⏱63:ー1ー中国共産党の認知戦に襲われている日本。日本の偽情報対策は欧米から遅れている。~No.149No.150 (original) (raw)

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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
現代の日本人は、愛国心民族主義天皇主義を持って戦争を覚悟で国防意識の強かった昔の日本人とは全然違う。
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中国共産党は、日本人が気付かれないように静かに日本へのステルス侵略を進めている。
中国軍は、日本との戦争準備を進めている。
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2024年10月12日 YAHOO!JAPANニュース Wedge(ウェッジ)「〈中国「認知戦」の正体に迫る〉流出文書を追った調査報道、ネット空間はすでに戦時にある
流出した文書から中国の「認知戦」の内幕が見えてくる(NHKホームページより)
NHKの「調査報道 新世紀File6中国・流出文書を追う」(9月22日)は、中国のサイバーセキュリティ企業・i-SOON社から流出した、577ファイルにもおよぶ大量の文書の正体を取材班が世界をかけて追いかけた、調査報道の傑作である。
【画像】〈中国「認知戦」の正体に迫る〉流出文書を追った調査報道、ネット空間はすでに戦時にある
この文書は、世界の政府のセキュリティー部門ならず政策の決定の中枢まで、いまも揺さぶっている。中国が習近平主席のもとで2013年に「情報戦に向けた準備」を呼びかけた。その後、中国国内のサイバーセキュリティ企業は、最近まで約4000社まで増加して、警察組織の一部ともいえる治安対策を専門とする「公安」や、「軍」と共同で「認知戦」を仕かけている。
「世界的なニュース」であったi-SOON文書
認知戦とは、対象国のなかの分断の亀裂が入っているテーマについて、SNSなどを使って分断を大きくする活動である。そのかたわらで、対象国の国民に中国との関係を深めるように誘導する。
「i-SOON文書」とは、中国の上海に本社を置いていたサイバーセキュリティ会社の名前をとって、そこから何者かによって流出した文書を指している。
文書を発見したのは、台湾のサイバー攻撃対策会社の「TEAM T5」(台北)である。X(旧Twitter)のなかに謎のアカウント(github.com/I-SOON/I-SOON/)(注:アドレスではiが大文字)をみつけた。i-SOONの概要を調べたところ、従業員数約130人規模の中小企業だったので当初は重要視しなかった。
しかし、添付されたファイルをみると、この文書が「世界的なニュース」であることがわかってくる。「何者かが情報を外部に漏らすために作成したアカウントだった」と。サイバー攻撃に使えるツールが多数列挙されていた。
マイクロソフトGoogleのメールアドレスに侵入できる
・PCをハッキングしてコントロールが可能にできる
スマートフォンを遠隔する技術
説明書によれば、ターゲットのiOS(アップルの基本ソフト)からGPS(位置情報)を定期的に獲得できる。さらにターゲットのiOSシステムの周辺を定期的に録音、傍受できる。
ファイルのなかには、従業員同士のチャットが3年分もあった。
どんな情報が狙われたのか
さて、この文書は本物なのか。i-SOONが情報を収集していた対象国は、アジアや欧米、アフリカなど20ヵ国を超えていた。エジプト、フランス、カンボジアルワンダ、マレーシア、モンゴル、ネパール、ナイジェリア。そして、日本、台湾も。ターゲットや政府機関や通信会社である。
文書を発見したTEAM T5は、台湾の国立政治大学がターゲットになっていたことがわかった。
同大学の副教授で、中国によるメディア対策を研究している、黄兆年氏は大学が攻撃対象となった2022年以降、大学のサーバーに対する執拗な攻撃が繰り返されたと証言する。さらに、自らのPCのメールのログイン履歴を示して、同年から25年にかけて「ログイン不能」の記録が残っていた。
黄氏によると、「教授たちの多くは台湾当局とともに仕事をしています。メールボックスに侵入されたひとりは、その内容がコピーされたり、ダウンロードされたりした形跡がありました。このような行為は許せません」と。
取材班は、「CZ」と表記されている文書を持って、チェコの首都プラハに飛ぶ。
国会の外交・防衛の委員会に属して、i-SOON文書を調査した国会議員のパベル・フィシェル氏は次のように語る。
「これは欧州連合EU)理事会の準備文書です。『One-pager』とあるのは、日常的にEUの事務に当たる人の言葉です。非公式ではりますが、これが本物だという確認を得ました」と。
それは、2年前にチェコ政府が作成した“EU内部文書”だった。パベル氏は続ける。「外部からの侵入者が興味を持ちそうな準備文書です。ロシアによるウクライナ侵攻直後に、ロシアからのエネルギーに対してEUがどのような反応を示していたか理解ができるからです」。
チェコはその年の7月から議長国を務めることになっていてEU理事会における、運輸・通信・エネルギーの議論を主導する立場にあった。
中国の公安や軍とのつながり
中国の「公安」「軍」とi-SOONをはじめとするサイバーセキュリティ企業はどのようにつながっているのか。そして、中国外務省の公式記者会見では中国側が否定している。海外でのハッキングなどの背景は――。
文書を発見したTEAM T5から取材班に「文書のなかから、彼ら(i-SOON)が使用したと思われるIPアドレス(インターネット上の住所)が見つかった」という連絡が入る。しかも、そのアドレスは過去にチベットサイバー攻撃に使われていた。また、中国政府系のハッカーの中間地点にも登場する、という。
さらに、もうひとつのIPアドレスも発見したという。このアドレスは、TEAM T5のデータベースと照合した結果、中国のハッカー集団に属することが分かった。アメリカを主に攻撃していた。この結果は、米政府の報告書とも符合する。
アメリカ当局は中国政府系のハッカーが“treadstone”という悪意あるプログラムによって攻撃したと指摘しています。この文書からもi-SOONがこの技術を提供したことがわかります」と。
同社のトップで最高経営責任者(CEO)のX氏とNO.2でエンジニアのY氏とのチャットのやり取りからも、中国の「公安」との関係が浮かびあがった。
X 昨日の販売プロジェクトの進捗報告は基本的に全て公安に関するものです。
Y 雲南省の公安当局にミャンマー軍のQB(情報)を紹介したところ、いい値段を提示してくれました。
取材班は、i-SOON社がある上海のビルを訪れる。会社があった部屋は、もぬけのからで机に並んだPCが部屋のガラス越しに見えるだけだ。管理人によると、従業員たちが警察に捕まって営業ができない状態だという。
社会の分断を引き起こす
中国が仕掛けている「認知戦」は、どのような影響を各国に与えているのか。
アメリカ・バージニア州にあるセキュリティー会社・マンディアントのチーフアナリストである、ジョン・ハルクイスト氏は、人種差別や銃規制の問題など、アメリカが抱える問題に中国がその分断工作をしている、と分析している。
「標的とする国に楔を打ち込むような問題を見つけて攻撃しています。(中国が)目指すのは政府やメディアが伝えることを信じさせずに、むしろ陰謀論や社会が分裂していると信じさせることです。デジタルを脱して現実を生み出そうとしているのです」と。
台湾で昨年12月に起きた、インド人労働者を移民させることに反対する運動が起きた。この裏にも、中国の「認知戦」があったと推察できる。
事件は大量の個人情報が漏洩した後に発生した。若い女性を中心として反対の集会が各地で開催された。集まった理由を聞くと、台湾のSNSである「OCARD」にあふれた投稿だった。
インターネット上の世論操作を分析している調査機関・ダブルシンクラボは、共同研究の結果、ひとつの投稿にたどりついた。
「インドから労働者を受けいれれば、台湾が性暴力の島になる」というものだった。反対集会の嵐が起きた3週間前にX(旧Twitter)に大量の投稿がなされ、反対運動が起き、それをウェブメディアが伝えた。複数のサイトで抗議集会の呼びかけが始まる。
同調査機関は、一連の流れが中国による「認知戦」だった可能性が強いとみている。
コメントの一部の用語が台湾では一般的ではなく、中国で使われているのが散見されたからだ。例えば、「盗難」は対話では使われず、それは中国で一般的である。台湾では「窃盗」を使う。日本語訳すると「頭が悪い」は、中国の用語で台湾では使われない。
処理水放出で起こした「認知戦」
日本を標的にした「認知戦」の代表的な例が、東京電力福島第1原子力発電所(1F)からの処理水の海洋放出に関する、太平洋に広がる様子の動画を使ったフェイクの投稿である。この動画はそもそも原発事故が発生したときに、放射線がどのように広がっていくかのシミュレーションのものだ。それを処理水と偽ったのである。
調査会社・JNIによると、最初の投稿はi-SOON文書でみつかったX(旧Twitter)のアカウントで、2018年12月から不信な動きを見せていた。2300回のリポストがなされ、表示件数は約90万回という膨大な数になった。
しかも、拡散にかかわったアカウントの半数は、ポッド・アカウントつまり人を装っているが実態はプログラムで動いているものだ。
カナダのジャーナリスト・グレアム・ウッド氏から「認知戦にかかわっている軍の幹部が分かった」という情報が、取材班に入った。「彼は中国の軍事アカデミーに20年以上所属している高位の軍人です。3年前にカナダに移住した戦略支援部隊の元中佐です」と。
この部隊は、「認知戦」を担っている。
取材班は、その元中佐のもとを訪れて取材を申し込む。しかし、弁護士と相談して後日改めて、といわれたものの連絡はなかった。
アメリカに6年前に亡命した、人民解放軍海軍の元中佐である、姚誠氏のインタビューに取材班は成功する。姚氏は、いまでも中国の軍人同士のチャットを手に入れるなど、現在も軍の人脈を通じた「認知戦」にも明るかった。
「現代そして未来の戦争において、情報化は人民解放軍の改革の要です。いまの西側諸国と中国との根本には、価値観やイデオロギーの隔たりがあります。そこで『認知戦』が重要になるのです。現在を正確に理解するなら、戦争はすでに始まっていて、ただ目の前でミサイルが発射されていないだけなのです」と。
すでにサイバー空間で戦争は始まっている
日本も連携している「NATOサイバー防衛協力センター」において、演習プログラム担当のエイドリアン・ヴェネブルス博士は次のように語る。
「現在のサイバー空間では、平時と戦争の区別がありません。スマートフォンなどでネットにつながっているすべての人がこの脅威を自覚すべきです。サイバーセキュリティは専門家のものではなくすべての人に求められるのです」
アメリカ大統領選挙において、中国とロシアによる「認知戦」が明らかになっている。日本はどうか。総選挙ばかりではない。「認知戦」に対応する組織、人材は十分だろうか。人々の認識も新たな“戦争”に対応できているだろうか。
1Fの処理水をめぐって、中国がしかけたであろう、フェイクニュースFacebookで知的レベルが低いとは思えない人が流していたのを見たことからすると、日本の分断を狙う海外の勢力は虎視眈々と列島を狙っているのは間違いない。
今回の番組の調査報道は、さまざまな課題と問題を考えさせてくれた。1Fの報道特集のように、書籍化が待たれる。
田部康喜
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10月12日 YAHOO!JAPANニュース「<欧米から遅れる日本の偽情報対策>AI進歩で日常に潜む新たなリスク 政府中心を脱却し社会全体で対策を急げ
桒原響子( 日本国際問題研究所研究員)
今年は史上最大の「選挙イヤー」である。
米国や欧州連合EU)、インド、台湾など世界各国で記録的な数の選挙が行われ、世界的に「偽情報」がこれまで以上に大きな関心を集め、その対策が活発にとられ始めている。
情報は武器にも凶器にもなる。偽情報に踊らされないためにはリテラシーの向上が欠かせない(VERTIGO3D/GETTYIMAGES)
筆者は今年6月、ラトビアで行われた戦略的コミュニケーションをテーマにした国際会議に参加してきたが、中露の情報影響工作を念頭に、西側諸国としての戦略的ナラティブのあり方や情報空間におけるAIのリスクなど、極めて興味深い議論が行われていた。
そもそも、偽情報に対する欧米諸国の脅威認識の高まりは、2016年、米国大統領選挙をめぐるロシアの干渉疑惑に端を発する。その後、20年の新型コロナウイルスの世界的蔓延や22年以降のロシアのウクライナ侵攻を通じて、偽情報が選挙のみならず、公衆衛生や戦局にも大きな影響を与える脅威として、世界的な注目を集めてきた。
ただ、日本はこれまでに偽情報が選挙に大きな影響を与えたり、社会を分断したりする大きな危機に直面した経験がない。また、安全保障の分野においても、外国からの偽情報の拡散によって、深刻な脅威に晒されたという経験もない。これは、日本語が特殊な言語であるという「言語障壁」をはじめ、外国人に対して社会や組織が閉鎖的であること、国内の伝統的メディアに対する信頼度やアクセス率が依然として高く、外国メディアが入り込む余地がほとんどないことなどが要因として指摘されている。
こうした諸要因が影響し、日本では偽情報への備えが十分ではなく、偽情報そのものに対する既存の法規制がないのが実情である。例えば、偽情報の拡散があっても、それらが人の業務を妨害した事実がない限り、偽計業務妨害罪には当たらない。また、偽情報の拡散を含む外国からの介入に対する法的手立てもとられてこなかった。
20年代に入り、日本は欧米諸国に比し、偽情報対策で後れをとっており、対応が急務であるということが政府や専門家の間で徐々に認識され、具体的な対策が検討され始めた。そして、ロシアのウクライナ侵攻および東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出に関連し、偽情報が国内外の社会や世論形成に与えうる影響に対する危機認識が高まった。同時に、主要7カ国(G7)やEU加盟国の間で、偽情報対策における国際協力を推進する動きも活発化している。
こうした流れの中で、日本政府は、22年12月に策定された「国家安全保障戦略」において、日本に対する外国からの偽情報の拡散に対抗すべく、偽情報などに関する情報の集約・分析と戦略的コミュニケーション力を強化する方針を打ち出した。具体的には、外務省、防衛省内閣情報調査室、官邸国際広報室、国家安全保障局など、安全保障関連機関が中心となり、情報の収集・分析、偽情報に対する「デバンキング」(虚偽だと暴くこと)などのカウンター発信を行うこととなった。
そうした中で、23年8月に処理水海洋放出を迎えた。中国では処理水を「核汚染水」と呼び、「大量の魚が死んだ」「海中の生物が変異した」といった食の安全に関わる偽情報が拡散された。さらには、処理水の海洋放出とは直接関係のない映像や画像を使って処理水の危険性を訴える偽情報が中国語のSNSアカウントなどによって拡散された。また、海外の聴衆向けに、日本の対応を非難する言説も流布した。
日本政府は比較的早い段階からこうした偽・誤情報に多言語で反論し、海外の聴衆向けには公式SNSアカウントや動画を用いて処理水放出の安全性について情報発信をした。
また、最近では、偽情報対策を通じた国際連携も拡大させており、23年12月には、外務省と米国務省との間で、外国からの情報操作の脅威に対抗するための協力文書が作成され、今年4月の日米首脳会談の成果文書の中でも、日米が外国からの情報操作へ対処するために二国間および多国間協力を強化することが明記された。
日本の偽情報対策において
山積する課題
日本の偽情報対策は現在、黎明期であると言えるが、課題も山積している。まず、日本では、政府中心で偽情報対策が進められているため、対策において、諸外国では当然のように活動している民間の研究機関やNGO、ファクトチェック団体など、政府以外のアクターが果たす役割の重要性に対する理解が当事者間で高まっていない。さらに民間セクターや市民社会の活動の規模は他の西側諸国と比較し小さく、アクター横断的な議論やコラボレーションの場もほとんどない。
関係省庁間の横断的コミュニケーションの不足という組織構造の課題だけでなく、偽情報対策を主導する政府の対策の対象をめぐる課題もある。現在、総務省が、生成AIの出現やデジタル空間におけるステークホルダーが多様化したことを念頭に国内の偽・誤情報への対応方針と具体的な方策の検討を始めているが、「国家安全保障戦略」や同志国からの働きかけの影響を受けてか、全体として見れば、現在の日本の対策は外国発の偽情報の脅威により重点を置く傾向にある。
また、何をもって「偽情報」と判断するかに関する基準が必ずしも明確でなく、省庁間で表現も統一されていない。「偽情報」のほかに、「情報戦」や「情報操作」「認知戦」といったさまざまな用語が用いられ、また、それが何を指すかが必ずしも明確ではなく、ステークホルダー間の意思疎通や情報共有の妨げとなりかねない。
対策の中身については、ほとんどの関連省庁で偽情報の「監視と報告」という、いわばモグラ叩き式アプローチに焦点が当てられる傾向があり、「プレバンキング」(偽情報に対する予防的耐性を事前に構築すること)に向けたアプローチの検討が遅れている。
政府中心を脱却した
社会のレジリエンス強化を図れ
世界的に、偽情報対策は政府が単独で行うべきものではないとの見方が圧倒的に多い。政府が中央集権的な対策を進めると、検閲につながるリスクもあり、実際に、米国ではバイデン政権の偽情報対策を「最悪の検閲だ」として、一部の州司法長官やジャーナリストなどが政府機関を非難する事態が相次いでいる。カナダでは、トルドー政権がオンラインコンテンツを規制する「オンライン被害防止法案」(B−63法案)を2月に提出したが、同法案に含まれるオンライン上の「ヘイトスピーチ」には民事罰および刑事罰が規定されている。一部の人権団体や法律家などからは、表現の自由、プライバシー、抗議の権利に対する侵害になりかねない、あるいは政府に広範な権限を付与しうるといった強い反発がある。
偽情報対策の要は、対策を政府だけが行うのではなく、社会全体のアプローチによって、偽情報に対する社会的レジリエンスを強化し、健全な情報環境を確保することである。それには、民間セクターや市民社会の活動が今よりも活発化し、情報発信、研究、教育、ファクトチェック、メディアのジャーナリズムの質の向上などに向けた多面的な取り組みが求められる。
日本は社会全体で偽情報へアプローチできる体制を整えるべきだ 写真を拡大
最近では、企業などの民間セクターや、研究機関、非営利団体などの市民社会団体においても、偽情報対策に関連する活動を実施する動きが見られるようになった。例えば、ファクトチェック団体やメディアによるファクトチェック件数が増えてきており、一部の研究機関も、偽情報関連の研究を行うようになっている。さらには、偽情報の調査分析やプロパガンダ検知の技術開発を行う企業も出始めた。
ただ、最も重要なのは、中長期的なアプローチとして、市民一人ひとりのメディアリテラシーを向上させることだろう。偽情報を見抜く力は、偽情報の脅威への強力な抑止力となり、社会の情報環境の健全化に欠かせない要素である。生成AIの発展により偽情報の量・質は向上し、それらのリスクが拡大する可能性があり、モグラ叩き式の対策では立ち行かなくなる。
現在、総務省が市民のメディアリテラシー向上のための取り組みを行っているが、民間セクターや市民社会団体など、政府以外のアクターが、国内外の多様なアクターと協力・連携し、活動の幅を広げることが重要だ。台湾の研究センターやボランティア団体は、地域の学校など他の団体と協力しながら、リテラシー教育や教材開発などにも力を入れている。台湾では、中国からの介入の脅威に日常的に晒されているために、民進党政権下で多様なアクターによる偽情報対策が成熟してきた。欧米諸国は、台湾の経験や、市民社会、民間セクターによるボトムアップの取り組みに高い関心を示しており、米国などは台湾の一部の団体に偽情報研究や対策などの資金援助を行っている。
また、プレバンキングの重要性も対策において検討されるべきだろう。過去の災害や選挙などで拡散した偽情報とその傾向を分析し、今後出てくる可能性のある偽情報を予測し、事前に情報発信するといった積極的な対策は、デバンキングよりも効果的だとして、欧米諸国の政府、民間セクター、市民社会で注目されている。
偽情報は、決して政府だけが対策すべき「外国からの脅威」という遠い存在ではない。政治のみならず、社会、経済、公衆衛生といったわれわれの日常に潜む「リスク」として、多様なアクターが多面的に向き合わなければならない問題である。
偽情報戦争
小泉 悠 ,桒原 響子 ,小宮山 功一朗(著)
2,090円(税込み)
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