を追放された故野坂参三氏はイギリス共産党に入っていますし、ベトナム建国の父ホーチミンや中国の周恩来首相もフランス共産党員でした。
Q13 秘密党員は、いるんですか
A13 大企業の社員や官庁のキャリア官僚になった党員は「秘密党員」として扱われることがあります。雇用側が共産党員として気づかずに雇い入れた人や、学校の成績が特別に優れていて国家公務員上級試験への合格や大企業への就職が十分に期待できる学生党員から選ばれますね。将来、党が政権入りした際に「権力側に足場をつくる」という立場から、日常の党活動には参加させないで、いざという時に備える要員(スパイ用語では「スリーパー」)との位置付けです。日常の指導は中央委員会や都道府県委員会の役員が個別に担当していました。しかし党の仲間がいない中で長年過ごすと党員としての自覚が失われていき、離党したり連絡を絶ったりという人が大多数ですね。ただ、今も「秘密党員」は官庁や大企業にいるとは思います。
Q14 「赤旗」は赤字ですか
A14 「赤旗」日曜版は発行数が100万部前後で、今でも日本で最大部数の週刊紙です。ところが、日刊「赤旗」は20万部くらい。全国紙としては採算割れで、月々数千万円以上の赤字が出ています。それを日曜版の収益でカバーして、帳尻を合わせていますが、「赤旗」全体の収益は長期的にガタ落ちです。立て直し策として考えられるのは、日刊「赤旗」の休刊ですね。全国いくつかの印刷所で作られ、毎朝、宅配体制を維持するためにトラック輸送網が敷かれていて、そのために党傘下の輸送会社や用紙会社まで運営されているほど。とてつもない人員資材が投入されても、20万前後の部数の収入では賄いきれません。
Q15 「赤旗」を読んでいない党員もいるのですか
A15 党員は毎日の「赤旗」を読んで党の方針を知るタテマエですが、公称30万人の党員数より日刊「赤旗」の部数がかなり下回っています。もちろん、読まない党員がいるからです。これは、党員の高齢化(それに伴う貧困化)と入党のハードルを下げたことの二つがマイナス要因になってますね。「もう視力が追いつかないから、日刊の方は勘弁して」と党専従の時に高齢者党員からよく言われましたよ。少ない年金やアルバイト暮らしですから、月数千円以上の購読費用はつらいでしょう。後は「ともかく党員を増やせ」と上級から尻を叩かれて、地方議員が苦し紛れで自分がお世話した人を入党させる。入った方は議員さんの後援会員になったくらいにしか感じていない。だから、「支持してるんだから、そんなに高くて難しい新聞、読まなくてもいいじゃないか」となってしまう…。
まあ「活字離れ」で一般の新聞も部数が低迷している折、「赤旗」の部数が減るのは世の流れとして仕方ないと思いますけどね。
Q16 「赤旗」には独特の自粛表現があるそうですね
A16 最近の「赤旗禁止用語」の事情はわからないですねえ…。ただ、昔の面白い事例でいくと、1990年代まで韓国のことをずっと「南朝鮮」と表記しましたね。「アメリカかいらい政権には正統性がない」という含意があってのことです。逆に北朝鮮のことは「朝鮮民主主義人民共和国」です。その時々の政治的スタンスで「赤旗」紙面や演説などで使う言葉が変わるのも共産党員らしい「言語文化」といえそうですね。
Q17 党内に派閥はありますか
A17 「民主集中制の規約で共産党には分派や派閥はない」と、党幹部たちはしばしば胸を張って言います。でも、派閥やグループって、政党に限らず会社にも地域社会にもありますよね?特に「同窓生」なんてのは、絆が強く仕事や社会生活で相互に融通を利かすなんてよく聞きます。タテマエは別にして最近の党中央委員会には、立命館大学出身者による「派閥」があります。頂点はかつて書記局長もやった市田忠義副委員長・参議院議員です。その下に穀田恵二常任幹部会委員・衆議院議員などが続き、書記局機構やこれらの議員の下につく秘書には立命館大学出身者が驚くほど大勢います。
穀田議員は、かつて「ラブラブメール事件」と呼ばれる不倫疑惑が週刊誌で騒がれましたね。大学後輩の党員を秘書に据えて個人的な上下関係をつくり、相手女性との密会場所の手配や送迎までさせていた話です。当該秘書だった方がこれを嫌がってクビになり、週刊誌で暴露されたのですが、穀田議員はなんら党内で咎められませんでした。立命館大学出身者の誰かが庇ったおかげかどうかは分かりませんが(笑)。
Q18 では東大閥は…
A18 歴代の党トップが東大卒だったため「東大閥がある」なんて言われたりしますが、中央委員会は立命館大学出身者に比べると東大卒は少ない上、だいたい、お互い同士が仲良くありません。ここ三代の東大出身のトップたちでは、宮本顕治氏と不破哲三氏の関係も、不破氏と志位和夫氏の関係にしても、私が見聞した限りではとうてい円満といえるものではなかったですね。東大卒だからといって互いに助け合うわけでもないし、何か得をしているようにも見えませんでした。とてもじゃないけど、「東大閥」なんてあるといえませんねえ(笑)。
Q19 査問って今もありますか
A19 査問はもともと軍法会議の用語で、事実調査のために被疑者に行う尋問のことですが、共産党では党規律を破った疑いのある者に行います。「共産党に査問はない」なんて言っていますが、私がこの用語を知ったのは共産党でです(笑)。査問は、突然呼び出されて虚をついたように始まります。自分自身がそうでしたし他の人の「査問」も見聞しましたが、他からの密告を根拠にして行われるのが常で、金銭問題、男女間の問題などが嫌疑のほとんどです。
規律違反(配偶者以外との浮気も入る)に対する調査は「事実に基づき慎重に」なんて規約にありますが、査問では「最初から結論ありき」。除籍とか、除名で党から放逐するための理由をこじつけることだけが目的なんですね。
数十年前は密室に長期間、閉じ込められたなんて話があります。戦前は「スパイ」嫌疑の査問で殺人まで起きました。今はそれほどでなくて、幸いですが。
Q20 共産党お抱えの興信所もあるそうですが…
A20 査問の根拠を調べるため、党中央委員会は外部法人として作った興信所も使って身元調査をします。筆者の査問の時、査問を担当した幹部が誤ってこちらに興信所が作った資料を「突きつけて」くれてわかりました(笑)。後で自分に関する調査報告書に記された興信所名と住所を基に登記簿謄本でそこが党員経営の法人と確認し、査問する側を「党内問題(筆者の査問)を党外(外部法人)に持ち出したあんたたちは規約違反だ!」ととっちめました。結果、除籍されましたが、その後も何年かは、しばしば尾行されましたね。尾行する者にかつての同僚の姿もチラホラ見かけましたが(笑)。身内の党員の素行調査のために興信所を作り、尾行や調査を行うという共産国家の秘密警察ごっこをやる体質がなくならない限り、日本共産党が民主主義社会でのまともな政党とはいえないと思います。
■篠原常一郎 昭和35年生まれ。立教大文学部卒。日本共産党筆坂秀世氏の公設秘書などを務めるが、平成16年に党を除籍される。著書に『いますぐ読みたい日本共産党の謎』。
※この記事は月刊正論11月号から転載しました。
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